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33/501

33話

そして再び、今、現在。


その首輪を過剰に掴んでしまったせいで、いつの間にか一般人コースまで可能になった才能の塊、ジオは、ぼんやりと見つめていた。


最悪へと突き進むダンジョンの実況を。


誰かが言ったか?


人間は危機に直面すると、とりあえず人のせいにするものだと。


「考えてみれば、全部お前のせいじゃないか!ユン・ウィソ、この野郎!」


「いや……そんなに急にキレる?」


「お前さえいなければ!離してください!あの野郎、20位圏内のランカーが急に割り込んできたからこうなったんじゃないですか!呼んでもいないのに勝手に割り込んできて!」


結局、首根っこを掴まれるユン・ウィソ。


骸骨のように痩せこけた男が、ガソリンスタンドの風船みたいにフラフラ揺れるので、同情心が湧いてくる始末だ。


ジオ(1位)は、しおらしくなってファン・ホン(6位)を睨みつけた。


「あの良心のない豆腐王……」


「なんや?」


ピンチに追い込まれたユン・ウィソも、悲しそうな目でファン・ホンの方を何度もチラチラ見た。


「わあ、みんな俺のこと見てるけど、どうなってんだ……?」


「アイ・ヘイト・ファン・ホン。」


「……!」


「あ、すみません。興奮しすぎて英語が出てしまいました。ファン・ホンを罵らないと死ぬ病気にかかっていて。」


「そ、そんな病気もあるのか?」


「私はファン・ホン、アンチの管理人だから。」


「……まさかファン・ホンそのまま彼方へ消えろさん?」


「今、何をしているんですか!」


爆発するタク・ラミンの叫び。


S級の二人がハッと顔を上げた。


床に転がっているユン・ウィソの姿を見て、状況把握は容易だった。ファン・ホンが顔をしかめて呟いた。


「あのバカ、何してんねん……?」


ユン・ウィソの国内ランキングは29位。


それも、その希少なA級テイマーだ。


おそらく今ここで攻略隊全員が同時に襲い掛かっても、勝ち目はないだろう。


覚醒者間の等級とは、それほどの隔たりを意味する。あんな扱いを受けるような人物ではなかった。


ジオは、じっとユン・ウィソを見つめた。


最近、本意ではなく何度も接する人物。


自分の兄が「魔術師王」だというユン・ガンジェの主張から、竜の鱗などなど。


何気に気になっていたところに。


タイミング良く、目の前に現れてくれた。


ユン・ウィソが持っていると推定される他の用事も見物するついでに、ダンジョンの中までついて来てみたところ……


竜の影も形をない。


「サツマイモ畑かよ。」


下手すればウェブ小説を見る時でさえ、サツマイモ区間は聖約星に読ませるサイダーパスの神経を逆なでする、どうしようもない破滅展開。


「あ、いえ。要員さん!私は大丈夫です。す、すみません、皆さん。ご迷惑をおかけしました。」


「あなたのパーティーメンバー、キョン・ジオさんがサツマイモ大嫌いを叫んでいます。」


「全部私のせいだから……」


「違う。そうじゃないんだ、この野郎。やめろ。」


「だから、とりあえず攻略から、私たちの攻略からしましょう。私の弟を必ず助けなければなりません。お願いします。私が、何でも……」


ついに腰まで深く折るユン・ウィソ。


ジオの表情まで固まりかけた、まさにその時だった。






バベルネットワーク


▷ ランカー1番チャンネル


▷ ランキング6位「アナウンス」使用


/チャンネル所属人員が「アナウンス」を使用中です。/


/アナウンスモードでは「チャンネルを閉じる」機能を利用できません。/



| 6 |


夜食王:お前見てるか


| 6 |


夜食王:ガキ、ふざけてんのか。腰を伸ばさんかい


| 8 |


ダビデ:??何これ?急にアナウンスとかマジか


| 8 |


ダビデ:マジかよwww急に寸劇入ったらさっきのバカなこと無かったことになるんか。ウケる


| 8 |


ダビデ:早く消せよ?テレビ画面全部隠れるやんけ。クソがㅡㅡ


| 4 |


白鳥:ダビデ。引っ込んでろ。私たちに言ってるんじゃない。


| 6 |


夜食王:お前がそれで1番チャンネルのランカーか。


| 6 |


夜食王:1番には1番のプライドがあるんや。ガキ、基本がなってないな


| 6 |


夜食王:お前にどんな事情があるのかは知らんけど


| 6 |


夜食王:4級だろうが2級だろうが、こんなダンジョン一つくらい目をつぶってでもクリアできる


| 6 |


夜食王:はずやろ


| 6 |


夜食王:お前の後ろにいるのが今誰なのか


「分からんかったら教えてやろか?」






バベルネットワーク


| 6 |


夜食王:俺はファン・ホンや。ユン・ウィソ。




「せやから腰伸ばせや、優しく言うとる時に。」


独り言のように小さく低い声。


しかし、聞くべき人の耳には正確に届いた。


ジオは、誰かの背中がブルブル震え始め、ついに聞こえる瞬間まで全部見ることができた。


「腰を伸ばして顎を上げろ。」


拳を握ったまま腰を伸ばし。


「正面を見ろ。」


正面を直視するハンターの基本姿勢。


ハンターであり、韓国「ファーストライン」ランカーのユン・ウィソが、赤くなった目で声を張り上げた。


「……何でも、私が全部責任を取ります。」


「……」


「一人も死なせないようにしますから、だから今回の攻略!進めてください!」


ランカーとは集合ではなく個人だ。


しかし、ごく稀に、集合になる瞬間も確かにあった。


日常のように定着した右側のチャットウィンドウ。


見慣れたそこをチラッと見たジオが、面倒くさそうに顔を背けた。







* * *


バベルネットワーク


▷ ローカル ─ 大韓民国


▷ 国内ランカー1番チャンネル


| 1 |


ジョー:ㅇㅅㅇb


| 5 |


バンビ:?


| 3 |


アルファ:ほほう……


| 3 |


アルファ:俺はジョン・ギルガオンだ。ユン・ウィソ。


| 8 |


ダビデ:??何してんだよマジでwww


| 4 |


白鳥:私は白鳥だ。ユン・ウィソ。


| 2 |


サンサン:私はサ・セジョンだ。ユン・ウィソ。


| 8 |


ダビデ:……


| 8 |


ダビデ:わ、私はチェ・ダビデだ。


| 29 |


ユン・ウィソ:やめてください……


| 8 |


ダビデ:


| 8 |


ダビデ:あ、ああやるつもりなかったんだよ?!やる気全然なかったんだってば?!なんで大げさにするんだよマジで。!!!


| 8 |


ダビデ:マジでリアルだってば。興味ないから;;!!


| 4 |


白鳥:泣くな。



* * *






[Timer - 00:04:44:30]


残り時間、約5時間。


寄生王傘下の腹足種は、腹で這い回りながら卵を産む凶虫だ。


宿主として汚染するのに、彼らは種族を選ばなかった。


だから、早く民間人を救出できなければ、攻略の如何にかかわらず、永遠に取り返しのつかないことになるかもしれないと。(タク・ラミン情報)


しかも、難易度が変更されたことで、腹足種だけが現れるわけでもないようだった。


ジオは、ヨンガリ(怪獣)フィギュアを立て直した。


建物の地下から出るとすぐに、「真の友情フィギュア」の上にパッ!と浮かび上がった方向矢印。


魔力ホログラムだから良かったものの、もし形でもあったら、このめちゃくちゃな状況に……


ザザッ- バン!


「うっぷ。うぇっ。吐きそう……」


「いや、ホヤかよ?死ぬたびに体液テロとかマジ勘弁。誰かインベントリに余ってるタオルないですか?」


「ありません。魔石を適当に回収したら急いでください……ユン・ウィソハンター?どうしたんですか?大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫……大丈夫です。」


折れていた膝を立て直し、ユン・ウィソが冷や汗を拭った。


「それより、先に送った私の金翼鳥たちとの接続が切れました。4階から視界妨害が凄まじいのですが……何が原因なのか確認もできませんでした。おそらくすぐに食べられたようで……す。」


顔色を窺いながら言葉を濁すユン・ウィソ。


一瞬にして沈んだ雰囲気のせいだ。


……


……


緊張で凍り付いた目が、目の前の4階非常口のドアに向かった。


「4級」ダンジョン。


それにもかかわらず、あまりにもスムーズだった以前の階層。


これからが本番であることを誰もが直感したのだ。


誰も率先してドアを開けない静寂の中で、泰然としているのはたった二人だけだった。


「あかん、あかん。」


国内ランキング6位。


力の隠し持ち、ファン・ホン氏が余裕綽々どころか、ふてぶてしい勢いで首をポキポキ鳴らした。


失笑しながら非常口の取っ手を力強く掴む。


「モンスターにビビってどうする。どうせモン……」


ギイイイ-.


「ひ、ひゃあああああ!」


ドーン!


ハアハア。


ファン・ホンは、光よりも早く閉めたドアをバンと押さえた。真っ青になった顔で、オドオドしている。一行を見回す。


「な、何ぼーっと突っ立ってんねん!早く、エ、エフキラー持って来い!さっき世界で一番でっかいゴ、ゴキブリ見たんや。。びっくりした。」





「……マジかよ。あいつマジでちょっと足りないんじゃないの?」


[あなたの聖約星、「運命を読む者」さんが、見知らぬ男の背中から降りてから言えと、気まずそうに言い返します。]


「……」


コホン。




バタバタとタク・ラミンの背中から静かに降りてきたジオが、罪のないフィギュアをトントンと叩いた。


い、嫌なものは嫌なんだもん。



「マジで嫌なんだもん。」


「止めろ!止めろ!前衛、この野郎どもは何をしている!寝てるのか?お休み中ですか?」


「究極技!究極技残ってないのか?」


「ゴキブリって元々飛ぶ生き物でしたっけ!お願いだから、クソバベルさん!いい加減にしろよクソ!」



パササササッ!


「き、究極技ならあるよ。みんな、私ならできる!」


[聖約星、「運命を読む者」さんがヒイッと怯えます。]


[悪魔を狩る鎌で虫を狩るつもりか。正気を保てと諫めます。]



「セスコ!セスコオ!」


「誰だ、軽率にセスコなんて言ったやつは!誰だ!」


「ちょ、ちょっと待って!バン・テホハンター!そこは!そちらに攻撃を飛ばしたらダメで……!」


ド、ドーン。ガガガー!


崩壊は連鎖的だった。


キョンは本能的に体を丸めた。


崩れる足元。


瞬間、一緒にバランスを崩したかと思った体が、素早く空中で体を支えながら回転する。


落下する破片を足場にして、足をポンと弾くと同時に。


コーナーの壁の隙間に軽く着地




[特性、『キャットパルクール』が非活性化されます。]


[あなたの聖約星、『運命を読む者』さんが、10点満点の点数板をずらりと掲げます。]


「……セーフ。」


頬に張り付いたおかっぱをジオがフーッと吹いた。


あっという間に起きた状況。


最後に目撃したのは、誰かが誤って放った攻撃で、昇降機側が崩れ落ちていく場面だった。


名誉の殿堂入りレベルのトロル行為だ。一行の過半数が立っていた場所だったのに……。


パーティーチャンネルはまだ静かだった。


壁の向こうも奇妙なほど静かだ。


ん?ちょっと待って。これデジャヴ……?


なぜか流れる冷や汗。


前科のある脱出職人キョン・ジオは、わけもなく焦り始めた。


「また『ご一緒に行きましょう2』じゃないよね……」


プレッシャーをたっぷり抱え込み、そっと顔を出すと。


「……」


目の前に現れたのは、まるで獣に食い荒らされたかのような、荒々しい歯形の空っぽのクレーター。


周囲は一面、白っぽい。


粘液質で絡まっていた床の卵も、毒液を撒き散らしながら滑空していた虫の群れも、跡形もなかった。


ただ、不気味な穴と、まるで吹雪のように舞い散る石灰の粉だけ。


そして。


その真ん中に立っている人影。


「……氷のプリンセス?」


「何言って……うっ!」


ハッと音を立てて振り返ったファン・ホンが、顎を落とした。


にゃくざさん、なんでそこにいるの……?


確かに誰もいなかったはずなのに?


それにキョン・ジオも状況把握完了。


分かりきっていた。


みんな墜落して、一人残ったと思った途端、スキルをぶっ放して身を守ったんだ。この我慢のないヤクザ者が。


コンクリートの壁を食い破った唐突なクレーターも、今になってようやく脈絡がつながった。


S級ハンター、ファン・ホン。


異名は阿修羅。


絶えず食い扶持を争う餓鬼と修羅の闘将。


好き嫌いなく手当たり次第に食い散らかし、過ぎ去った場所に残るのは、素敵な食事があったという痕跡だけ。



「チッ。完全に現場押収。」


一番面白いのは、他人の家の火事見物。


ジオはか弱い一般人モードで、すぐに口を覆い隠した。


あらまあ!私は今、とても驚いていて、ショックを受けていますわ。


「ま、まさか……、豆腐王さん、ご隠居ポジ……?」


「違う。お、落ち着け、にゃくざさん。ちゃんと説明できるから。ま、そのスマホはちょっと置いて!あ、ああ、カメラを起動しないで!とりあえず落ち着いて話、うっ、そこに虫、虫!」


「ひゃあ!どこどこ!」


パサッ、パーン!


ポトッ。


……


「……あった、のに……?」


「……」


「……死んでる……」


……


静寂……


いや、静まり返っている。


本能的な防御機制だった。


中型蟲種モンスターを魔力で引き裂き、瞬殺してしまったキングジオが、目をパチクリさせた。


あ……えっと。


静かに、錆び付いたロボットのようにぎこちない手足を動かしてみる。


しゃがみ込みながら床に投げ捨てた携帯電話(4年契約)から、そっと拾い上げた。


カシャカシャ、カシャ。カシャ!




「……自動連写モードにしちゃってて。」


「……あ、ああ。いいよ。削除はまあ、ゆっくりやっても大丈夫だから……」


「ご配慮ありがとうございます……」


「どういたしまして……」


妙な沈黙の中、そうして数分。


わけもなく色眼鏡を外したりまたかけたり、周囲も一度サッと見回したりしながら。服についた埃までポンポンと払った二人。



お互い、長い言葉はもう必要ない。


ファン・ホンは無言で人差し指を立てた。


「お前もか……?」


完璧な現場検挙。


逃げ道なし。


すべき答えはすでに決まっている。


というわけで、計算を終えたキョン・ジオは、ゆっくりと親指を立てた。


照れくさそうな笑顔と共に。


「私もだよ……!」

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