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327話

【作業失敗!】


【ネットワーク管理範囲超過のため、権限を上位管理者に移管します。】


「万流天秤オープン。」


『候補の功績を計算中です。』


「上位管理者たちが緊急会同を開始します。」


初めて見る色のメッセージウィンドウが表示された。


ウィンドウ自体は聖約星と最初の契約当時、そして彼がバベルから警告を受ける時に見えたものと類似していた。


【新しい管理者メッセージが到着しました。】




続いてリアルタイムでタイピングするようにカーソルが点滅した。



「Admin:入力中……」


「Admin:十悪軍団の大君主は、魔王と共に星系全体でも指折りの強力な候補でした。莫大な功績値を最終合算まで一定の時間がかかると思われます。魔王のご理解をお願いします。」



待ってほしいというメッセージは以前と態度が違っていた。類例なく丁寧なメッセージを見てジオは直感する。


そうか。


この合算結果によって彼女が星の座に登極するかどうかが決定されるのだ。


彼らの最高管理者、バベルの王。


名前の通り神聖な座(聖座)に座る可能性が有力なだけに、彼らもまた軽々しく扱うことができなかった。当然慎重にならざるを得ない。


しかしそれもまたジオが知ったことではなかった。


タッ。


キョン・ジオは、地面に足をつけた。


勝利が過ぎ去った戦場は、いつの間にか真夏のように緑が生い茂っていた。


蘇った土地が王の魔力を食べて無数の生命力を撒き散らした結果だった。


そしてその青く溢れかえる生命の海の上に、偉大な魔法さえ蘇らせることができなかった犠牲者たちが横たわっている。



「……ペク・ドヒョン、起きて。もう終わったよ。遅刻したくせに先輩たちがみんな立っているのに寝てたらどうするんだ。」


「ドミ、やめて……」


「私の盾術を学びたいって……10年ちゃんとついて来れば教えてやると言ったじゃないか。分かったと言ったのに……新入りのくせに先輩と、ひっく、先輩とした約束を、ぐすっ、破るのか?生意気なやつが、抜け、抜けやがって……」


うつ伏せになったドミがすすり泣いた。


その隣には、無理やり涙をこらえるバビロンギルドのメンバーたちの顔が見えた。ぼうぜんと座って見つめるキョン・ジロクも。


ジオが近づくと、彼らはゆっくりと席を空けてくれる。


目を閉じたペク・ドヒョンの上に暗緑色のコートが覆われていた。ギルド員たちが収拾したのか顔は血痕もなく綺麗だった。


穏やかで……ペク・ドヒョンらしい顔だ。穏やかな微笑みが浮かんでいる。


ジオはじっと見ていた視線を上げた。


周りを見渡すとあちこちで白光がほとばしり出ていた。ヒーラーたちが到着したのだ。


タダダ!


「ジオ !ここに君のドビー連れてきたぞ、よくやった……!……え?」


走ってきたチェ・ダビデがぴたりと立ち止まる。彼女の手に引かれてきたナ・ジョヨンも同じだった。


自分が何を見たのか理解できないように顔が戸惑い、徐々に揺れ、ついに崩れる。


「あの人がなぜ……そ、そんなはずが……ジオ様、まさか違いますよね?」


彼らはチュートリアルから一緒だった仲間だった。


華やかにデビューした二つの新星は競争するようにジオの両隣に立って毎日いがみ合っていた。決して良い


仲とは言えなかったがジオと共に歩む道に互いがいない絵も想像したことがなかった。


ナ・ジョヨンがどさっと座り込む。


誰も口を開かなかった。


ついに幕を閉じた戦場には、抑えられた嗚咽と苦痛だけが満ちていた。


戦争とはいつもそうだ。


勝利の余韻はつかの間、これほどまでに虚しい。


「……みんなこんなことをしている時間はない。申し訳ないが、ゲート閉鎖過程も残っているし、完全に閉じるまでは全国に残った子ゲートも処理しないと。遺体は。」


どうにかこうにか言葉を紡いでいたジョン・ギルガオンの言葉が、ジオと目が合うや否や、ぼやけていく。言葉に詰まった。親しい人の死がどんな意味なのか、彼も知らないはずがないから。


キム・シギュンが適切に引き継いだ。



「参戦勇士たちの遺体は私たちがソウルまで運ぶ責任を負います。お任せください。」


目配せを受けたセンター要員たちが動き始める。遺体を収拾する彼らの手つきが慎重だった。


ジオは考えた。


「このまま終わりなのか?」


本当にこのまま終わりなのか?


このままペク・ドヒョンを……。


考えに沈む顔のジオ。


一人の時間が必要だろう。ジョン・ギルガオンが一歩退いてキョン・ジロクの肩を掴んだ。


「辛いだろうけど、乗り越えることになるだろう。嫌でも好きでも時間は誰にでも容赦なく平等だから。キョン・ジロク?私の言うこと聞い……」


「••••••お姉さん?」


彼の肩越しを凝視するキョン・ジロクの目が揺れた。


今さっき目が合ったキョン・ジオの眼差しが……あれは、明らかに「ごめん」という意味なのに……?


その時、キョン・ジロクについて頭を回したジョン・ギルガオンの頭の中に何かが閃いた。







「兄さんのようなハイランカーまでやられるなんて……。本当にただ事ではないことだったんですね。また起こる可能性はないんでしょうね?」


「さあ。世界で一番安全な場所に置いたからそう信じてみるしかないな。」


「……世界樹の影の枝!」


「アカデミー設立問題はともかく。ところでこれはどうしようか?適当にキングが包帯は巻いておいたけど

時限爆弾も同然じゃないか。ふむ、どこに埋めておこうか?」


「頂戴。」


「え?キングが保管するの?」


「じゃあなんだ、お前みたいな弱虫がするのか?また呪われたってゴロゴロするなよ、安全に世界最強者に預けておけ。」





[影の枝]で可能な願いの回数は全部で3回。


オローズが願いをら二つ叶えたから……まだ最後の一回が残っている!


ジョン・ギルガオンの目が大きくなった。


「まさか••••••!」




遅かった。


ジオの手にはすでに黒色のねじれた木の枝が握られていた。


いつか使うかも知れないと小さく変えてネックレスに入れておいたもの。ジオは今表示されたアラームウィンドウをちらっと見た。


「功績最終合算完了。」


「「古い終幕」の扉を開けるのに失敗しました。」



『Admin:残念な試みでした。最終は不発でしたが「終幕」の扉が少し開くのを確認したので状況は鼓舞的です。魔王の挑戦を見守り続けます。』


笑わせるな。


続ける?


こんな戦争をまたしろと?それとも星系を歩き回り過去のウィンターをまた殺せってこと?



両手で木の枝を掴むとアイテム情報が表示された。


> 悪意に汚染された世界樹の影の枝(神話)


> 分類:シナリオアイテム


> 使用制限:3回使用可能、インベントリ保管不可


— 所有者の願いを3回に限り何でも叶えるが、その直後に運命を食い尽くす影の霊獣のターゲットになる。




ボキッ。


折る手には一抹のためらいもなかった。


「【ペク・ドヒョンを復活させて。】」


断固たる願いと同時だった。


「え、……」


「ジオ様!待って……!」


慌てて叫んだジョン・ギルガオンをはじめとしたキョン・ジロク、周りの人々の動きが遅くなり……。


世界が止まるようだった。


「干渉」だ。


キョン・ジオは、落ち着いて待った。


ピロン。


予想通り静寂の中でシステムウィンドウが表示された。


【使用者の注意が必要です!】


【該当アイテム〈虚無の呪い〉使用時、規律外の特殊ペナルティにより覚醒者のすべての功績値が消滅します。】


【続行しますか?】


「ああ。」


[....]


見えないものが慌てているのが感じられた。沈黙していたウィンドウが消え、すぐに慣れ親しんだウィンドウが再び表示された。


「Admin:もう一度聞きます、魔王。本当に〈虚無の呪い〉を使用しますか?一度選択したら、、取り返しがつきません。」


「Admin:慎重な決定をお願いします。やや不親切だったことを認めますが私たちは魔王の敵ではありません。』


「Admin:管理者には中立の義務があり偏った助言はできません。しかし言っておきますが、星系歴史で魔王ほど「終幕」に近かった挑戦者はいません。この点、銘記してください。」


「それで。その立派な終幕までの功績値というのがどれくらい必要なんだ?」


「Admin:、、、、」


「お前たちも知らないのか?」


メッセージは返事がなかった。


そうだろうと思った。


今まで終幕に到達した者がいないのに、その下の管理者という奴らが知るはずがない。


今だってそうだ。


自分たちも開くと信じて丁寧に振る舞っていたくせに戻ってきては、あれ?失敗したね。残念だからもっとやってみろと呑気に応援したりして。


ジオは歯をむき出した。


「ペク・ドヒョンを生かして。言い訳はいい。」


正直に、もうこの身は終わった。


限界を壊しながら一緒に壊れた器を魔力と意志だけで繕った状態も同然。いつ爆発するか分からない活火山と変わらなかった。


許された時間はとても短いだろう。


どうせ終わりなら生かす人は生かすのが良い。コスパ、韓国人として生まれた以上仕方がない。効率の悪いことは我慢できない。


「そうじゃない?」


時間が元の速度に戻った。


キョン・ジオは、目をぱちくりさせた。



すすり泣く声と共に、遠くで再び息が吹き込まれたペク・ドヒョンの胸が上下し、ジオの方を見ている人々の顔が驚きで歪む。


ナ・ジョヨンが蒼白に顔色を失って絶叫した。チェ・ダビデは、、呆然としていた。


ダメだ。


キョン・ジロクが崩れるように走ってくる。


足がもつれたように倒れ、急いで起き上がりながら絶望する顔で腕を伸ばす。


姉さん。


姉さん!


あれほど切実に叫んでいるのに声が聞こえなかった。


その手を握ってあげたかったが、……不可能だった。


キョン・ジオは、自分の体を覆い飲み込む影たちを感じた。


「ああ……容赦ないな。冷たいな。」


笑おう。


愛する私の人々が長く悲しまないように。


キョン・ジロクの涙の中に明るく笑うジオの顔が刻印のように描かれた。やがて…暗黒が訪れた。





【すべての功績値が初期化されます。】


【覚醒者の所属が消滅します。】


【順位が変動します。】


【通行券使用確認。】


【条件を満たしました。】


【星の墓場、「無主の地 – 知恵の海」に移動します。】


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