3話
バベルネットワーク
▷ ローカル ─ 大韓民国
▷ 国内ランカー1番チャンネル(ランキング1~50位圏)
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サンサン:うちのバビロンは今週38階攻略を諦めます。明日公文を回しますが、攻略組の運営に参考にしてください。
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ゴールドロース:え?なぜですか?もうすぐチュートリアル期間で空白が長くなるのに。
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ダビデ:知ってる、全部見た狂ったバンビの奇行がまた始まったんでしょ?ギルド長がいなくてどうやって攻略するんだよ。だから早く人員を増やせって言ったのに、少数精鋭は何だよ。
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ダビデ:あいつもマジでどうしようもない。ジョーがどこにいるか知ってて捕まえに行くのかよ。自分の家族でもないのに?もう諦めるべきじゃないか。マジ笑える
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ダビデ:クソㅡㅡ
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夜食王:キョン・ジロク攻略しないの?今から出発する
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明日免許更新:ところで速報見ました?アメリカが42階をクリアしたとか。噂によると44階まで連携シナリオだからすぐ終わるとか。これじゃ差が開きすぎじゃないですか?
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サンサン:うちのギルド長が攻略途中で飛び出した理由がそれです。
「お前、マジで俺を狂わせる気か?部屋にクソ、布団の中に蜂蜜でも隠してるのか?」
「うわ......」
「S級が4人もいる国で!しかも月間ランキング3位の保有国がまだ30階台でうろうろしてるなんてありえないだろ!恥ずかしくて顔を上げて歩けない!」
「私とは本当に合わない......」
ジオはむすっとした顔で耳を塞いだ。ジロクは部屋の中まで追いかけてきて指をさしてきた。
三兄妹の次女。
正確に11ヶ月違いで生まれた弟ジロクは国内5位のランカーだ。
韓国で4番目に出現したS級でもあった。
幼い頃から負けず嫌いだったジロクは、バベルのチケットを受け取ると、まさに水を得た魚だった。
狂ったようにチュートリアルをかき回し、星位もそれなりにうまく出会い、等級もよくもらって順位を更新また更新。
すでに5位圏まで駆け上がってきた。
もちろんS級判定を受けたからといって、天上界の順位にすぐに入り込むわけではない。
等級は 、その人の器を示すだけ。
どんな星位とどんな風に出会い、またどんな才能を持っていて、それをどう開花させるかによってそれぞれ違った。
ランキング最上位圏には等級の限界を超えたAAA級ランカーたちがたくさん布陣しているから。
彼らは本当に怪物だった。
ジロクだけでなく、国内2番目のS級であるダビデも現在8位。3番目の夜食王も6位。
だから虎が非常に例外的で稀なケースなのだ。
「やることといえば息をすることしかないのに、ずっと強くなるなら、お願いだから、義務感とか良心とかも少しは持ってくれ。死ぬほど頑張って生きている人たちに申し訳なくないのか、食い扶持!」
[あなたの聖約星、「運命を読む者」様が、事実かどうかは別として、言葉遣いが少しきつくないかと小さく咳払いをします。]
[姉とそっくりじゃなかったら、あいつの行儀をただでは済ませなかったと少し不快な気持ちを表に出します。]
「お星さま、我慢して。私も我慢してるじゃん。言ったでしょ?あの子がうちの金づるだって。」
食い扶持はもともと現実把握に優れている。
金づる様と相性が悪くても我慢しなければならない。
ジオはジロクのカードで買った最新のiPadを見ながら騒音をひたすら我慢した。
「聞いてるのか、力隠し?」
「うん。でも私、力隠しじゃない。」
「じゃあ何?」
「力隠し傍観。」
「......?」
何それ?
聞く耳を持たないので一人で疲れてしまったジロクが眉をひそめた。
ジオも顎を上げる。黒いおかっぱが揺れた。
「力を隠した傍観者。」
「......」
「オフィシャルだよ。ステータスウィンドウに性向も『自由な魂の傍観者』って書いてある。」
二つの涙ぼくろのある猫目が今日に限ってとても憎たらしく見える。
あのどうしようもない食い扶持引きこもり......
ジロクは瞬間、親族処決の刑量がどのくらいになるのか本気で気になった。
* * *
何もしていない現在の1位が非難されないのには当然理由がある。
覚醒者の総合的な強さを計算するランキングは流動的。
したがって、バベルネットワークはチャンネルの「基準」を生まれ持った等級に合わせた。
等級別の強者をどれだけ保有しているかによってサーバーを拡張してあげ、価値がないと判断したところには下位ローカルチャンネルを開設してあげなかった。
サーバー拡張とチャンネルの確保は国家にとって非常に、本当に、とても重要だった。
ローカルサーバーの大きさに応じて配られる「チケット」数が違ったから。
また、下位チャンネルが開設されると、該当地域に「フォーマルダンジョン」が生成されるだけでなく、亀裂の座標まで事前に受け取ることができる。
「チケット」の数は 「覚醒者」の数であり。
フォーマルダンジョンの生成は安定的な狩り場および訓練所の形成であり。
予告された亀裂の座標は市民の安全と直結する。
突発的なゲリラダンジョンと亀裂が今もないわけではない。
しかし、バベルネットワークがチャンネルを開設して管理してくれる時とそうでない時の頻度は天地の差だった。
S級覚醒者が現れる前の韓国はまさに混沌の坩堝。
マジでガチでヘルモードのヘル朝鮮。
ハンターたちは不足している人員で全国各地を死ぬほど駆け回り、彼らが到着できなかったところでは犠牲が絶えなかった。
他の国家、先にS級が登場した国々が急速に安定していくのを見て、皆切実に祈った。
どうか私たちにもS級を授けてください。
まさにそんな中。
世界で5番目に、
また歴代最も強烈な登場で。
大韓民国初のS級が誕生する。
10年という歳月が過ぎ、何人かのS級たちがさらに現れたが、人々はまだ当時の待ち望みと歓喜を忘れていなかった。
ただ存在するだけでも国の運を立て直した英雄。
知られていることといえば、せいぜい魔術師王というタイトルと「ジョー」という仮名だけだったとしても。
英雄は英雄、恩人は恩人。
遊んで暮らしているが、悪口はあまり言われない1位はそうして作られた。
本当に運に恵まれた上八字だった。
* * *
「ジオ。」
「......う、うん?」
とにかく当面の現実は美大浪人生の生活。
金づるには逆らえないが、金づるの上にはへその緒がある。
ジオは緊張して乾いた唾を飲み込んだ。
長女の相次ぐ入試失敗により、最近パク女史の神経は非常に尖っている。
ひたすら頭を下げて様子を伺わなければ。
そうしなければ、また以前のように家に帰ってきたらベッドが失踪しているという悲劇が繰り広げられるかもしれない。
[星位、「運命を読む者」様が、それはお前が修能試験一週間前に外泊して帰ってきたからじゃないかと尋ねます。]
「お星さま、空気を読んで。」
タン。
パク女史がスプーンを置いた。
ジオはよく食べていたスンドゥブチゲの匂いが首を絞めるように感じられた。
キョン氏三兄妹。
長女は国内不動の1位力隠し傍観であり、次男は狂った鹿と呼ばれる5位トップランカー。また末っ子は悪魔に魂を売った関種YouTuberだったが。
この4人用の食卓での最強者はヤクルト訪問販売員、1洞担当フレッシュマネージャーパク・スンヨ氏だった。
「最近どうして金をくれって言わないの?」
「え、え?」
「いくら様子を伺っているとはいえ、あの子があまりにも使わない。だからこれは一体どういう意味だろうかと母さんがじっくり考えてみたのよ。」
何かかなりヤバい予感が強烈にした。
「もしかしてジロクのカード使ってるの?」
「ヒック。」
ゾ、ゾーッとする。
創造主の勘、怖い。
ジオが目を丸くしたまま固まった。
あ、あ、嘘もつけないあの忌々しい仇。
ジロクは横でヤバいことを悟り、箸を置いた。おとなしく目からさっと伏せた。
「ジロク。」
「小人、糸のような血縁の情に目が眩み、死ぬ罪を犯しました。お母様、この不孝者を許さないでください......」
「5秒あげる。あの子にあげたカードの明細を持ってきて。」
「命、即座に承ります、ママ。」
命拾いしたジロクが立ち上がり、深々と頭を下げた。
ああ、クソ。
ジオもガバッと立ち上がり、ダッシュした。
お母さんに覚醒者であることを隠しているので魔法も使えなかった。サンダルを適当に履いてそのまま走り出した。
[星位、「運命を読む者」様が、それだからiPad Proはもう一度考えろって言ったじゃないかと深くため息をつきます。]
「あ、黙ってて!」
[義母さんが明細を見たら気絶しそうだけど、こうなったからにはうちの塔にでも行く?とさりげなく口笛を吹きます。]
[めちゃくちゃイケメンのお兄さんがうちの赤ちゃん子猫ともっと仲良くなりたくて24時間待機中というプラカードを「運命を読む者」様が壁に丁寧に貼ります。]
「嫌だって、消えろ!変態!私があなた気持ち悪いからおじさんだってバレないようにしろって言ったでしょ!お星さまでいろって言ったじゃん!」
[あなたの聖約星、「運命を読む者」様がおじさんとは!俺がおじさんとは?こんなイケてるおじさん見たことあるかと食ってかかります。]
「私より年上ならみんなおじさんだよ、黙ってて!」
『星痕、強制開門。』
『究極星位、「■■■■」様が身を起こし、自身の唯一の化身に囁きます。』
【子猫。前に亀裂。】
ほんの一瞬だった。
笑みを帯びた声が一瞬にして過ぎ去る。
ジオはピタッと立ち止まった。
夢中で死ぬほど走っていたので気づかなかったが、いつの間にか地下鉄駅が目の前だった。
「事前に知らせてくれるほどってこと?」
「星痕」は星約の証であり、星と繋がった魂の門だ。
ジオの聖約星はとても気まぐれで、とても強いので、しばしば法則を無視して勝手にこれを開けたりした。
しかし、いくら強くてもバベルの法則を無視する行為であるだけに、数分程度は星位も沈黙することになる。
彼の言い分ではバベルが問い詰める時間だとか。
とにかく、だからジオが嫌がることを知っているので、よっぽどの状況でなければあまりしない。
うーん......避けるという意味かな?
「知らせてくれるならちゃんと知らせてくれればいいのに。何よ、このうんこを途中で切られた気分は?」
ジオはフードを深く被り、両手をポケットに突っ込んだ。
そしていつも片方に畳んでおくチャンネルウィンドウを開いた。
バベルネットワーク
▷ ローカル ─ 大韓民国
▷ 国内ランカー1番チャンネル(ランキング1~50位圏)
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夜食王:おいクソバンビ、あいつ38階の魔石全部かっさらっていったのか、良心どこいった
ここはいつも通りくだらないことを言っているし。
次にワールドランカーチャンネルを開こうとしたジオがハッとする。
もちろんバベルネットワークの翻訳は非常に優れているが......、まだ修能英語領域の傷が癒えていない......
外国人を見るには時期尚早だ。
「そうよ。それにソウルの亀裂なのにワールドチャット見て何になるの?」
いつも通り興宣大院君マインドでスルーしながらジオは国家チャンネルと地域の方も探ってみた。
カカオトークシステムとそっくりでチャットルームが非常に活発なランカーチャンネルとは異なり、こちらはバベルの告知だけが表示される。
案の定。次のチュートリアル開始までの時間を知らせるストップウォッチしかなかった。
「モンスターウェーブじゃないってことはゲリラダンジョンかサドンゲートでしょうね」
家の近くなのが意外だけど、それくらいならセンター所属の公務員ハンターたちだけでも十分に防げる。
力隠し傍観キョンジオは軽い足取りで近くのスムージーキングに向かって歩いて行った。
そして......
「え?」
最近の突発亀裂の難易度はみんなこんな感じなの?
ジオは深刻な顔でストロベリーエクストリームをちゅーっと飲んだ。




