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29話

* * *


「フォーマル」と「ゲリラ」。


ダンジョンはこの二つに大きく分けられる。


もちろん、細かく見ればシナリオから始まり、クエスト、ファーミング、インスタンス、レイド、トレーニングなど非常に多様だが、大きく見ればそうだった。


「フォーマルダンジョン」が主に安定した狩場や魔石採掘、訓練目的の場所として運営されるなら、「ゲリラダンジョン」の場合は大抵、厄介なクエスト型が多い。


特に、タイムリミットが付くと、時間を超過した場合、ダンジョンが暴走したり、甚大な周辺被害を引き起こしたりした。


「こんにちは。ご苦労様です。」


「身元確認をお願いします。」


「えー。おじさん、何言ってるの?ほら、このギルドマークが見えない?」


「おじさんではなく、構造鎮圧1チーム所属のタク・ラミンです。二度言いません。身元を。」


「……く、構造鎮圧1チームの要員でしたか。今回、4級ダンジョン攻略を担当する〈インバイブ〉ギルドの第2攻略隊です。」


「CC級覚醒者のシン・ジンチョル攻略隊長以下6名で間違いないですか?」


「はい。」


「少し遅れましたね。ブリーフィングをしますので、片側に集まってください。」


「あ、それがですね。まだ一人来てなくて。4級なので上から一人送ってくれることになったんですが、少し遅れてるんです。」


だから何?


正確にその表情でタク・ラミンが眉を上げた。


「時間制限ダンジョンです。暇なんですか?」


「いえ、それが。うちが黎明傘下なので……。いわゆる下請けの苦労が……。あ、いえ、何でもないです。とりあえず進めてください。」


先にさっさと向きを変えるタク・ラミン。


後ろで攻略隊員たちが文句を言った。


「マジかよ。なんであんなに気難しいんだ?構造鎮圧1チームだからって偉いのか?」


「ほっとけ。キム・シギュン直系、国家超エリート様だぞ。人生そのものがカチカチなんだろう。」


冷たい性格と相まって、要員タク・ラミンのブリーフィングも簡潔だった。


タイムリミットクエストダンジョン。


攻略人員制限10名。


時間制限20時間。難易度4級。


攻略隊は真剣な表情で聞き入った。






計8つに分かれるダンジョン等級のうち、上の四つが上位等級。誰もが欲しがる、いわゆる「金持ち」ダンジョンだ。


その中でも「4級」は比較的低い難易度と豊富な報酬で競争が最も激しかった。


今回は攻略の成否に関わらず消滅する時限爆弾ダンジョンなので、機会は一度きり。


この件を獲得しようと上層部〈黎明〉が自ら乗り出したのだから、どれほどだろうか?


しかも、人まで送ってくれるという。


もちろん、報酬が目的だろうが、万が一うまく取り入れば上層部との繋がりができる。


上に上がる梯子だけを待つ傘下ギルドにとっては、まさに黄金の綱だった。


「今までの内容で質問はありますか?」


シン・ジンチョルはさっと手を挙げた。


実はさっきからとても気になっていた。


「はい、何ですか?」


「あそこの子供は何ですか?なぜここに?」


その言葉に一斉に注がれる「お前誰だよ?」という視線。


あちこちに響くサイレン、慌ただしく動く関係者たち。


バリケードと出入制限統制線を張った緊急現場の中。


誰が見ても関係ない人のように厚い毛布を被り、温かく温めた牛乳をゴクゴク飲んでいたキョン・ジオが目をぱちくりさせた。


え?私?


緊張したおじさんハンターたちの視線をじっと見つめる。


【聖約星、「運命を読む者」様がうちのベイビー演技、演技を忘れてると教えてくれます。】


「しまった。」


私は不運な浪人生の民間人。


突然のダンジョン出現で友達を失いました……。


ジオはしょんぼりと目を伏せた。タク・ラミンが近づいて肩を軽く叩く。


「失踪した民間人の方々のご一行です。すぐ目の前で目撃しただけに、まだショックから回復されていません。言動にご注意ください。」


おそらくこの中で一番健康なキョン・ジオがその言葉にわざとらしく咳き込んだ。肩も一度ぶるっと震えながら。


内心はどうあれ、見た目は十分に小さな子供がそうしているので、妙に粛然となる大男たち。


「そうだったのか。チッ。幼く見えるのに……。」


「でも、なぜ病院に連れて行かないんだ?もしかして、あの子が失踪者たちの人相着衣でも説明してくれるのか?」


「いいえ。ご存知のように『ダンジョン化』は生成当時の周辺と融合するではありませんか?最も近接した目撃者だっただけに、今回のクエストアイテムがジオさんの所持品の中に現れたせいで……。ジオさん、この方々に見せてください。」


ジオはごそごそとアイテム化したヨンガリフィギュアを取り出した。


ダンジョン化直前、バトラー・ソ・ガヒョンと分け合ったキング・ザ・ジョーセットフィギュアだった。


▶ 真の友情の素晴らしさを知らないあなたかわいそうフィギュア/スペシャル/


▷ 分類:クエスト特殊アイテム


▷ 使用制限:なし(帰属可能)


━ キング・ザ・ジョイマジシャン王「ジョーリミテッドエディションセット」。


━ 真の友情の素晴らしさが込められている。相手に向けた執拗な友情の求愛が生み出した繋がり。


▷ 効果:セットアイテムを分け合うと相手の位置把握が可能


「しょぼいおもちゃのように見えても、位置追跡アイテムのようです。重要性はよくご存知でしょうし、事実上今回のクエストのキーと言っても過言ではありません。」


「ほほう。使用者制限は?」


「な……」





「遅れました!」


まさにジオが答えようとした瞬間。


遠くから慌てて走ってくる一人のハンター。


かなり見慣れた顔に、居合わせた全員が驚く。タク・ラミンでさえ戸惑った様子だった。


「来るはずだった人はユン・ウィソハンターでしたか?」


「あ、違うけど?あいつは上層部じゃなくてうちの……。おい、お前、一体何なんだ!」


汗まみれのランカー、ユン・ウィソが息も絶え絶えに肩で息をした。


「志願、志願しました、第2攻略隊長。どうか中に入れてください。弟が、弟があの中にいるんです。」


「ダンジョン内部に閉じ込められた民間人は全部で18名ですが、ユン・ウィソハンター、名簿の確認はしましたか?」


「ユン・ガンジェ!ここの塾に通っているユン・ガンジェが私の実の弟なんです。さっきから連絡も取れないんです!」


「……とりあえず落ち着いてブリーフィングから聞いてください。その状態ではどこにも入れません。」


「ちょっと、ちょっと待ってください!お前、ついて来い。」


顔をしかめてユン・ウィソを片側に引きずっていく攻略隊長。


タク・ラミンと残りの攻略隊員たちは再びジオを見つめた。


民間人キョン・ジオは何事もないように手の中のフィギュアをぎゅっと握って答えた。


「帰属アイテム。」


「え?」


「帰属アイテム。」


「いや、さっきは確かに制限な……」


「帰属。」


「……」


まるで広場で中立国を叫ぶかのような気概。


一寸の隙もない民間人の断固たる態度に、居合わせた全員が言葉を失ったその時。








「遅れました!」


「また?」


あちらから慌てて走ってくる一人の男。


男にしては少し小柄な背丈。


オーバーフィットの長袖Tシャツでも隠しきれない首下のタトゥー。


それとは相反する豆腐のような顔立ちの美少年のような顔。偽装用のサングラス。


「はあ。車がこんなに混むとは。めちゃくちゃ混んでるね。」


「何だ、雰囲気どうした?誰かは知らないけど、めちゃくちゃだな。」


訝しげな様子で攻略隊員の一人がぎこちなく挨拶した。


「も、もしかして黎明から来られるという方……?」


「はい。私がまさにファン・ホ、   ゴホン、ホルです。ホル。ファン・ホル。」


「……名前がとてもユニークですね。」


「ああ、弟はファン・ホンです。ホルとホン。セットでしょ?まあ、両親の趣味がそうだったんですよ。」


「ああ。確かに、ファン・ホン様以降、一文字の名前をつけるのが流行だと言いますね。」


ご隠居オタクのファン・ホンが満足げな笑みをこらえようと厳かに咳払いをした。


「すごい奴ではあります。まあ、家族の誇りであり、ソウルであり、宝であり。」


「え?いや、そこまででは……」



見知らぬ奴から聞き覚えのある匂いがする。


このエリアのご隠居オタク、キョン・ジオが気まずそうに腕を組んだ。


「どこかで見たけど。」


【聖約星、「運命を読む者」様があんたの弟のライバル志望のあいつじゃないかと耳打ちします。】


ああ。


ああ……あの小麦粉ヤクザ。


同じ期、同じ年代。


また、同じ等級。


バベルの塔の29階が開かれた年。


並んで登場した二人の少年はそれぞれ韓国の3番目、4番目の「S級」と判定され、一大波乱を巻き起こした。


キョン・ジロク、15歳。中学校2年生。


ファン・ホン、19歳。高校3年生。


センセーショナルだった二人の10代のデビュー。


幼い年齢にふさわしく、猪突猛進で破格な歩み、眩しい才能まで。


世間ではこの才能の塊たちをまとめて「黄金世代」と呼び始め、今でもよく引き合いに出される定番のネタだった。


彼らの全く異なる歩みも熱い話題性に一役買った。


キョン・ジロクが連日塔の記録を更新し、強いリーダーシップを持つ「若きボス」として海外でも名声を高めていく一方。


ファン・ホンは裏社会たちの「ヘッド」として地下世界を掌握。


職種が職種なだけに、マスコミへの露出もかなり少ない方だった。


それでもジオが顔までちゃんと覚えているのは、ファン・ホンのしつこい執着のおかげ。


チュートリアルで1点差でキョン・ジロクに負けて次席になった時からか?抜きつ抜かれつのランキングのせいか?


いつもライバル意識を燃やしているので、キョン・ジロクが文句を言うことが一度や二度ではなかった。


ヤクザ野郎だと何度も聞いたせいで、1番チャンネルで見かけるたびに近所のヤクザのように感じられるほど。


いくら鈍感なキョン・ジオでも素性を記憶せざるを得なかった。


とにかく、何?


じゃあ今、あの偉そうな奴がここでご隠居オタクごっこを?


カニの醤油漬け、豚足屋たちも元祖の目の前では商売しないのに、何であんな道徳心のない奴が!


「まるで生焼けの小麦粉の塊みたい。」


身勝手なジオの目が細くなった。横に立つファン・ホンを見て静かに呟く。


「ファン・ホル?うわあ。すごくファン・ホンのパクリみたい。」


「……ゴホン。」


「もしかしてファン・ホンじゃない?まさかご隠居オタク?」


「……」


「ファン・ホン、クソ野郎って言ってみろ。」


「……」


「聞こえないふりをするつもりか?」






バベルネットワーク


▷ ローカル ─ 大韓民国


▷ 国内ランカー1番チャンネル


| 9 |


ギュニギュニ:金曜日くらいに終了すると見ていいでしょう。そしてお願いですから、どうか事前接触はやめてください。特にバビロン。


| 8 |


ダビデ:とにかくバンビ、こいつは金を使いすぎる。無駄遣いしすぎ、マジで


| 1 |


ジョー:ファン・ホン今どこ?





瞬間、そのまま停止する1番チャンネル。


そして再び上がる時は、まさに爆発的だった。





バベルネットワーク


▷ ローカル ─ 大韓民国


▷ 国内ランカー1番チャンネル


| 8 |


ダビデ:えっ


| 20 |


明日免許書更新:えっ


| 44 |


イシグク:マジか


| 50 |


カンスヤン:きゃー


| 35 |


生えろ髪の毛:ワオ


| 27 |


ドミ:マジで?何


| 5 |


バンビ:??


| 12 |


サンサン:オ


| 8 |


ダビデ:????


| 8 |


ダビデ:ななななな何


| 8 |


ダビデ:ふぁファン・ホン、ついに死ぬのか?何やったんだ?どんなやらかしをしたんだ


| 4 |


白鳥:やらかしじゃなくて何をやったかだ。


| 6 |


夜食王:



「えっ。」


「……」


「クハッ?」




バベルネットワーク


▷ ローカル ─ 大韓民国


▷ 国内ランカー1番チャンネル


| 6 |


夜食王:37º34'19.1"N 126º59'15.3“E


| 6 |


夜食王:報告します。ファン・ホン現在位置ソウル鍾路区xx洞4級クエストダンジョン前


| 6 |


夜食王:です


……


「バカ……」


ジオは思わず呟いた。


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