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275話

「ID組の「勇猛な斧」三つ目巨人のハバキ!連戦連勝!氷精の剣士で有名なサンドリアのオルドを指一本動かせないまま、6回目の勝利を収めます!」


どれだけ叫んだのか、もうすでに声が嗄れている。熱い歓声の中、巨人戦士がセレモニー代わりに愛兵を振り回した。


ヒュエエエエク!


ぞっとする破空音に待機していた参加者たちの表情が歪む。


「ちくしょう。間違って当たればあの世行きだ……」


「抵抗特性が問題だ。何もかも通用しないじゃないか。よりによって三つ目族と同じ組だなんて。半分とは言え、紛れもなく神族なのに。」


「諦めて見物でもしよう。あそこに7人目の犠牲者が出ていくぞ。」



ドシ、ドシ。


重い靴音が人波を通り過ぎる。


「果たして好事家たちの予想通り、D組はハバキの生贄となってしまうのでしょうか!ラウンドが続きます!お、今回は無名ですね!フェスティバル初参加だそうです!」


「チッ、ダメだな。」


「体力だけでも削ってくれればいいんだが、5分も持てばいい方だろう。」


「チャンネル「国家大韓民国」の鬼主!所属サーバーのランキングは4位、ローカルランキングは2位の、なかなか手堅い強者です!」



「なかなか……?」


失笑しながら舞台の上に立ち止まった長身の男。


ありふれた防具一つなく、身に着けているのは黒色のスーツだけだ。


胸元まで開けたシャツの襟が風になびいた。普段と違う点はそれくらいだった。


巨人がせせら笑った。


「武器を出せ。もう諦めたのか?」


「ああ。」


手が寂しいな。


虎は頷きながらタバコを取り出した。ゆっくりと人差し指と中指の間に挟む。


「こいつ、マジか……!」


挑発までされた状況で、配慮なんて必要ないだろう!ハバキの目に青い雷電が走る。


神話が彫刻された斧の刃が、躊躇なく放物線を描き。


「あ!そんな!」



ドーン!


場内が死んだように静まり返った。


血相を変えて喚いていた観衆や司会者はもちろん、待機席、そして……


泰山のように揺るがなかった巨人ハバキまで。


腐食した斧の刃の滓がパラパラと散らばる。みすぼらしく骨組みだけになった斧が、倒れたハバキの傍らに転がった。


[秘伝権能、鬼主キシュ直命 一 招来ショウライ 白骨腐殺ハッコツフサツ


ドシ。滑らかな靴が歩み寄り、意識を失った巨人の体をひっくり返した。


チッ、火をつける音が静寂の中に響く。


気に入った静けさだ。


虎はゆっくりとタバコの煙を吐き出しながら言った。


「次。」


レース開始は夜8時。余裕しゃくしゃくだ。ジオは競技場の上の虎から視線をそらした。


人がごった返す観客席の真ん中だが、今日のキョン・ジオはここのパイロットたちのように飛行服と濃いゴーグル、そしてカツラまで着用した状態。


こちらをちらちら見たり、関心を持つ視線は特にない。


「うんうん。無難に始まったな。」


最大限視線が集まるように騒がしく、派手なパフォーマンスが「おとり組」の役割だから。まあ、この程度なら快調なスタートだ。


計画通りだった。


D組が尋常ではないという噂を聞いたのか、ざわめきながら人波がどんどん押し寄せてくる。これ以上見る必要はないだろう。ジオは観客席から立ち上がった。


すると向かい側のVIP席。


こちらを注視していたのか、ぴったり視線が合う。緊張したような表情だが、悟られないように親指を立てて見せる……護民官サルク。


ジオは舌打ちした。


「チッ、ビビってるな。革命軍ナンバー2という奴が。」


これじゃあ革命なんて起こせるのか?


死を覚悟している、熱烈に渇望を叫んでいた昨日の姿とはまるで別人だ。


ジオは軽く笑った。


革命軍との秘密の遭遇。まさに昨夜のことだった。


「助けてください!お、お母さん!誰か助けて、うっ!ううっ!」


「黙れ。最後の一匹捕獲完……!」


覆面人がひょいと身をそらす。


パアアアク!間一髪で掠めながら壁にぶつかる石。


「誰だ!」


「知ったことか。」


「……!」


「まさか、お前が避けて当てられなかったと思っているんじゃないだろうな?エキストラは勘違い禁止ですよ。」


笑いの混じった皮肉。


覆面人が生前に聞いたのはそれが最後だった。雷が落ちるかのような閃光と共に倒れる一団。


ナ・ジョヨンが慌てて倒れた子供の元へ駆け寄った。キョン・ジロクの滑らかな手つきに、子供を縛っていた手足の結び目がサラサラと解ける。


鎖を回収したティモシーが片膝をついた。子供が安心するように目を合わせる。


「もう大丈夫だ。両親はどこにいるんだ?」


「うう……!」


素敵な金髪のティモシー・リリーホワイトは誰が見ても善人だ。子供が泣きながら慌てて彼の胸に抱きついた。


ぶるぶる震える背中をティモシーが切ない顔で見つめ抱きしめる。


なんだ、本当に子供じゃないか。


ジオは眉をひそめながら手の中の石を投げたり受けたりした。


「七歳にもなったか?完全にガキなのに、こんな子供まで誘拐するのか?たかが黒髪という理由で?へえ。」


船の上ではただキングスタウンに聖女恐怖伝説を広めた奴らの面を確認しようという好奇心、それくらいだったのに。いざ目撃すると気分がすごく悪い。


ジオの足が倒れた覆面人たちの顔を踏みつけた。ゲームセンターのポンプを踏むように力強くピョンピョン跳ねる。


「黒髪界の権威として絶対に許さない!正義キック!」


「一体いつからそんな肩書きになったんだ……。」


キョン・ジロクがあきれて呟いた。


「何?」


ティモシーだった。


サ・セジョンが何か尋ねると、シーッ、人差し指を立てる。静かになった一行にティモシーが再び子供の方を向いた。


「怖がらずにゆっくり話してみてくれるか、友達?信じてもいいんだ。僕たちはみんな君の味方だよ。」


「ううっ、と、友達……友達がいるんです!私だけお母さんとお父さんがいて、呼んでこいって、みんな助けてくれて、ううっ、お母さん、それで私だけ抜け出せたのに……。」


泣きじゃくりでいっぱいの支離滅裂な言葉


だったが、確かに友達「たち」と言った。


今夜、闇に乗じて誘拐された子供たちがもっといるということ。


彼らはためらうことなく子供の手つきについて行った。


そして。


「クソ。消えた子供が一人や二人だって……馬鹿なタヌキ。」


キョン・ジロクが悪態をついた。


城壁近くの資材倉庫が集まっている場所でも一番奥まった場所だった。守っている覆面人たちを突破し、太い南京錠を切断するまで一瀉千里。


しかし鉄の扉を開けると現れた光景には、誰もが立ち止まらざるを得なかった。


「ヒック!」


案内した子供がしゃっくりをしながら痙攣する。閉じ込められていた記憶が蘇ったようだ。虎が慣れた手つきで幼い背中をさすった。


「大丈夫だ。もう誰も君を傷つけない。」


パチン!ジオは黙って指を弾いた。同時に入る光。


危うく揺れる電灯の下、子供たちがいた。


拘束されたまま頭には袋を被せられ、誰が見ても目的が明白に見える姿で。


ざっと見ても20人はくだらない。どれだけ閉じ込められていたのか、凄惨な光景に大人たちが固まって沈黙した。


血の気がすっかり引いた顔でナ・ジョヨンが口を塞ぐ。


「し、死んで……!」


「違う。落ち着いて。」


「そ、そ、それでは……?」


「眠っている。強制だろうけど。」


いつもと同じキョン・ジオの抑揚のない声がパニックを鎮める。ナ・ジョヨンはすぐに理性を取り戻した。


生きている。ヒーラーはそれ以上考えずに子供たちの元へ駆け寄った。


「みんな、目を覚まして。大丈夫?一体誰がこんな酷いことを……!」


「ジョヨンさん、こちらの子は脱水症状があるようです。ちょっと見てください。」


そうして我を忘れて一人二人と子供たちを起こし、落ち着かせるその時だった。


タアン!


「クッ……!」


銃弾が罪のない天井を貫く。


焦げ臭いライフル銃口が握力で歪んだ。息を潜めて接近していた覆面人が呻いた。会心の一撃だったのに!


「強者だ……!」


瞬く間に距離を詰めてきたキョン・ジロクが冷ややかに彼を見下ろした。


「いつ出てくるかと思ったら遅いな?」


「クッ!子供たちを今すぐ離せ、このクズ野郎ども!」


「……何?」


制圧された覆面人がキョン・ジロクを睨みつけた。憎悪に満ちた目でわめき散らす。


「嘲弄するつもりならやめろ!神官として恥もないお前らに屈服してたまるか!ここで死ぬ覚悟があっても、お前一人だけは必ず殺してやる!汚い大神官の犬どもめ、ペッ!」


「……いや、まあ、何?」


誰が神官で、誰が何だって?


キョン・ジロクがスッと後ろを振り返ると、ジオも双子のように同じ表情だ。一体何のことだ?


銃口を握ったキョン・ジロクの握力もそのおかげで少し緩んだ瞬間。



ドーン!ガチャ!


「人皮を被ったこの悪魔の種族ども!今すぐ武器を捨てろ!今日がお前らの最後……?」


明るい電灯の下だった。


子供たちがぶら下がり、怯えた子供たちが彼らをぎゅっと抱きしめている姿までよく見えたという話。


……何、何だ?


わらわらと押し寄せてきた覆面人たちが慌てて視線を交わした。


ジオも彼らを上から下まで見回した。武装した姿だが、軍人というには秩序がなく、さっきの奴らとは服装が違った。


「誰だ、お前たちは……!」


「それはこっちの質問だ。誰が見てもそちらが乱入、こちらが先客という状況だ。」


平然と応じる虎の前へ、サ・セジョンがなだめるように進み出た。


「どうやら何か誤解があるようですが、少し話を……」


「ちょ、ちょっと!ちょっと待って!」


言葉を遮りながらそちらから慌てて飛び出してくる一人の男。


「今すぐ武器を下げろ!私が知っている人たちだ。」


「しかし……!」


気が進まないが、それでもモジモジと下がる銃口たち。


かなり発言権のある奴のようだ。


実際、感じられる武力の差があまりにも大きくて、こちらは緊張することも特にない。


危機感のない顔でジオと一行が見ていると、男が頷く。やっぱり、という様子で。


「ありがとうございます。確かに誤解があるのではないでしょうか?星間ハブに到着して四日も経っていない皆さんが、共和国の狂信者集団に合流したはずはないですからね。」


「私たちを知っているのか?」


彼が頷いた。知っています。


「子供たちを助けてくださったようですが、どう感謝を申し上げればいいのか。まずはこちらの紹介が先でしょうね。」


「部隊長、どうかしてるんですか?」


仲間たちがびっくりして止めたが、意に介さない。青年は躊躇なく自分の覆面を脱いだ。そして体を翻して言った。


「私たちは革命軍。そして私は共和国の今回の代護民官であるサルクと言います。遠くから来た『優勝候補』よ!」


決然とした表情で、キョン・ジロクに向かって……。


妙な沈黙が流れる。


言葉を失った一行の前でジオがポカンと口を開けた。ええ?


パッと顔を背けて指差す。


「バンビ、お前、お前って奴は……」


「いつ優勝候補になったんだ!?」


なるわけないだろ、馬鹿……。


キョン・ジロクの表情が腐っていった。


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