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268話

星間ハブ。中央銀河大共和国、首都キングスタウン。


長い間、星系の有名なハブとして機能してきた場所だった。


首都の中心である広場も、路地の酒場も、どこに行っても星系のあちこちから訪れた客で賑わっていた。


「マスター!今日は商売繁盛だね?売り上げも相当だろう。」


「書き入れ時だからな。『このシーズン』に商売がうまくいかなかったらどうするんだ?」


「確かに……。治安隊も大変だろうな。よそ者が文字通り押し寄せてくるようだ。」


「どうせ一時的なものさ。1、2週間もすればまた追い出されていなくなるだろう。シーズンが終わる前に急いで稼いでおかないと。」


「チッ。俺ならそんなに追い出されるくらいなら、他のハブを探すけどな。法律も他の場所より厳しいって言うじゃないか?」


「おじさん、一つは知っていても二つは知らないんだね。法律が少し厳しくても何だ!入国ハードルは低いし、社会は発達してるし。50増大からアクセス可能なハブの中では、この『キングスタウン』に匹敵するところはないんだって。他のところは無法地帯で荒れ地だって。」


トカゲの従業員の辛辣な指摘に、隣の席の労働者がビールの泡のついた髭を拭きながら頷いた。


「そうだ、そうだ!チャンネルが潰れて俺みたいに帰る場所がなくなった難民まで受け入れてくれるところがどこにある?もちろん代償は小さくないけど……」


「とにかく。これもすべて偉大なる執政官閣下のおかげだ。ありふれた外勢の侵攻すらないんだから。」


「……聖女様が目覚められたらもっと良くなるのに。」


誰かの呟きに急激に下がる温度。好奇心旺盛な従業員だけが小声で聞き返した。


「そ、眠りについているというのが本当なんですか?もう数百年も経つのに。聞くところによると亡くなったのに上が隠しているという噂が……」


「こら!大変なことを言うな!あの忌まわしい元老院の奴らが誰のおかげで死なずに永生を享受していると思っているんだ?全部その方のおかげだ、この野郎!」


「やめろ!このままでは私たち全員、不穏思想で捕まってしまうぞ。お前は早く給仕しろ!」


「はい。」


従業員を叱りつけ、酒場の主人はちらりと窓の外を見た。


忙しく飛び交う飛行船と飛竜の間でひらめく共和国の宣伝旗。


発展した魔道技術が若い執政官の顔を生き生きと描き出す。




中央銀河共和国の初代執政官であり、永遠の支配者。


世界樹と初代聖女の加護の下、あの強大な君主が崩れることはなさそうだ。


城壁は堅固であり、熟練した元老院の指揮で外部植民地は日に日に増え、押し寄せるよそ者のおかげで国庫が尽きることはない。


ああ、太平の世だな。主人は頷きながら残りのビールグラスを拭いた。




「本当に支えなくても大丈夫?」


「ああ、もう聞かないで。私が足でも折れてるって言うの?面倒くさくて死にそう。こいつを呼んだのが間違いだった。」


「心配だから……」


ティモシーがハンサムな眉をしょんぼりさせた。呼ばれるやいなやギプスをした腕を見て目を丸くし、ずっと落ち着かない様子だ。


ジオはしつこくまとわりつく大型犬の顔を無造作に叩き落とした。


ワールドクラスのランカー二人の仲睦まじいじゃれ合いを背景に、ナ・ジョヨンが深いため息をつく。


「それにしても[パンとワイン]があんな意味だったとは……。時間を巻き戻したいです。」


「馬鹿だったわ。ガイドが貨幣管理について言及した時、すぐに気づくべきだったのに……はぁ。」


「そうだね。全部あなたのせいだね。がっかり……ブレインがこれじゃ、私たちのバンビを安心して任せられないわ。」


広場から遠く離れた路地の前。


空の木の樽の上に腰掛けた人格破綻者が不良な顔でサ・セジョンを睨みつけた。沈黙する彼の背中をナ・ジョヨンが軽く叩く。


「能力が足りないのをどうしろって言うんですか、副ギルド長様。理解してますよ。世の中のすべての人が私のジョー様みたいに完璧なわけじゃないから……」


「ジョヨンさんがもっと憎らしいんですけど。」


「ミスター・アーキテクトをあまり責めないで。彼も知らなかったはずよ。」


ピーピー泣き言を言うのに忙しかったティモシーが優しく割って入った。「ミスター・アーキテクト」は結界師であるサ・セジョンの海外でのニックネームだ。


「ベンチに座ると1時間あたり3ゴールド、共用の水飲み場の水は50シルバー、市内で魔法を使うと50ゴールド……初めて来た異世界がこんなに殺伐としているとは誰が思っただろう?ハハ。」


「……そんなに諦めたように言われると、もっと良心が痛むじゃないですか。大切な客を無理やり連れてきて。」


「えー、強制なんかじゃないよ。承諾したのは私だもん。ジオと私の友情は銀河を超えるんだ。野宿もノープロブレム。ここの風景もいいし。」


ティモシーが優しく笑う。


どこに放り出されても尻尾を振るアメリカ産のゴールデンレトリバーの笑顔。ジオも頷きながらサ・セジョンを振り返った。


「聞いた?あいつ、野宿オーケーだって。あいつの分の金まで引いてジオの宿泊費に足しなさい。」


とにかく、優しいティミーの言う通り、風景だけは本当に素晴らしかった。


鉛色の城壁の巨大な城塞都市、首都「キングスタウン」。


城郭周辺は中心部の王宮と繋がるサファイア色の川が取り囲んでおり、どこを見ても樹木が多く調和がとれていた。


感じられる魔力の流れが尋常ではないと思っていたら、中に入ると上下に想像以上。


空には空中庭園と魔石を埋め込んだ飛行船が悠々と飛び交い、


馬車や旧式の自動車も見えたが、人々は主に小さな飛竜や飛行獣に乗って移動していた。


地面はほとんど種族のるつぼ。


様々な外見のエイリアンたちで足の踏み場もないほど賑やかだった。


まさにファンタジーの中の魔道都市。


「ハリー・ポッターじゃん……?」


街のあちこちに見える広告や絵の中の人物が動くのを見てドキドキまでしたのに。


「息をするたびにお金が消えていくとは知らなかった時の話だ。」


幻想はとっくに打ち砕かれている。ジオはむっつりして足をぶらぶらさせた。


「足しても足りません。一人当たり基本で与えられたゴールドが10ゴールド。そこからさっき誰かが魔法を使ったせいで50ゴールドが吹っ飛んだので。」


「••••••ゴホン!」


ティモシーが市内で魔法を使う費用が50ゴールドであることを知るまでには、それなりの経緯があるのだ。


資金は手首につけた「シーリング」で管理し、自動的に差し引くシステム。


支払うべき金額が足りないのに今のようにパーティーで組んでいる場合、パーティーメンバーのものまで根こそぎ奪っていく方式。


要約すると、トロールが一人でもいれば破産一直線という意味だった。トロールのジオがこっそり降り注ぐ非難の目を避ける。


「その他、些細なミスで消えたものまで数えると残金は約8ゴールド程度。2人部屋の宿泊費が6ゴールドから始まるらしいけど、情報探しに行った二人が収穫なければ私たちは……」


サ・セジョンが悲惨さに言葉を失った。


強迫的な準備性のせいで寝袋までインベントリに入れて持ち歩いているが、こんな物乞いルートは予想外だった。ナ・ジョヨンが泣きそうになった。


「う、私たち、じゃあ本当にご飯も食べられないの?」


「それが問題じゃない……」


「何を言ってるんですか、イージスギルド長様!ご飯が一番大事でしょう!」


韓国人たちは一体なぜあんなにご飯に執着するんだ?道端に座り込む羽目になっているのに……。


金髪のアメリカ人が不思議そうに見つめたが、ご飯の力のナ・ジョヨン先生は必死だった。


「あ、そうだ!両替は?入国審査場で隣の列の話を聞いてみたら、両替どうのこうの言ってたけど……!」


「すでに調べてみましたが、ここに正式なビザ国として登録されているチャンネルの貨幣のみ扱うそうです。私たちはダメです。」


「クッ!こ、この汚い星系先進国ども……!ビザで差別するなんて!」


悲しみに打ちひしがれて座り込むドビーを見て、ドビーの主人が決然とした表情で立ち上がった。ふう、仕方ないな。


「待ってて。隊長の私が何とか魔法を使わずに原住民から金を巻き上げる方法を……」


「こんなところでヤンキーに転職しないで……」


「……ちょっと。シーッ!」


キョン・ジロク深化バージョンにサ・セジョンが思わずアグロジオのうなじを掴んだその時。


一行の集中を集めたのはティモシーだった。シーリングペナルティで普段より鈍いが、確かに感じられる。


「何か音が聞こえる。あっちの路地。誰かが殴られているみたいだ。」


「あらまあ?おせっかいね。」


キョン・ジオはそっけなく言い返した。


「路地じゃん。路地イベントのあの路地。どうせチンピラたちが善良なカモを捕まえてボコボコにしてるんでしょ……え?」


タタタタッ!


言い終わる前に慌てて疾走している韓米両国の秩序線二匹。




【あら、傭兵選定、素晴らしいわ。】


「こいつらマジか……?」


「……早く行きましょう。巻き込まれて残りの8ゴールドまで巻き上げられる前に。」


「あ、ダメ!私の宿泊費が!」


焦ったジオが泣きそうな顔で追いかけた。


「……一体何が起こってるんだ?」


ぶらぶらして戻ってきたら、パーティーメンバーたちが勝手に野宿生活を卒業していました。


歩き回ってパーティーチャットに突然共有された座標に従って来てみたら、見えたのは。


「晩餐会?」


また俺だけ仲間外れにされて何かが起こったのか?キョン・ジロクは斜めに腕組みをして一行を見つめた。


キングスタウン広場南側、〈青い川の木〉旅館の食堂の一角。


バーベキューの丸焼き、熱帯フルーツサラダ、じっくり煮込んだトマトビーフシチューなどなど……。


パン一切れを惜しんでいた姿はどこへやら、悠々自適に美食を楽しんでいらっしゃるキングと子分たち。


「確かに一緒に出かけたのに……あの虎はまたいつ戻ってきて、横で食べさせているんだ。」


「よお、マイブラザー!来たか?挨拶しなさい。」


「こんにちは!」


ドサッ。自然に姉の隣の席に着席したバンビが冷たい視線で異邦人を一瞥した。何よ、この毛玉は?


「タヌキ?」


「うんうん。新しく飼ったペットのタヌキだよ。家に帰る時に持って帰ろうと思って。」


「違いますってば!」


「ふむ。お前の家のペット飼育禁止だったはずだが?契約書に書いてあっただろ。」


自分を挟んだ兄妹の図々しい会話にゴーグルをかけたタヌキ少年がムキになってテーブルを叩いた。


「違いますってば!それにタヌキじゃなくてアライグマです!誇り高きアライグマ族の見習いパイロット、ミンチです!」


「テーブルを叩くのは困るな、ミンチ君。礼儀に反するぞ。」


虎の穏やかな注意にミンチはすぐにしょんぼりして尻尾を下げた。


ティモシーがにこにこ笑顔を浮かべる。


「シンチャン!困っていたミンチを俺たちが助けたんだ。ちょうどジョヨンがお腹を空かせていたから、そのお礼にミンチが食事をご馳走してくれることになったんだ。今日の宿泊費まで出してくれるって。」


「危うくシーリングを奪われるところだったんです!皆さんは私の恩人です。」


感謝すると頭を下げるミンチにティモシーが晴れやかな笑顔で応えた。


ほのぼのとした彼らの様子に大体の状況を把握したバンビがジオを再び見た。


「よく分かったけど……お前のその格好さえなければな。」


「これ?カツラ。あのタヌキが酷い目に遭いたくなければ必ず被れって言うんだ。」


モグモグ。虎が小さく切ってくれるフルーツに頬を膨らませたジオが軽く顎で合図した。その動きに合わせて長い黒髪がサラサラと揺れる。


「か、可愛すぎます……?」


鑑賞するのに夢中でずっと黙っていたナ・ジョヨンが赤くなった顔で呟いた。最推しのニューヘア……!ここで死んでも悔いはありません。


キョン・ジロクは見慣れない感じのジオの髪の毛先を引っ張ってみて片方の眉を上げた。


「おい、タヌキ。説明しろ。」


「アライグマだってば!そしてこれは常識……!あっ、ああ、そうか!皆さんはキングスタウン訪問が初めてだとおっしゃってましたね。うーん、それなら知らないのも無理はないですね。あの『噂』について。」


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