261話
「チョ、宗主……クッ!申し訳ございません。」
「もうよい。最善を尽くしたことは分かっている。気にするな、落ち着くように。」
最後に5長老を安全な場所に降ろした白鳥が後ろを振り返った。
崩れて形を推し量るのが難しい石塚。そこを無事ではない体でどれだけ掘り返したのか、5長老と護法たちの手がめちゃくちゃだった。
「意封獄滅陣…」
これなら十分に獬豸の山頭を砕けるはずだ。
白鳥、彼女も西庫の記録を通じてのみ見た陣法だった。月桂洪家で専有する高度な陣法で、生前のホン・ゴヤ大護法が心血を注いで研究していると聞いたが。
「亡くなる前に、結局完成させたようだな。」
それを空の雨がどうやって手に入れたのかは分からないが。
「私の剣をくれ。持ってきただろう。」
辛うじて頷いた5長老が震える手で剣匣を取り出して差し出した。
白鳥は慣れた感覚の自分の剣を取り、立ち上がった。
犯人は空の雨。否定する余地はなかった。そして何が彼をここまで至らしめるのを傍観し、安逸だったのか、彼女は知らないはずがなかった。
「私の未練。」
全部、私の過ちだった。
もうそれを断ち切る時。白鳥の目が冷たく沈んだ。
ザブ、ザブ。
触れる場所ごとに血の海だった。
裸足で血の海を歩いてくる宗主。白鳥を発見した裏切り者たちが我先にと逃げ出した。逃げていた体を固め、後ずさりする。
「チョ、宗主……!こ、これはその!」
ザアアッ!
彼らを斬り、また斬った。
かろうじて生き残っていた門徒たちが号泣し、生還した宗主を迎えた。
「ご無事でいらっしゃいましたか!私たちは、私たちは信じておりました、宗主!」
「ご苦労だった。1長老はどこにいる?」
震える手が指し示す方向。白鳥はためらうことなく歩いて行った。
到着した場所は宗主専用の修練館だった。庭には一年中針葉樹が青々と茂り、ドアを開けると獬豸の本山が一望できる場所。
原木の床に踏み出す足が赤い跡を残す。白鳥は異母兄弟の正面に立った。
「剣を取れ。」
「これが最後だ。」
「……その甘い慈悲のために私がどんな修羅の道を歩んできたのか、宗主はご存じないでしょう。」
正座した空の雨が閉じていた両眼を開けた。焦点が合い、白鳥とそっくりの墨のような目で。
「獬豸か?あなたをその無量億劫から救い出してくれたのが?さすが幼い頃から神獣の寵愛を受けていた宗主と言うべきか。」
「違う。」
白鳥が否定した。
「自ら道を探す者が道を作る。お前はまだそれを知らないのか。」
すでに置かれた道は過去のもの。
過去から学びを得ることはできても、現在を生きる私の今日はそれよりも優れていなければならなかった。
「遠い先祖たちがそうしたように、私も今日、私の道を作り出しただけだ。」
……ハハ!空の雨がクックッと肩を震わせて笑った。劣等感と感嘆で染まった顔をして。
不必要な会話はそこまで。
勝負の結果も簡潔だった。
白鷺が羽ばたく。振り下ろす剣に雨が晴れた。
裏切り者の剣が折れて砕け、決断を下した白鳥の剣が迷いなく終幕を描いた。
一撃で両眼。順番に手首と足首の腱を切り裂き。
「クウッ!」
丹田が完全に破壊される。
ポタッ。剣身を伝って赤い血が床の上に落ちてきた。
門の外で結果を待つ門徒たち。宗主の低い声が彼らに響いた。
「1長老を獬豸から永久追放する。彼の名前は獬豸のいかなる記録にも残らないだろう。罪人に協力した者たちもまた、法度に従い、見つけ次第、筋脈を断ち切り、丹田を破壊せよ。」
「はち!」
「しかし、このすべての混乱を引き起こした罪人の罪は決して小さくないので。」
白鳥は表情もなく異母兄弟を見下ろした。
「長い年月、本人の罪を悔いるように山頭に無期限で幽閉する。罪人、空の雨を連れて行け。」
U | 99
「チョ、宗主!1長老、いや罪人は『獬豸の鏡』に入る資格を与えられていないはずなのに……」
「獬豸は幼い彼に試練を許さなかったが、罪人が目的もなく億劫をさまようことには喜んで同意するだろう。」
その中で空の雨が得られるものは何もないということだった。眼と筋脈、丹田など。すでに武道家としてすべてを喪失したので当然だが……事態を把握した空の雨が泣き叫んだ。
「い、いっそ今ここで殺してくれ!」
白鳥は断固として首を横に振った。
「剣を持ったまま死ねるのは剣士だけだ。」
U | 99
「お前はとっくにその資格を自ら失った。」
チャアク。
血の滴を払い、再び白くなった剣を静かに納剣する。白鳥はそのまま歩いて行き、外のドアを開けた。
獬豸本山の景色が見下ろせる大広間。その上にだらしない姿勢で腰掛けているおかっぱの少女がいる。
小さな背中、しかし偉大な王。
余裕たっぷりに両足を揺らしていたキョン・ジオがちらりと首を傾げた。
「こんにちは」
「またもどかしくサツマイモみたいなことしたらひっくり返してやろうと思ったのに、どうしたの?山崩れに閉じ込められて精神鍛錬でもみっちりやったの?」
「その肩は……大丈夫なのか?」
「ああ。これ?うーん、まあ。」
お星様の言う通り、神格から受けた傷だからか。
走ってきた、ナ・ジョヨンが泣き叫びながら聖力を注ぎ込み、再生魔法もかけてみたが、まだ肉が塞がらずぶらぶらしていた。
「良い目をして何を聞くの、見えないの?当然大丈夫じゃないでしょ。誰が噛み付いたのよ。ああ、死ぬ。痛くて死にそう。獬豸に損害賠償請求するから覚悟しておいて。」
めちゃくちゃになった腕だけだろうか?拗ねているであろう、お星様をなだめることを考えると、もうすでに頭が痛くなってきた。
「とにかくぼっちの時が一番楽だったわ。友達なしで生きている子たちが賢いのよ。ぼっちを嘲笑う場合じゃないわ。」
精神的な損害も半端じゃないとぼやくジオ。
白鳥はその軽い口調にも隠せない重傷と、遠くの獬豸を順番に眺めた。
元々よく見える位置だったが、剣士の優れた視覚には細かなものまですべて見えた。
忙しく走り回る生存者たち、土埃はついているが生き生きとした顔の幼い弟子たち、雨と血だまりの上に溜まった黒色の羽。
そして木の後ろに身を隠し、こちらをちらちら見ている……涙で腫れ上がった顔の友。
トク。
血で濡れた肩の包帯から漏れた血の滴が手の甲の上に落ちる。ジオが顔を背け、白鳥は片膝をついた。白い袖を下ろし、小さな手の甲を拭った。
胼胝一つない、幼い手。
「いいってば。何を拭うの。放っておいて。どうせずっとこうだから。」
「……本人の苦痛に過度に淡々としているのも良くない。」
白鳥の水墨画のような視線がジオを見つめた。確かにこの幼い友達はいつもそうだった。
いつも最前線で一人で戦ってきて、一人でその苦痛に耐えながら世界を守ってきた。
みんなが彼女が誰なのか知らず、彼女の名前を知らないという言い訳で一歩引いている間。
この長い間。
一人で最も偉大な戦いをしてきた私たちの王。
「……獬豸は祖国と民族にのみ忠誠を誓う。」
「……?知ってる。分かってるってば。まさか私がケチ臭く今日のことで忠誠を強要でもする……」
「絶対に曲げない信念のせいで先祖たちもこれを置いて意見が分かれた。」
「数多くの外勢の侵略、力なく罪のない民衆を苦難に陥れる内乱と民乱。」
悲しく恨みの多い民族の歴史の中で誰かが言った。仕方ないことだと。
どうせすべてを救うことは不可能だから、私たちの線を守ることに集中しようと。
主人に出会った剣はより多くの敵に向かうこともできるが、主人を間違えた剣は取り返しのつかない犠牲を生み出すのではないか?
それに誰かがまた反論した。
「私たちは単純な『剣』ではない。眼と口がついた剣だ。主人が間違った道に向かうなら諫め、正しいことを言うこともできる剣であることを決して無視してはならない。」
「つまり、混乱した現世に救世主の助けになることもまた、『剣』としての本分ではないか?」
論争は激しく、その答えが出されたことは今までなかった。
獬豸はそうやって過去の線に留まり、千年もの間、一箇所で祖国を守ってきた。軽率な人間を信じるよりも国と民族に忠誠を誓いながら。
「それが過去の獬豸だった。この信念を私の代で覆すつもりはない。……しかし。」
白鳥はついに答えを出した。
今日の私は過去から一歩進まなければならない。そうしてこそ、より良い道を作り上げていくことができるから。
暴君は、この王はすでに自分の道を証明してみせたのではないか?
どんなに荒々しく獰猛であろうとも、その場で生きている人々、笑っている彼らがまさにキョン・ジオの証明だった。
白鳥は片膝をついた
姿勢のまま自分の剣を下ろした。ジオの前に。
「白鳥卿。」
「なんか忠誠誓約でもするつもり?遠慮しとくわ。気まずいから。」
初対面、塔での記憶が少し白鳥をかすめる。
もしかしたらあの時から、こうなることを予感していたのかも。
「たとえ千年の名前を与えることができなくても。」
「私の千年をあなたに捧げよう。」
獬豸の代わりに、白鳥。
「望むならいつでもあなたの剣として立ち向かうので。この私の決心を受け入れてくれるか。」
目の前に差し出された古い長剣。
良い武器にこだわらない剣士が初めて剣を握った瞬間から手放さなかった、白鳥の信念そのものが込められた剣だった。
ジオはじっとそれを見つめた。
「……折った。」
やり遂げた。
力で折られるくらいなら死んだ方がマシだと言っていた白鳥。性質上持てなかったたった一つだから、これは間違いなくジオが願ってやまなかった瞬間だ。しかし。
「嫌。」
「……うむ。そうか。」
「えー、反応がそれだけ?私が嫌だってあなたを今振ったのに?」
「理解する。やはりこれほどめちゃくちゃになった獬豸と私はあなたの基準に達していないのだろう。反省して精進して……」
「いや、やめて!また地面を掘らないで!」
( ˘_˘ )
は……参ったな、星たちよ。私本当にこんなことまで言わなきゃいけないの?
ちょっと落ち込んではいるけど……今日悟ったことが少なくないから。
ジオは別の方向に目をぐるぐると回し、片手を差し出した。
「グムグツグフ。」
「申し訳ないが、外国語はできない。」
「あー!剣じゃなくて友達になれって、友達!クソ!」
「コホン。別に私が言う通りにしろとかそんな必要なくて……ただ隣で一緒に歩く友達になってくれればいいの。とりあえずそれでいいの。」
「チェ・ダビデもあなたも。あなたたちみたいな、もどかしいやつらに何か頼んで任せるくらいなら私がやるわ。そうでしょ?」
余裕を取り戻したジオが再びぶらぶらする。白鳥は黙ってそんな彼女を見た。
ジオが軽く言った言葉だとしても、それは正道を追求する剣士が考えている理想に近かった。
束縛されず自由な剣。王が道に迷えばいつでも正しい道に導くことができる。
「……そうか。」
「ありがとうございます、って言わなきゃ。」
「ありがとう。そして失望させない。もしあなたが見当違いな道に陥ったら必ず私の手で斬れるようにする。」
「……あの、先生?友達申請っていつからPK申請になったんですか?ジオ、助けて。」
「正式な友達は初めてだが何からすればいいのか?官公署に申告書を提出しなければならないなら前もって言ってくれると助かる。」
「何言ってんの、何の婚姻届書くの?白いサツマイモ、クソ、正直に言ってよ。あなたこれ全部コンセプトでしょ?」
これマジで一発殴ってやろうか、やめようか?
ジオが悩み、大丈夫そうな雰囲気に遠くの木の後ろからチェ・ダビデとナ・ジョヨンがそろりそろりと這い出てきたその時だった。
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