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230話

「うまくいった。行こうとしていた場所があの場所だけに、そちらはヤクザ……いや、ファン社長が専門家だろうから。J


さすがにジョン・ギルガオンが韓国で言っていた通りだ。


[あなたの聖約星、『運命を読む者』様が豆腐野郎は、ギャグ用シンスティーラーだと思っていたら、意外と使えるところがあると言って頷いています。]


「そうだね。」


ジオも頷いた。


基本的に夜市向きの「アンダー・スーク(Under Souk)」。


不法が横行する闇市らしく、入場も厳しかった。何か専用パス(Pass)が必要だとか?


かといって、正体をむやみに明かしたら、ここ全体がひっくり返るキョン・ジオがいらっしゃるので、とても困ったが……大丈夫だ。


こちらにも負けず劣らずの不法界のネームドがいるから。


長く伸びた列の方は見向きもしない。


地下世界は私の区域。


アンダーワールドの帝王、グローバル級ギャングスターファン・ホンが、これでもかとばかりに威張り散らしながら、貴賓専用入口に直進した。


「[こちらは……?]」


「私の同行者だが、確認する必要があるか?見ればわかるだろう、こっちは私の通訳。あちらは私の女、コホン、彼女だ!」


「ふむふむ、それでもやっぱり殺す方がいいかも。」


とにかくジョン・ギルガオンの流暢な通訳まで伝達完了。


ガードたちが互いに目配せをした。どうしようか、葛藤している様子。


「……ふざけているのか。」


ファン・ホンの雰囲気が変わったのもその時。さっと、巻いていたターバンを下ろし、一歩近づく。


日が暮れる時間は彼の時間だった。夕焼け色の髪がうっとりするような光に染まり、低い声が陰険に沈んだ。


「笑うから冗談みたいか。私が誰だか知らないのか?」


「開けろ。」


それは通訳が必要なかった。


殺気は動物的な本能を通して伝わるから。一瞬にして冷や汗でびっしょりになったガードたちが、慌てて両側のドアを開けた。


ギイイイイ。


ファン・ホンが振り返る。再び少年のように明るく笑うその顔。


「にゃくざ様、何してるの?早く来て。入ろう!」


「ふむ……まあ。少し可愛いところもあるし。」


使えるやつには寛大な能力主義者の俗物ジオが、すまして後ろ手に組んで歩いて行った。


「声、もともとそうだったっけ?」


「うん?ああ、少し低いだろ。なぜ、聞きたくないのか?だから普段はトーンを少し上げて話したりする……」


「なぜそんなことを?(趣味なのに。)」


「ええ?何?今、何て?」


二度とは言ってくれないキョン・ジオと、慌てて追いかけるファン・ホン。


とにかく小さなやつら同士でよく遊ぶな。後ろでジョン・ギルガオンが首を横に振ってついて行った。


「基本的には上のアラブ圏の市場と似たような構造だが、こちらの方がずっと複雑だ。」


「もっと騒がしいし。」


「そうだ。倍は騒がしい。」


アフリカの太鼓とタンバリン、パイプなどなど、楽器と妙技を動員して、あちこちで客引きをするのに必死だ。


土でできた巨大な洞窟のような地下都市。


アリの巣のように複雑な構造で、数多くの露店がうねうねと集まっていた。めちゃくちゃに混ざった香辛料の匂いと見どころに、どこに視線を置けばいいのかわからない。



フウウウッ!


すぐ目の前で上半身裸の大男が火を長く吐き出す。


おお、本当に火なのか?手を伸ばすジオを道の内側に送り込みながら、ジョン・ギルガオンがさらに説明した。


「こちらに行けば一次原料、右側が武器商店街、呪術関連は奥にもっと行かないといけないが……」


意外と好奇心旺盛なキングのおかげで、かなり忙しそうだ。


じゃあ、少しの間くらいは大丈夫だろう。


どうせアンダー・スークは職業柄、かなり頻繁に訪れる場所だった。道に迷う心配が特にないファン・ホンが、そっと横に目を向けた。


小さな装身具店。うたた寝をしているようだった老婆が顔を上げた。


「[見ますか?品物はいいですよ。]」


派手な色彩の周辺商店と比較される素朴な装身具。海のサンゴや真珠を中心に商売しているところのようだ。


「目がいくな……うん?」


「おばあさん。何だ、これは?開けてみろ。」


屋台の隅、布で覆われているケース。ネックレスやイヤリングが入るのにちょうどいい大きさだった。


トントン。ファン・ホンが開けろと合図した。


「 [贓物だから危ないだろうに……。] 」


「何だって?俺は外国語がわからないんだ。わからないよ。商売しないのか?」


もじもじしていた老婆が、根負けしたように箱をそっと開ける。……うわあ。ファン・ホンが丸く口を開けた。


「これはいいものだ。」


五つの水滴ダイヤモンドが花びらのように包んだ真珠のイヤリング一対。一目見ただけで周辺の品物とは格が違った。


ファン・ホンはちらっと後ろを振り返った。はるか遠くに見えるジオとジョン・ギルガオン。


「似合うかな……?」


少し派手な気もするけど。


少し悩んでいるうちに、老婆が再び閉じようとするそぶりを見せる。


「ちょっと、ちょっと!はあ、この老婆、言葉がわからないふりをして商売上手だな。せっかちだな。わかった。買うよ。買うから、いくらだ?」


芸術好きな母親の影響で、目利きにはそれなりに自信があった。これは絶対に簡単には手に入らない品物だ。


ファン・ホンはインベントリから財布を取り出した。


「 [責任は負いませんよ……。] 」


「ああ、駆け引きは必要ない。ただ値段を言え。そのくらい、どうってことないだろ。」


男、ファン・ホン、好きな女にプレゼントを買うのに、見栄を張って駆け引きなんかしない。


ファン・ホンが満足感を隠しながら鼻の頭をさっと拭った。


隣にウナセムがいたら必死に止めただろうが……。今は暴走を止めてくれる部下もいない。


白い顔のお坊ちゃまの財布から見える小切手の束に、老婆がさっさと箱を差し出した。早く持って行けと手をひらひら。


「ああ、そうだ。これってアイテムだよね?付加効果は何……」


「ファン社長?」


「おお!行く、行く!」


無心にこちらを振り返るジオの視線。ファン・ホンはバレるかと慌ててインベントリに放り込み、駆け寄って行った。


「何してたの?騙された?」


「……俺は、お前にとってそんなイメージなのか?違うよ!」


「そうだね。いくらお前でも、クソダサい90年代のドラマみたいに、市場に来てこっそりプレゼントを買って、しょぼいアクセサリーを恥ずかしそうに差し出してサプライズ、なんてことはしないよね。ごめん。言い過ぎた。」


[星位、『運命を読む者』様が、男の純情に罪はないのに、ちょっとひどすぎないかと口を覆っています。]


「手を下ろせ。」


[訂正:笑っています。]


手ごわいレベルの好きな女のおかげで、冷や汗でシャワーを浴びたファン・ホンが、さらにしどろもどろに話題を変えた。


「ああ、とにかく何か見つかったか?コホン。ジョン理事はどこにいるんだ?」


「あそこ。」


ジオが顎で示した。


フランス語と簡単なアラビア語を混ぜて、店の主人や周辺の商人たちと盛んに会話中のジョン・ギルガオン。


一日にも数万個ずつ品物が行き来するところだ。それも世界で最も危険な品物がかすめていくハブ。


ここで食っていくには、目と耳が普通に明るくなければならなかった。情報は彼らが一番早かった。


見えないようにいくらかのお金を握らせて、ジョン・ギルガオンが振り返った。ところが、その表情はあまり明るくなかった。


「ダメだったか?」


「……みんな知らないと言っていますね。嘘ではなさそうだし。もう少し奥に行ってみましょう。」


思った通りに事が運ばないと、彼は少し神経質になっているようだった。


どうしようか、ジオがじっくり考えながら歩を進めるその時。




ドーン!タン!


「おい、狂ったか。」


「よく見て歩かないと、坊や?」


同時にファン・ホンとジョン・ギルガオン、両側から掴まれた手首と肩。


スリを試みた少年の顔がたちまち青ざめた。ゆっくりと正面を見上げる。


……まずい相手に手を出してしまった。


盗もうとした相手と目が合うと、その思いはさらに強くなった。


表情もなく彼をじっと見つめている白い顔の女。


勘違いをするにもほどがある。金を持っていそうな一行の中で一番小さいからと甘く見ていたのに……。


「ボスはこの人じゃないか!」


「[間違えました!さ、さ、助けてください、どうか……!] 」


「何だって?」


「ありきたりな言葉。どうか助けてくれと。」


「ええ、自分が悪いことをしておいて、今誰を悪党扱いしてるの?私みたいに法律がなくても生きていける善人に、え?コラ。」


「確かに寛大だとか優しそうに見える印象ではないな。」


「ジョン理事、言葉に気をつけろ。うちのにゃくざ様はこんな顔をしていても、心はかなり善良なんだ。コラ!」


「……みんな消えろ。」


だから急ごしらえのチームはダメなんだって。


チームキルにひどく傷ついたキングジオが一歩近づいた。社会の正義実現のために、ゴリゴリ、手をほぐしていると。





ドサッ!


「あ、あ、知っています!韓国の人たちですよね?おじさんの呪い、知っています!」


遠い異国で聞こえてきた韓国語、しかし今はその母国語よりも嬉しい内容。


たどたどしい韓国語で必死に叫んだ少年が、ひざまずいて切実な目で両手を合わせた。ジオの片方の口角が少し上がった。


「入口からずっとついてきてたんだな。」


ほらね。やっぱり理由があると思ったんだ。


さっと、人差し指で顎を持ち上げると、ひどく怯えた少年の片方の目からポロポロと涙がこぼれ落ちた。


ジオが首をかしげた。


私がそんなに怖いのか?ふむ。


「勘のいいやつらが多いな。」


「お前の名前は何だ。」


少年が慌てて答えた。


「ジャ、ジャメル……!」


「よし、ジャメル。韓国語わかるか?」


「はい、はい!」


「実は殺すつもりなんてなかったんだけど、今気持ちが変わった。私は暑がりなんだ。だから早く家に帰りたいんだ。」


少年が見上げると、正面の真っ黒な瞳の中、無限に輝く黄金色の星々。もう肉眼でも見えるほど、ジャメルはガタガタ震えていた。


かわいそうなやつ。


キョン・ジオは最大限優しく笑った。


「早く知っていることを全部言え。さもないと殺す。」


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