228話
結論が出たので、今日の会話も終わりだ。ジョン・ギルガオンがさわやかな笑顔とともに立ち上がった。
「いらっしゃったばかりなのに、また遠征とはどういうことですか?鹿が騒ぎ立てるでしょうが……私はありがたいです。スケジュールはこちらにお任せください。」
「怪しいものは探さない。最低でもファースト。」
「お忘れかもしれませんが、中国にお乗りになったその専用機、私のものです。気難しい陛下。」
明るい真青色のスーツジャケットを軽くはたいたジョン・ギルガオンが、あっ、忘れていたというように振り返った。
「ウィソさんも同行しますか?妖精竜が砂漠の国で耐えられるかどうか。」
「え?まさか!」
「当然じゃないですか?ここまで来て何を出し抜こうとしてるんですか。」
「ここは、ただの一山じゃないですか?一山とモロッコはちょっと……。学校もありますし。」
ユン・ウィソが慌てて手を振った。ランキング1位と4位の組み合わせだなんて。その間に挟まるのは絶対に遠慮したかった。
[星位、「運命を読む者」様が寂しいからと回帰者の代わりに連れ回るのも、このくらいにしないと、あの子も負担じゃないかと優しく指摘します。]
「チッ…」
星は人の心を読みすぎるのが欠点だ。毎日一番近くにいるから当然だろうけど。
拗ねたジオがぶつぶつ言った。
「じゃあ、チョン・ギルと二人で行けと?デートか何かか。」
「あ。ごめん。年下も年下なりだけど。私は大学生はちょっと。」
「私もドラマオタクは嫌いだけど?私より先に拒否しないでください。呪いよりも速いスピードで死ぬ可能性があります。」
あの二人だけではまずい気がするけど……。ユン・ウィソが困った顔で二人を交互に見た。
「お二人とも落ち着いて、それでは代わりに誰か行く人でもすぐに探して……」
「その志願者!」
……?
タッ!
三人が後ろを振り返った。
突然、軽々と他人の家の窓枠(3階)を乗り越えてくるピンクブラウンの髪の毛の住居侵入者……。
違法と合法の間を綱渡りする、最近、裏調査とストーキングに特化したランキング6位。
〈黎明〉のギルド長、ファン・ホンが粋に前髪をかき上げた。
「ここに登場。」
「ああ、全然遠慮することはない。全部聞いたから。憎い情けも情けじゃないか。長年の同僚であるジョン理事が危篤だというのに。」
「いや、私はまだそこまでじゃないけど。」
「男になったからには知らないふりはできないだろう。おい、ユン・ウィソ。お前の責務はファン・ホンが無事に引き継いだ。安心して任せておけ。」
頼もしい笑顔とともにファン・ホンが親指を立てて見せた。
ユン・ウィソがギョッとしてジオとジョン・ギルガオンの方を振り返る。
「お二人……ファン・ホン様があそこにいらっしゃるのをご存じなかったんですか?」
そんなはずはない。ジオの顔がむすっとなった。
「あまりにも長くぶら下がってるから、ただ窓を拭くバイトか、めちゃくちゃデカい夏のセミかと思ってた。」
「人間として最低限の羞恥心があれば、私たちが発つまでは出てこないだろうと思ってました。」
望みすぎたかもしれないけど……。笑顔とともにジョン・ギルガオンが付け加えた。
ファン・ホンは聞こえないふりをしてヒューヒュー口笛を吹く。
自分に不利な言葉は聞かない自動フィルタリングまで備えた21世紀完成型ヤクザ御曹司。
「どうりで素直に住所を教えてくれたわけだ……」
どうやら文字をこちらに送るとすぐに追いかけてきたようだった。
ストーカー豆腐を甘く見ていたな。ジオの目が鋭くなった。
「暇じゃないんですか?」
ファン・ホンが堂々と答えた。
「夏休みを取った。364泊365日。」
「……?それって仕事を全くしないってことじゃないか……」
夏がいつまでなのかも知らないような顔。ナマケモノマンチキンも一瞬戸惑うほどのノーバックサボタージュ。
「あ、あいつ、力隠しプレイをしてる時にとっくに気づくべきだった。」
どうりで自分の顔は絹ごし豆腐みたいに白くて柔らかいのに、右腕の顔は見るたびに臭豆腐みたいだった。
背後ではS級たちは元々ああなのかとユン・ウィソがひそひそ話している。
あんなのと一緒くたにされるのが非常に戸惑うキングジオが真顔になった。
「キャラが被るからさっさと失せろ。お前は本当に商道徳ってものがないのか?誰がヤクザだって言ったか。」
「チンピラ後輩、俺を突き放す理由がそれだったのか?誤解だ。俺は正々堂々と許可を得て商売をするマナー侠客だ。大統領府で大統領とご飯も食べる仲だぞ。」
「いや。ただ嫌いなだけだけど?」
「ちょっと。」
S級バカたちの会話を遮ったジョン・ギルガオンが静かに顎を撫でた。ふむ……。
「どうせ二人で行くのは絵的にちょっとあれだから、悪くはないんじゃない?どうせなら綺麗な方がいいし、S級の荷物持ちならそれなりに使えるだろう。」
「え、ええ?」
「じ、荷物持ち?俺に今、荷物持ちをしろと?」
「ああ、そうだ。うちのファン社長はお坊ちゃまだったな。そうか。仕方ない。聞かなかったことに……」
「父は工事現場で石を運び、母は砂袋と一緒に俺を育てた。釜山の底辺で荷物持ちと言えばうちの家系だろう。」
釜山の豪邸で優雅に現代美術鑑賞中のファン夫人が気絶しそうなことを言いながらファン・ホンが袖をまくり上げた。
ただ者ではない豆腐だ……。
うんざりした目で眺めるジオの隣でジョン・ギルガオンが意味深な笑顔で拍手した。
パチ!
「よかった。ちょうど行こうとしていた場所が場所だけに、そちらはヤクザ……いや、ファン社長が専門だろうから。」
「……なんだと?」
ザアアッ!水面を切り裂く肩。
濡れた髪をかき上げたキョン・ジロクがちらりと見上げた。
ギルド〈バビロン〉、地下プール。
最上階の大プールより規模は小さいが、天然薬水でできているため戦闘員たちが主に利用していた。
声が湿気を含んだ壁にぶつかり、うーんと響く。サ・セジョンは一歩後ずさりしながら再び言った。
「〈黎明〉側が54階攻略機会を譲ったと。それより、ちょっと出てきて聞けば?新しく買ったスーツなのに水が跳ねる。」
「あのヤクザ野郎、何を企んでるんだ?」
「聞く耳も持たないか。」
サ・セジョンが軽くため息をついた。
「とにかくこうなると順番はまたうちだ。〈D.I.〉は今回もパス、〈銀獅子〉と〈ヘタ〉はまだギルド整備中だし。どうしましょう、ボス?」
ふむ。キョン・ジロクはしばらく考え込む顔だ。
バベルの塔は攻略が完了してシナリオが消えた階は誰でも自由に行き来できるが、解放されて待機中の階は5大ギルドに優先攻略権があった。
反発はあまりなかった。
攻略報酬も特にない上に死亡者が極端に多く、大々的な投票の末にできたルールだったからだ。
むしろ先に攻略して上位アイテムと宝物が出る階を活性化してくれる上位ランカーたちに感謝すればまた別だが。
もちろんルールが定着する前、序盤には彼らが入る時にこっそり一緒に入場したりすることもたまにあったが……。
極悪な塔の難易度。
無謀なバカたちの命をかけた犠牲の末に、そのようなことは大幅に減り、階数が高くなった現在は新しい階攻略に挑戦する人自体がほとんどいない状況だった。
とにかくそういうわけで5大ギルドではくじ引きで順番を決めていたのだが。
ジョン・ギルガオンは何かと抜けて、虎とハ・ヤンセはギルドを立て直すのに忙しい。
最近はほとんど〈バビロン〉と〈黎明〉、二つだけの熾烈なプライド対決。
「兄貴、54階フィールドがクリスタル宮殿だってこと、あちらも知ってるでしょ?」
「うちの先発隊が出て行った後、すぐに黎明側も行ってますから当然でしょう、ボス。」
「それなのに突然、気が変わった、か……」
「まあ、ウナ先生の話では夏休みに行ったそうですが。信じないでしょ?」
「海辺に住んでるやつが休みなんてありえない。」
きっと何かあるはずなのに……。
「……まあ、俺の知ったことじゃないか。」
ただでさえ気にかけることだらけだ。
一年分の休暇をまとめて使ってひょっこり消えたペク・ドヒョンから、似合わない悪夢を見るのかやつれたキョン・ジオまで。
「気にしないで放っておけ。暑いのに見るだけでもイライラする顔に会わなくて済むし、よかったじゃないか。」
「フッ……」
「気楽に休暇でも楽しんでろって言ってやれ。いない間に俺たちが全部かっさらってやろうぜ。」
数時間後、がらんとした姉の家で叫ぶことになる自分の未来も知らずにキョン・ジロクがせせら笑った。
チャリン!
ミントの葉がたっぷり入ったグラスの中で氷が音を立てて位置を変える。
「[ありがとう。] 」
不満そうな顔のサーバーが肩をすくめて消えた。
仕方ないか。ここの人たちがモロッコ風ミントティーに氷をあまり入れないことを知っているけど、こっちも生き残らないと。
流暢なフランス語で答えたジョン・ギルガオンがちらりとサングラスを下ろした。
異国情緒あふれるタイルの色、葉の広い観葉植物で飾られたリアド(Riad)の室内庭園。
そしてその中央のプールに洗濯物のようにだらりと伸びているきれいに育った韓国人二匹。
あまりにも微動だにしないので、ただ元々あのようにできた風景のようだ。
「そこのマヌケランカー二人、ご注文の氷です。来て飲んでください。」
「……クッ。ま、先に行け。私はもうだめだ……」
「……ニャ、ニャンアチ様?まさか死んだのか?!」
アフリカ北西端、モロッコ。
砂漠に近く高温乾燥した気候を誇るここの乾季は5月から10月。
その中で最も暑い月は8月で、現在の日付も8月……。
「い、家に帰してくれ……」
アフリカの暑さに力なく撃沈されたキングジオが水の外に投げ出された金魚のように口だけパクパクさせていた。




