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215話

ふんわりと乾いた髪のナ・ジョヨンが、か細い声で謝った。


「遅れて申し訳ありません……もう来る人はいないようですね。」


会議室をぐるりと見回したティモシーが、首をかしげた。


「『審判の剣』は一緒に来なかったようだな?一度会ってみたかったのに」


対外的な異名である「白騎士」ではなく、「審判の剣」。


ペク・ドヒョンのファーストタイトルはまだ


広く知られていなかった。


ジオの片方の眉がピクリと上がった。


「あなたがペクさんのことをどうして……」


ああ、そうだ。こいつはおしゃべりな星たちをぶら下げているんだっけ。


こちらにかなり関心がありそうだったあの星たちが、回帰者について話さないはずがなかった。


ティモシーはすぐに肯定する。


「ああ。『聞いた』、彼らから」


「……ふむ。でも、そのおせっかいな星たちが、ヤマアラシにむやみに手出しするなとは言ってくれなかったみたいだな」


斜めに突き出した顎が指したのは、赤く腫れ上がったティモシーの右腕。


最上級のヒールを浴びせたが、損傷の程度がひどすぎた。


「身近なことに気を遣えばいいのに」


それに横からイージスギルド員が何か反論しようとするが、ルーカスが首を横に振って制止する。


現ワールドランキング1位と3位の会話。一介のギルド員が口を挟む余地はなかった。


悔しそうな星たちの声。ティモシーは苦笑した。


「星たちのせいじゃない。相性のせいで『ミストルト』を呼ぶように最初から言ってくれたのに。ただ」


「何かの理由で彼女がニューヨークから動かなくて……今回のカンザスの一件は、色々な状況が重なって悪くなった」


世界ランキング5位、「冬の枝」ミストルト。


そしてもう一度、「ニューヨーク」の言及だ。




[星位、「運命を読む者」様が、あのニューヨークに結局どうにかして行くことになるようだと言って舌打ちします。]


「そうだね」


ニューヨークに一体何があるんだ。


すべての状況がジオをニューヨークの方へ背中を押している感じだった。ハーゲンダッツの誘惑もそうだし。


ジオが不機嫌な顔で黙っていると、横でそわそわしていたナ・ジョヨンが遠慮がちに尋ねた。


「私がやりましょうか?」


「いいよ。ドビーは温存しておきな」


二人の会話に皆が訝しげな様子だったが、世話焼きには目のないアメリカ産ゴールデンレトリバーが、にっこりと笑って距離を詰めてきた。


「ドキドキする。ジオが魔法を使うのを直接見られるなんて」


「気取らないでください」


「何度も言うけど、僕は本当に純粋な友情だよ」


近くで見つめ合う互いの視線。


ティモシーの瞳には空が見え、キョン・ジオの瞳には星たちが輝いていた。そして。


[適業スキル、7階級高位呪文(深化)–「超速再生(HyperRegeneration)」]


星屑のように降り注ぐ金色の魔力と共に加速される時間。


ティモシーは元通りになった、いや、いつにも増して最高の状態である腕を動かしてみた。軽かった。


「How marvelous.」


こちらを見る視線。さっきとは違い、驚嘆が込められていた。


外国の反応が国威発揚コンテンツ界のクラシックであるのには理由がある。


ナ・ジョヨンとキム・シギュンの腰が凱旋将軍のようにピンと伸びた。どうだ、K-マンチキンの味は。


「何でみんな急に英語を使い出すんだ……ここはどこかの外国か?」


「あの、ジオ様、ここは外国ですよ」


韓国語をネイティブのように使う異様な外国人に囲まれているが、とにかく外国だった。


ヘッジホッグの脱皮完了まで残り時間は約4時間。


どうせ休憩時間だし、親睦タイムを放置していた米軍及び政府関係者たちも、目が変わった。


もちろん彼らも映像や資料を見てきた ……キム・シギュンは考えた。


「百聞は一見に如かず」


ジオの魔法は実際に見なければ、初めて感じられる。


あの者は私たちと同じ人間ではないのだな。違うのだな。


慣れ親しんだ敬虔さの中で、魔術師王が立ち上がった。無駄話はこれくらいで十分だった。


「時間の無駄はやめて、そろそろ行くか?ヤマアラシ一匹倒すのに、何の会議が必要なんだ」


熾烈な韓国人のスケジュールは、なかなかタイトだぞ。アメリカ人の皆さん。


「次のスケジュールがあるのか?せっかく来たんだから、もっと過ごしていけばいいのに。僕がガイドするつもりで、ジオに合わせた計画を全部立てておいたのに」


「大切な夏休みに、私があなたとどうして遊ぶんだ?友達がいないアピールはやめてくれ、ぼっちモシ」


ピープル誌選定、世界一の美男子、ティモシーの片方の顔が寂しげに陰った。一輪のしおれた百合のようだった。


「友達……いたんだけど、裏切られて」


「ごめん!ごめんって!え?アム・ソーリー!」


「クソ……」


鬼畜野郎はよりによってあんな奴の頭を殴って。とにかくあいつは、天寿を全うできない奴だ。


ゲートへ移動中のヘリコプターの中。


アメリカが誇っていたカンザスの黄金色の麦畑は、火魔がなめ尽くした


黒い傷跡でいっぱいだった。


特に感傷的になりたいわけではないが、魔法使いの記憶力は優れている。


ジオは祖母の家を助けてくれと言っていた子供と、自分に差し出された腕の上の火傷が自然と思い出された。


「ふむ……。ところでティモシー、お前ちょっと余裕だな?炎のヤマアラシにやられて、何度も丸焼きにされたくせに」


「そうだね。おかしいな?」


軽く投げかけた言葉だったが、ティモシーは気まずそうな顔で振り返った。


「ただ……危険だという気がしないんだ。自分でも不思議なくらい」


「……おかしくないよ」


キョン・ジオが鼻で笑った。





そこが王の戦場だった。


[「射程距離進入。クラッシュバリア作動完了。ターゲット、まだ反応ありません。……本当にプラン通りに進めますか?」]


生唾を飲み込みながらジョナサンが尋ねた。方言を使わない〈イージス〉ギルド支援チーム長の声音は、どこかよそよそしい。


ヘッジホッグは現在脱皮段階。


したがって動きがなく、その過程の間、外部エネルギーをすべて吸収する外骨格に覆われているため、無敵状態に近い。


まさにその無敵状態からヘッジホッグを目覚めさせるのが、今日の戦闘の始まり。


[「まだ遅くありません。ヘッジホッグが目覚めるまで〈イージス〉の


戦力を回復し、その時また来ても……」]


支援チームと一緒に搭乗したカンザス州知事が不安げな声で口を挟んだ。しかし。




カチャ!


始まりの任務を担った遠距離狙撃手、キム・シギュンは躊躇なく装填を完了する。


誰が戯言を言っているのかという、特有の疲れていて淡々とした声で。


「目標物確認」


普段は拳銃状態が基本である彼の専用武器は、いつの間にか対物狙撃銃バレットM82と類似した形に変わっていた。


[武装自由変形]。


彼のファーストタイトル、「悪魔狩り」の適業スキルの一つだった。


地上、ヘッジホッグは堅固な炎の壁の内側にうずくまっている。


射程距離に進入したヘリコプターが高度を下げると、火の嵐にガンナーの黒髪が激しく揺れた。その熱気がひどく邪魔で、キム・シギュンがしばらく片方の眉をひそめるが。




[適業スキル、6階級防御系広域呪文(属性強化)–「元素抵抗膜(Anti-Elemental Shell)」]


すぐにぱっと開ける視界。


思い切り集中した彼の耳元に叩き込まれるハスキーボイス。


「起こせ」


「……御意」




タアアン-!


弾丸倍速強化。冷たい狩人の魔弾が炎の間を鋭く横切った。




クワガガガン-!


目標物に近づくにつれて攻撃力が爆発的に増加する魔弾は、十分に破壊的だった。


たった一発で眠っていた魔獣を目覚めさせるほど。


弾丸が命中したヘッジホッグの外骨格部位が赤く熱を帯びる。続いて内側に飲み込まれながら……。




チチチチ!


衝撃を跳ね返すように一斉に生え出す数千の棘。


敵の妨害で殻を完全に剥がせなかったヘッジホッグの思念波が爆発した。


その中にぎっしり詰まっているのは、ひたすら敵に向けられた真っ赤な怒り。


もう後戻りはできない。


ジョナサンが緊張した様子がありありとわかる声で強調した。




[「一発で……必ず一発で終わらせなければなりません。わかってますね?」]


アメリカはすべての攻撃を吸収する怪物を殺すために、世界で最も武器を借りてきた。


万が一、魔術師王の魔法までヘッジホッグが飲み込むことに成功したら、この戦いは収拾がつかなくなるだろう。


絶対にそうさせてはならない。


「前衛は私が引き受ける」


方法が一つなので、戦略は驚くほど簡単だった。


最も強い槍が突き刺さるまで、盾が援護して時間を稼ぐ。



クウン!


地上に「神の息子」が降り立った。


世界第1のクルセイダー(Crusader)。


ティモシー・リリーホワイトが再び災いの炎の前に一人立った。


彼の星たちが、最も神聖な名前を持つ使徒たちが囁く。




【行け、息子よ。】


「星痕(星浪)開門」


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