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210話

神話の再臨。


目の前に実現した伝説。


1級の亀裂はしばしば「災い」と呼ばれる。対抗不可能な悪魔的存在たち。1級と命名されたゲートから現れた怪物たちは全部そうだった。


かつてキョン・ジオも彼らが手強かった時があった。計3回。


1回目、ソウルの地獄王「バルログ」。


2回目、仁川の甲殻巨人「アルゴス」。


3回目、釜山の暗夢「ブードゥー教の呪術師」。


一つ一つ決して容易ではない敵だった。


どうにかこうにか勝っても血まみれで運ばれ病院で目を覚ましたり、数ヶ月を丸々戦闘後遺症に苦しんだことも確かにあった。


しかし。


「水遊びは好き?」



キヤアアア-!!


[生意気……な、人、間]



キヤアアアック!


魔力で作られた銛が突き刺さるたびに海竜の怒りが頭の中に強く突き刺さってくる。


黒竜の牙に噛み砕かれ、肉がぼろぼろになった首を垂れ下げて魔獣リヴァイアサンがこちらを睨みつけた。


クワアアアン!


巨大な尻尾が打ち下ろす水面。


接触した面から直ちに猛毒と熱気がぶわっと広がる。


しかし、当たらない。


ジオはいつの間にか移動した反対側の上空で身をかがめた。


こいつめ……。


「言葉も話せるのか?じゃあ、私の言葉も分かるんだな。」


ぽつり、ぽつり。威嚇的に膨張中の魔力球が手の中でいたずらっぽく転がされた。


「私はヘビは嫌いだ。中途半端なヘビ野郎。」


そして、からかうように連続していた瞬間移動が突然止まる。


チャンスだ!


殺気満々なリヴァイアサンの縦長の瞳孔がギラリと光った。


クワアン、クワン!


毒気をたっぷり含んだ海竜の激怒がキョン・ジオを包んだ結界を激しく打ち下ろした。


波も加勢する。殺意を持って激しく吹き荒れる。堅固に見えた結界の表面がだんだん削られていくのが遠くからでも見えた。


ヘリの中から状況を見守っていた者たちが慌てた。



「な、なぜじっとしているんだ?」


「黙ってください!詠唱中じゃないですか。」


魔法使いたちが睨みつけた。


絶え間なく鳥肌が立った。他の者たちは分からなくても、彼らにははっきりと見えて感じられる力。世界魔力が静かに飲み込まれていった。台風の目の中に。


「お星様、補助して。」


【誰に向かって言ってるの。】


バベルの配慮など必要ない。


不足している手数料は彼女の最も忠実な同伴者が負担する。


毒霧と黒雲で満ち溢れていた空が神話の中の一場面のように映画のように染まり、黄金色のベールが垂れ下がった。


領地化テリトリー


宣布された王の領域内、限界は無限に拡張する。


計算、完了。



ぱっと目を開けた。



「【世界、】」


スキルアラームは反応しなかった。


バベルから始まったものではない。王領と似ているが、また違っていた。


これは世界を振り回す超越者の傲慢で乱暴な越権行為。



ルールブレイキング(Rule Breaking)。


両目の中で星光が輝く。


キョン・ジオはニヤリと笑った。先が黄金色に染まった髪が下から舞い上がる。そして、いたずらっぽく掲げた人差し指、その小さな指先に集まった莫大な力。


シーッ。


「ジョー」が囁いた。


「【ひっくり返し。】」


法則の反転(反転)。


そのまま海の軸が傾いた。







[お疲れ様でした。]


[いいって。改めて。はあ、眠いんだけど帰ってもいい?「学校」に行ってきたらめっちゃ疲れたんだよね。はあ、これこそまさに「大学生」の苦労?]


[せっかく苦労されるなら最後までやっていってください。支援チームの話ではリヴァイアサンの血にある毒は並大抵の毒ではないそうです。]


[なんだよ、超めんどくさい。]


[はい、どうぞ。]


[はい、チーム長!]


[計画になかったのに無理にずっと銃を撃ち続けたせいか、こっちの腕がよく聞こえないんだけど、病院をすぐに手配してみて。]


[……あ、分かりましたって!ふむ。おい、ドビー。君がやってみる?]


[え、え?私がですか?私ですか?]



[何を驚いているんだ。7階級スキルに「天国の門」があるんじゃないか?広域浄化機の中で一番強いやつ。]



[ああ……。え、ありますが、まだ私が使うには私の実力が足りなくて。しくしく!ジョー様のご期待を裏切るこの悪い、駄目な助演。]


[キングが支えてくれるのに何が怖いんだ?トライしてみろよ。]



あああああ…


やがて画面いっぱいに染まる神聖な曙光(端光)。神聖なラッパの音と共に雲の間から開かれる黄金の門。


大天使の巨大で透明な手が水瓶を地上に傾ける。


玲瓏な五色の光が流れ落ち、真っ黒に汚染されていた海が急速に元の色を取り戻していく。






ピッ_


「ここまでです。」


アメリカ合衆国ワシントンD.C.


ホワイトハウス地下作戦室。


映像が終わったにもかかわらず、静寂は簡単には消えなかった。


官僚たちの中で誰も先に口を開こうとしないので、大統領ハリソンが重い口を開いた。


「自分の目で直接見ても信じられないな。それにしても、魔法使いが聖霊魔法を補助することもできるのか?なぜ我々は知らなかったんだ?」


国家安全保障担当補佐官が眼鏡を持ち上げながら答えた。


「そりゃあ……不可能なことですから。理論的に魔力と聖力は融合が不可能です。」


「規格外の存在だと考える方がいいでしょう。彼女ができることが誰でも可能だったなら、人類がゲートなんかにうだうだ言っていることもなかったでしょう。」


大統領首席補佐官が加勢する。


大統領はユーモラスに両手を挙げて見せた。ハレルヤ!


「我々の小さな同盟国に何の福か分からないな。海をひっくり返し、天国のラッパを呼び寄せる英雄とは!」


「コホン。」


「何よりも。」


大統領の顔色が再び真剣になった。官僚たちが姿勢を正す。


「たった一人の人命被害もないという点がひどく羨ましい。一国を守护する国家元首として嫉妬心さえ湧くほどだ。」


この偉大な国がいつから他の国を羨むようになったんだ?


大統領の独り言に作戦室内部の雰囲気が沈んだ。


「しかし。」


「危機を認め、助けを求めることもまた、今この時点で必要なアメリカの勇気だろう。」


ハリソン大統領は片隅で静かに座っていたCIA長官を見つめた。


「長官、韓国に伝えろ。長年の血盟国から『キング』の慈悲を願うと。」


「……しかしミスタープレジデント、6月にあった容疑者の身柄引き渡し拒否の件で、我々に対する感情は肯定的ではないでしょう。」


「では、他の方法があるのか?」


「……ありません。」


大統領の視線に従って皆が片方のモニターを見つめた。


カンザス。ドロシーの故郷であり、「アメリカの穀倉」と呼ばれる場所が焦土と化していた。そして崩れていく故郷を見て一緒に崩れていく農夫たちの涙。


大統領は沈痛な面持ちで言った。


「いくらでも高い代償を払ってもいい。アメリカの救いにはどんな代価も惜しくないだろう。」


神よ、我々を守りたまえ(God Bless America)。









ピッ、ピッ。カチャ。


機械音と共にドアが開く。


明かりの消えた家の中にはテレビの音だけが響いていた。


見ている人はいない。


虎は燃え盛るアメリカの状況を中継中のニュース画面を消し、室内の電気をつけた。


ぱあっと。



明かりがつき、露わになる家の中の様子。


開封途中の宅配便と放り投げられた服の山(思ったより気に入らなかったようだ)、水も入れずに開封だけしたカップラーメン(途中で食欲がなくなった模様)、全部溶けて液体の怪物になったアイスクリーム(食べようとして忘れたのが明らか)……。




「めちゃくちゃだな。」


感想を終えた虎が頷いた。


こんなことならゴミ捨て場で暮らせばいいのに、なぜ高い金を出してゴミ捨て場を新たに作るんだ?とにかく贅沢なやつだ。




「キョン・ジオ。」


リビングを通り過ぎて奥の寝室。


名前を呼ぶとベッドの中央、布団の上に盛り上がっている小山がぴくりとする。




「何でもないって言ってたのに。」


虎はしばらく見下ろしてから、さっと布団を剥いだ。





うわあ!


数日ぶりに光と向き合ったダークテンプラージオがもがいた。


「ひ、光……!あっちへ行け!」


「まるで殺菌されるカビでもないのに、人間であることをついに諦めたのか?」



楽な格好で来てよかった。


降りてきた前髪を一度かき上げた虎が布団で目の前のカビをぐるぐる巻きにして肩に担いだ。


「鬼虎がキングを捕まえる!ジオを助けて!すぐに降ろせ、生意気な奴隷野郎!」


「奴隷ではなく眷属。勝手にジャンルを変えるな。これ全年齢対象だぞ。」



……全年齢対象はとても重要だ。



ジオの抵抗が弱まった。


布団の中でうごめき、ひょこっと鼻を出して呼吸口を確保する。


「どこに行くんだ?」


「浴室。」


「……善良で純粋なキングジオにどんなけしからんことをするつもりだ、この狂気の男め?」


「お願いだから誤解を招く発言はやめてくれ。」


急激に疲れた顔で虎がジオを浴槽の中に下ろした。再び馬鹿なことを言おうとする口を手で塞ぎ、シャワーの温度をチェックする。


ザー……!


シャボン玉がふわふわと浮かび上がる。


ジオの視線がそれを追っていった。


いつの間にか浴室の中には水の音と息遣いだけが聞こえてきた。


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