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209話

同じ性別。


似たような年齢層。似たような等級。


対照的なイメージ。


あの忌まわしいマスコミがまた発端だった。


ナ・ジョヨンがデビューすると、彼らは当時最大の期待の星だったヨ・ガンヒと結びつけ、二人を比較し始めた。もちろん、似た時期にペク・ドヒョンもいたが、こちらの方がライバル構図としてはるかに刺激的だったから。



片方は天使のような外見の大型新人ヒーラー、もう片方はヘルシーセクシー系のライジングスター火炎剣士。


果たして誰がより早くハイランカーになるのか?


しかし。


「……謝ってください」


「何をですか?ジョヨンさんが売れてからガンヒさんがどっちつかずになったのは事実じゃないですか。ガンヒさんもそのせいでジョヨンさんのことすごく嫌ってるって。この業界じゃ噂になってるのに?」


現在ランキング14位。


ナ・ジョヨンの飛躍は華麗だった。ライバルとしてくくられていたヨ・ガンヒがみすぼらしく見えるほど。


二人の位置が極端に分かれると、人々はヨ・ガンヒを嘲弄し、ミームで戯画化するようになった。いつの時代のヨ・ガンヒだ、どこにヨ・ガンヒなんかを比べるんだ、暴落のアイコンなどなど。



「やめてください」


こんな時に出るともっと悪くなることを知っていて黙っていたのに。


見かねたナ・ジョヨンが制止した。


「今、人の前で何してるんですか。言葉が過ぎますよ」


イ・テヨプも加勢して制止した。


「そ、そうですよ。ちょっと過熱しすぎているようです。皆さんこの辺でやめましょう。一緒に戦うべき仲間同士じゃないですか」


「……私は少なくとも『自分の力』で上がってきました」


静かだ。


ヨ・ガンヒは歯を食いしばって再び力を込めて言った。


「他の人のように誰かの後光に担がれてきたのではなく……!自分の力だけでここまで上がってきたんです。恥ずかしいことなんてしたことないのに、逆恨みですって?何が羨ましいのよ」


イ・テヨプがぎこちなく顔を向けて見ると、ナ・ジョヨンは無表情な顔でヨ・ガンヒを見ていた。


重苦しい静寂の中、誰も口を挟まない。


退屈そうに傍観していたウ・ナセムは、ひよっこの蛮勇に拍手でもしてやりたくなった。



『誰か』の後光。


ナ・ジョヨンの後ろに『ジョー』がいることを大韓民国で知らない人がいるだろうか?ヨ・ガンヒは今、聖域に触れたのだ。


「まずは空母に着陸して、機動力を高めるためにチーム別に……何ですか?」


前の方でずっと通信していたキム・シギュンが眉をひそめた。


雰囲気がおかしい。近くにいた要員に目を向けるが、要員も自分たち同士で笑ったり騒いだりしているうちに喧嘩になったと告げ口するのは気が引けるのか、ただ肩をすくめるだけだ。


「ちくしょう、見なくてもわかる」


キム・シギュンはズキズキする額を押さえた。プライドの高い上等級ハンターたちを鶏小屋に入れておけば、皿が割れるのは日常茶飯事だった。


「多くは望まない。一人前だけやれ、このクソガキども……」


「……武器の整備からすぐ始めてください。今、予想時刻より亀裂のオープンが早いという連絡がありました。Aチーム隊長?」


「は、はい!」


「ヒーラーを除く全員、水中戦闘経験のあるAチームは、支援チームが信号を送るや否や、すぐに海上降下します。緊張を絶対に緩めないで……!」


その瞬間だった。


ぐらり、機体が傾いた。ゲートオープンの衝撃波だ。


操縦席でパイロットが腕を上げた。指を折る。五つ、四つ。カウントダウンだ。


「ドアオープン!」





ヒューイイイイイン!


青い済州島の海が嘘のように、さらに真っ青な穴に下水溝に吸い込まれるように渦を巻いて飲み込まれていった。


空の高いところ、支援に出ていた戦闘機が素早く方向転換する。



[「クラッシュバリア、目標地点投下完了」]


「チェック。バリア作動!」


ウウウウーン!


激しく揺れ動く波。その上に黄緑色の波の巨大な網が噴き上がる。


それと同時に、びりびり、両側に裂ける異界のブルーホール。


「来るぞ!」


----!!


ハンターたちが息をのんだ。


威圧的な魔獣の咆哮が海を掌握する。揺れ動く波が一斉に一方向に傾いた。


ドアの近くにいた要員たちが蒼白になった顔で慌てて口を覆う。


「海霧、毒霧です!」


キム・シギュンは揺るぎなく前方を見据えた。準備はこちらもできていた。



[「天使の羽が汝を覆うだろう、翼の下、汝はいかなる悪からも自由であろう!」]



[固有スキル、プリースト6階級神聖祝文、『ヴァルキリーの加護(Valkyrie’s Protection)』]


はっきりとした発声が戦場に響き渡り、光でできた戦闘天使の神聖な羽が何万枚も舞い上がり、空と海の間を覆い尽くした。


浄化および味方の攻撃力、防御力を同時に引き上げる広域系戦闘バフ。


『救いの灯』ナ・ジョヨンが断固とした顔で海を見下ろした。


そしてまさにその瞬間。



[海竜種『海の悪魔リヴァイアサン(S)』出現!]


歪んだ異界の亀裂が生んだ人類の敵であり悪夢。


抗うことのできない古代の恐怖が目を覚ます。


こちらの世界でも長い間知られてきた、海の恐怖の象徴が巨大な口を開けた。




キヤアアアアアアク!


ハンターたちが奥歯を噛み締めた。


戦闘開始だった。


「……遅い。どうしたんだ?」


汗で濡れたまつ毛が目を刺す。キム・シギュンは手の甲で急いで拭いながら魔弾を素早く装填した。


戦闘が始まってから約14分。


空から見下ろした海はすでに真ん中が黒ずんでいる。敵と味方の血がすっかり混ざって広がった結果だった。


済州が誇る青色は目を皿のようにして探しても残っていなかった。文字通り血の海と化した阿修羅場。


ゲート近くのクラッシュバリアも完破され、新しく稼働したものがすでに3回目。支援チームが切羽詰まった声で報告した。



「Cチームリタイア!Dチーム投入します!Eチーム待機!」


「Aチームメインタンカーの状態は?」


「良くありません。ナ・ジョヨンハンターが支援中ですが、グロッキー状態があまりにも頻繁に来ます。累積ダメージが相当です。精神力でやっと耐えています!」



クワアアン!


うああああ!歯を食いしばった悲鳴とともに波の上に透明な盾の形状が現れる。


防御戦士の上位スキル、[盾化]。巨大だったが、さっきより大きさが著しく小さい。力が抜けている証拠だった。


「良くない」


しかもDチームなら後発で到着した支援軍だ。


支援軍がもう投入とは。


メインチームが相手にしているリヴァイアサンだけでなく、奴が操る海獣種モンスターも手強いせいもあるだろうが……。


戦力消耗がここまで早いのは、制限されたフィールドが与えるペナルティも絶対に無視できなかった。


ディーラーたちは現在、海水の中、あるいは漂っている残骸の上で歯を食いしばって耐えているのだから。


支援していたヘリコプターも墜落の危険があるため、バリアをぐるぐる巻きつけたチヌークだけを残して距離を置いたのはずいぶん前のこと。




「ああああ!助けて!」


飛行獣に乗っていたハンターだ。


タアアン!


キム・シギュンは彼を引っ張っていく人食いイカ怪物の額の真ん中に銃弾を撃ち込みながら叫んだ。


「状況室に繋げ!」


[「キムチーム長!もう少し……!」]


「局長」


[「連絡は試み続けている!今、ファン・ホンの方から出発したから!」]


「必要ありません。状況を見ればわかるでしょう?『ジョー』!私たちはあの忌まわしい魔法使いが必要です。すぐに連れてきてください!」


神の存在など信じてもいないし、肯定したこともないが、キム・シギュンは今この瞬間には何でもできるような気がした。


ヒーラーたちは今にも倒れそうな勢いで機械のようにヒールを吹き込んでおり、波とモンスターに散々殴られたディーラーたちはぐちゃぐちゃの状態だ。


「ちくしょう、連れてこい!そうじゃなければ誰か本当に死ぬぞ、クソ!」


「チ、チーム長!」


「なぜ!」



キヤア—アアアアク!


チャアアアアク!


波が巨人の屋根のように湧き上がる。


苦痛に満ちた海竜の悲鳴が海の上を長く響き渡った。


竜と竜の戦い。


ワニのように突起のある海竜の長い首をどこからか現れた黒竜の牙が食いちぎっていた。


飛び散る水しぶき。巨大な波に一瞬飲み込まれたハンターたちがぜいぜい言いながら破片の上に這い上がった。


「な、なんだ?」


「……なんだってんだクソ!知らなくて聞いてんのか?やっと一息つけるってことだ!」



— タアク。


ひょっこり登場した謎めいた人影。


キム・シギュンは通信機から手を離し、ぼうぜんと正面を見つめた。


ヘリのドアの前、海風が激しく吹き荒れる場所。生意気にも半ズボンのポケットに両手を突っ込んだ後ろ姿。そのおかっぱ頭。


「よし。よくやる、よくやる、うちの子。噛みつけ」


吹き荒れる海風と魔力波でふらついていた機体がいつの間にかまっすぐにバランスを取っていた。


バリアが以前にも増して堅固だ。


は、は…要員のうち誰かがひっくっと笑うのが感じられた。


戦闘中に笑うなとどやしつけることはできない。不可抗力だから。


キム・シギュン自身も張り詰めていた緊張がすっと緩むのを感じた。


ヘリ内に広がり始めたその笑い声に『ジョー』が後ろを振り返る。呆れたような表情、緊張感など一切ないその顔で。


「なんだ、ちょっと殴られたくらいで集団で狂ったんじゃないだろうな?」


「……なぜこんなに遅れていらっしゃったんですか?」


「道に迷ってしまってね」


韓国ランキング1位、『魔術師王』キョン・ジオがそっけなく言った。


「日本まで行って帰ってきたんだ。とにかくみんなさっさとどけと言ってくれ。伝説の1軍登場だ」


冗談だろうが否定する余地がない。第2ラウンド、味方最強の切り札の登場。


待ち焦がれていたリベンジタイムだった。


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