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204話

息を殺して囁き始めた予備覚醒者たちの顔には、一様に羨望の色が浮かんでいる。


少数精鋭。


国内最多のハイランカー保有。


邁進する目標はひたすらトップランキング入り。バベルの塔に人生を捧げた真の征服者たち。


だから皆が夢見て、憧れてやまない大韓民国覚醒者0.1%のためのオールランカーギルド。


「ジャイアント」ドミ、「救いの灯」ナ・ジョヨン、「結界師」サ・セジョン、「白騎士」ペク・ドヒョン……そして彼らの若いリーダー「神槍」キョン・ジロクまで。


「ヤバい。捨てるところがないな。まるでオールスター戦みたいだ。華やかだ、華やかだ」


「マジで。ランカーが一体何人いるんだよ。でも入り口でなぜ動かないんだ……ハッ! おい、おい!」


「何だよ?……ハッ!」


彼らだけではなかった。


それぞれの場所で話をしていたランカーや覚醒者たちも皆、していたことを止める。


ジョン・ギルガオンやファン・ホン、ヘタの方も例外ではなかった。


誰が入ってこようが気にしなかったセンター所属の要員たちの体にも、緊張が走る。公務員が何人か慌てた顔で急いで走っていく姿が見えた。


場内が死んだように静かになる。


〈バビロン〉のランカーたちがなぜ先に行かなかったのか、

〈銀獅子〉がなぜまだ到着していないのか、皆がその理由を悟った瞬間だった。



キョン・グミは見上げた。


「王の登場……」


服装は本当にラフだ。


袖をまくった大きめのオックスフォードシャツに、太ももまで上がる短い半ズボン。


そこには華やかなギルドのエンブレムも、何の飾りもなかった。


所属なし。しかし後ろに従える者は無数だった。


散歩に出たようにぶらぶらと階段を降りてくるキョン・ジオの両脇を、虎とキョン・ジロクが左翼と右翼のように付き従った。


「マジで……マジであの方だ!」


「ありえない、実物だなんて……」


奇異で、敬虔にすら感じられる静寂は、彼らが完全に着席するまで続いた。


おかっぱ頭の「ジョー」が座って顎を突くと、ようやくあちこちから抑えられた息遣いが漏れ出した。


「な、何よ。私、なんで息を止めてたの?肺が縮んだみたい」


「私も……でも皆そうだったはず。マジで静かだったじゃん」


「あ、急に緊張してきた。マジやばい。何でこんなに震えるんだ?クソ、清心丸持ってる人?」


緊張したざわめきには、キョン・グミが立っている方をちらちら見る視線も混ざっていた。馬鹿でない以上、尻の重い王がなぜここまで直接お出ましになったのか分からないはずがないからだ。


しかしキョン・グミはそんな視線を気にしなかった。正確には、認識できなかった。


「お姉ちゃん……」


入場した直後から、ジオの視線はずっと一方向に向かっていた。隣で虎が耳打ちするときも、駆け寄ってきた公務員たちが丁寧に挨拶するときも変わらず。


その無心な視線の中に込められている憂慮と愛情を感じ取れないなら、本当に愚か者だ。


キョン・グミは首にかかったペンダントをぎゅっと一度握ってから離した。


同時に。




[「ああ、しばらく静粛にお願いいたします」]


[「関係者の皆様の入場がすべて完了いたしましたので、ただ今より大韓民国新規覚醒者1段階–バベル登録および等級測定を開始いたします」]


[「測定された覚醒データは、当該覚醒者が事前に公開に同意した項目の情報のみ、上部のモニターを通じて出力され、この情報は国家法上、外部への流出を厳しく禁止しておりますので、関係者の皆様におかれましては、この点ご留意くださいますようお願いいたします」]




硬い音声が場内を響かせる。


測定を担当した政府所属の研究員たちの動きも目に見えて慌ただしくなった。


放送を聞いたオローズが皮肉った。


「知らなかったわ。情報公開非同意にチェックしてもいいのね?」


「理論上は?ギルドのどこからもスカウトされたくないならね、まあ」



[「予備覚醒者は、呼名する順番に一人ずつ出て、ボックスの前でお待ちください」]



「マジか……。私を買いに来た人たちに囲まれて等級をつけられるために待機する、か。まるで豚肉にでもなった気分だわ」


「あまり否定的にばかり考えないで」



[「……prov-1番、チ・ウノ」]


最初の順番だ。


周りの人々が彼を振り返った。


チ・ウノは同期たちに向き合い、話を続けた。自信満々の笑みで。


「こっちは売られるのを待つだけの豚じゃないって、見せつけるだけじゃないか?」


「ハッ、チ・ウノ?とても望ましい名前をお持ちの方ですね。好感がむくむく」





熾烈な競争の末、すぐ後ろの席を占めたナ・ジョヨンが呟いた。


キョン・ジオはそっけなく尋ねた。


「望ましい?」


「あっ!チ・ウノじゃないですか。ジオ様と名前が二文字も同じなんですよ、へへっ」


「ストーカーじゃないんだから、本当にどうでもいいことまで……」


呆れたペク・ドヒョンのニュアンスにナ・ジョヨンは歯ぎしりした。あの犬っころを漢江に投げ捨ててしまえば願いはないという目つきだったが、ペク・ドヒョンは痛くも痒くもなさそうだった。


そうやって最側近たちが神経戦を繰り広げようがどうしようが、ジオは退屈そうな顔で椅子に背を預けた。


「はあ、さっさとスキップできないかな?いつになったら全部見終わるんだよ」


そもそもエキストラたちは主演登場時に約束されたセリフで盛り上げてくれるのが義務じゃないか?


やることを終えたら、そろそろ退場してくれないかな?


こちらを敬慕の眼差しで見つめる者たちは想像もできない、救いようのない人柄を誇っていた最中。




「……ふむ」


ジオは姿勢を正した。


バベルの魔力が揺れ動くのが見えた。興味を示すと、同じように退屈そうな顔で座っていたキョン・ジロクも眉をひそめる。


「ペクさん」


「……?はい、ジオさん。何でしょうか」


「知り合い?」


ペク・ドヒョンの視線がジオが指し示す方に向かった。


チ・ウノ……有名なサッカーの有望株だったから、当然顔と名前くらいは知っている。しかしジオが尋ねる意味は、回帰前に知っていたかということ。


ペク・ドヒョンは首を横に振った。


「いいえ。知りません。初めて聞きます」


「ふうん?珍しいな」


再び正面を見るジオの独り言。


キョン・ジロクが尋ねた。


「どうしたんだ?」


「いや。あいつ、AAA級なんだよ」




[チ・ウノ — 戦闘系/霊力特化]


[最終等級:AAA]


言葉が終わると同時に浮かび上がった電光掲示板の文字。


反応は時間差を置いて爆発した。


湧き上がるざわめきの中で、ファーストラインのランカーたちが誰ともなく虚空の一方を凝視した。




ランカー1番チャンネルの人員の変動。


進入ランキング19位。


瞬く間に〈D.I.〉のビビアン・キムを抜いた順位だ。


ヒューイ、ブラボー!



ジョン・ギルガオンが長く口笛を吹いた。


にやにや笑いながら隣を見ると、ビビアンの表情が険しく歪んでいる。



「顔をほぐして、秘書さん。プロらしく振る舞わないと。バベルが不公平なのは今に始まったことじゃないでしょ?」


「尊敬する上司の冷たい慰めに感謝します。身に余る光栄です」


立て続けにすぐに2段階が始まる。


スタートから新しいハイランカーの誕生を見た観客席が期待感でざわめいた。


向かい側では、せっかちなS級が2匹、すでにガラスの壁にべったりと張り付いている。


「あれよこせ!おい、白鳥頭!あれ買ってきて!」


「セム、お前何してるんだ!すぐに白紙小切手切ってこい!」


キョン・ジロクも顔を向けてサ・セジョンを探した。のんびりと雑談などしている場合ではなかった。


「何だよ、副ギルドマスター。こんな大物の話、聞いてないぞ?」


「……伝えられたポテンシャルは確かにC級から最大でもB級だったはずだが」


珍しく慌てた顔でサ・セジョンが冷や汗を流した。


ジオの口からAAA級という言葉が出るとすぐにファイルをめくったが、持っているデータが全く違っていた。


「今回の次席だったが、ポテンシャルが低かったので別途報告しなかった。私のミスだ、すまない。どうする?他のところから事前接触している可能性もあるが、無理にでも進めてみるか?」


「接触って何だ。ここでキョン・ジオを除いて誰も知らなかったみたいだから、そのまま押し通せ。いつまで50階台で足踏みするんだ?」


現在53階。


ゼロベース以降、バベルの塔攻略は50階台から大きく進展できていなかった。


急激に上がった難易度のおかげで、一人の戦力でも惜しい状況。


そんな中で戦闘系トリプルA級、それも魔力から自由な霊力系なら大物中の大物も同然だ。


予想外の支出にはなるだろうが……キョン・ジロクは眉間を揉んだ。


「呼べるだけ一度賭けてみろ。銀行の方とは私が別途話すから」



こんな状況なので、静かなのは〈銀獅子〉だけだった。


肘掛けの上で指を叩いていた虎がジオを振り返った。


「ペク・ドヒョンではなく、お前の方がよく知っているんじゃないか?少しの間でも一緒に過ごしたんだから」


[あなたの聖約星、「運命を読む者」様が一緒に過ごしたのは誰だと口の利き方が非常に気に入らないと言って不満を漏らしています。]


星位がむきになったが、虎の方も特に気に入って言った言葉ではないようだった。


あえて言うなら。


「今、皮肉ってるの?」


「俺が?」


「うん。虎が」


「そう感じたならそうなんだろう」


「ええ。気持ち悪く年食って拗ねて騒いでるよ。正確に線を引いておくけど、あいつが勝手に抱き着いたんだから。妄想すんな」


「今、誰が……誰を抱き着いたと、ジオさん?」




ひどく冷たい。背後が……。


そういえばペク執事はバンビを避けてモニター室への入場をスキップしていた。来ていないからチ・ウノがシルバー・ジョーに抱きついていたのも当然見ていない状態。


ジオはボノボノのように汗をかきながら肩をすくめた。


(執着)男主人公候補たちに囲まれた時は口を慎まなければならないというロマンスファンタジーの公式を忘れていた。


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