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2話 1.早起きする鳥がお腹がすいた

今から約20年前。


全世界に「塔」が現れた。


避雷針のように各国の首都ごとに突き刺さったその塔は、終わりがどこなのか見当もつかず、現代のいかなる技術でも接近および測定が不可能だった。


何あれ?怖い……


人々の恐怖と混乱が収拾つかなくなる頃。


黙りこくっていたその塔から、ついに音が聞こえ始める。


正確には、


人々の視界の前のメッセージとして。



バベルネットワーク


[バベルネットワーク、ワールドサーバーを開設します。]


[惑星アース。ワールドチャンネルオープン。]


[はじめまして、アース。]


[バベルの塔、最初の入場チケットの発行が完了しました。]


半透明なメッセージウィンドウ。


一見するとオンラインゲームの中の通知ウィンドウと酷似していた。


違いは非常に一方的な伝達であり、ここがモニターの中ではなく現実だという点くらい。


正体不明の塔は、そうやって本人を「バベル」だと紹介した。


続いて、自身の案内に従わない場合に起こる災いについても告知した。


ためらっている暇はなかった。


災いは人類に悩む時間も与えず、いきなり押し寄せた。


ゲートアウトブレイク


Gate Outbreak。


空が裂け、大地が割れて登場した数十個のブルーホール。


同時多発的に現れた亀裂は、異世界の怪物たちを文字通り現代火器では手も足も出ない。


地球温暖化で滅びるかと思ったら、まさか、モンスターフェスティバルで滅びるのか。皆が絶望していた時点。


最初の「チケット」を受け取って塔に入った者たちが、ドラマチックに帰還する。


手には剣、槍、弓のような旧時代の武器をたくさん持って。


何人かは何も無い虚空から火と雷を召喚しながら。


1世代、覚醒者たちの登場だった。


いよいよ大ハンター時代が開幕したのだ。



* * *


「ここのWi-Fiのパスワードは何ですか?」


「領収書の下に記載されています、お客様。」


「……アイスアメリカーノ一杯ください。一番小さいやつで。」


さすがディストピア。カフェも日に日に強くなるな。


キョン・ジオは驚くべき商術に感嘆し、席を一つ選んで座った。


大学入試の結果が出てからすでに一ヶ月。


今回もきれいに失敗したせいで、怒った母が携帯まで止めてしまった。


だから手にあるのは一方的な受信だけができる、完璧な白ロム。


Wi-Fiなしでは、孤島の原始人と何ら変わりなかった。


「それでも寄宿学校にまた送られないだけまし……?」


正確には、投資対比収益がひどいから独学でもしろという通告だったが。


とにかくあそこは現代の地獄だ。


ジオはひどかった昨年を思い出し、身震いした。


「わ、ここのモデルいつ変わったんだ?


ヨ・ガンヒが広告を勝ち取ったんだ。」


「俺でも変えるわ。前のモデルはハンシジュウだったじゃん。ダンジョンよりは塔で活動する人たちの方が百倍マシだろ。」


「ダンジョンは自分たちのお金を稼ぎに行くところだし、塔は人類の未来のための犠牲者なのに、めっちゃ当然じゃん?ゲームにならない。俺は脱獄派は気に入らないな。」


「言うのは簡単だろ。命懸けでバベルの塔に入るのが簡単か?どうせゲートが爆発したら割り当てられて駆り出されるのは皆同じなのに、でたらめ言うな。」


「こいつなんでこんなに熱くなってんだ?もしかしてハンター志望生でもいるのか?」


「空気を読むことを便器に流してしまったのか?あいつの兄貴はハンターじゃん、マジで。」


何を食ったらそんなに騒がしいんだ?


とにかく男子高校生たちのデシベルは認めざるを得ない。


ジオは顎を突いたまま壁側のポスターを眺めた。明るく微笑むヨ・ガンヒの顔が眩しい。


ニュービーかな?昨年の下半期チュートリアル期数?'


それならまだ慣れなくても、すぐに慣れるだろう。


あいつらの言う通り、塔攻略ルートを制覇したランカーなら広告がこれ一つで終わるはずがないから。


覚醒者、つまりハンターの時代。


彼らを生み出すバベルの塔の1階を「チュートリアル」と呼ぶ。


毎年ランダムに付与される「入場チケット」の当選者たちは、これを通じて真の覚醒者として生まれ変わった。


そしてそんな彼らが成長する方法には二つのルートがある。


1. 難易度の高い「塔」を命懸けで登る道。


2. 難易度の低い「ダンジョン」で安定的に経験を積む道。


前者を「純情派」、後者を「脱獄派」と人々は分けて区別した。


亀裂発生時に国から呼ばれるのは同じだったが、二つの人気は全く違った。


現在の事態が塔の出現から始まっただけに、結局解決策は塔にあると皆が信じていたから。


ダンジョンにだけ没頭する者たちは自分の安危だけを気遣うという偏見も、日増しに強まっている昨今だった。


しかも難易度も深刻に違うし、星たちが主に注視する方も塔だろう。


チュートリアルで星位と契約できれば申し分ないが、チュートリアル最終関門である「天門」で星約が結ばれる可能性は20%。


結局残りの覚醒者たちは塔とダンジョンを一生懸命転がりながら耐えなければならないということだが……


そんな面で比較にならないほど塔の方が当選確率が高かった。


その結果、いわゆる「ランカー」の割合も純情派が圧倒的。


大衆の人気が一方向に偏る現象は、もしかしたら当然だった。


もちろん脱獄派も星に選ばれることはある。可能性が低いというだけだ。


しかし純情派であろうと、脱獄派であろうと、このすべては結局「ノーマル」ルート。


どちらでもない、別世界の話し。


とても、とても稀ではあるが。


塔が「チケット」を与える前に、星位にいきなり目星をつけられてしまう「スペシャルケース」が存在したから……


「ああ、マジで塾に行きたくない。どこかに星スプーン(生まれつき恵まれた境遇の人)落ちてないかな?」


「マジかよ、宝くじ当選の方が早いだろ。」


[あなたの聖約星、「運命を読む者」様がそれ!今それ聞いたかと詰め寄ります。]


[自分のように運のない星位はもういないと、哀れな身の上話も並べ立てます。]


「ちょっと静かにしてください。」


《キョン・ジオ様の聖約星、「運命を読む者」様が星位固有の権限でバベルの塔入場チケットを発券します。任意に発給された「専用チケット」は他人に譲渡できません。》


「あなたのキョン・ジオが黙れと拒否します。」


[あ、あんな可愛い化身を見たかと「運命を読む者」様が腰に手を当てます。]


[うちの子はこうだと、シャーシャー威嚇しているのを見てくれと近所の人たちに指し示します。]


「ああ、マジかよ、これはミュートもできない……」


ジオは険悪な勢いでBluetoothキーボードを叩いた。


独り言を言うと「あら、あの人聖約星がいるみたい」と決めつけられる。何かしているふりが必須だった。


ちょうどハンターイントラネットをざっと見ていたところでもあったし。



[速報]


20xx. xx. xx.


アメリカバベルの塔、42階攻略成功。(+452)


コメント


- 友達から聞いたんだけど、これティモシーのギルドらしいよ。すぐに詳しい後続報道が出るはず。


- 天上界ランカーたちはバベルにあんまり行かないのに、アメリカはマジかよ、1位が自ら乗り出すなんて;


- 韓国はいつになったら40階台に進入できるんだ……ヘル朝鮮だから難易度もヘルだよ


- 韓国1位はどこで何してるんだ?俗世を離れたのか?寺にでも入ったのか?


- 誰も知らない。姿が見えないから。


- 神秘主義がひどいなㅡㅡ1位なら全部なのか?


- 全部ではあるよ……


- 本当にどれだけすごい人なんだろう;;;


「浪人生だ、クソが……」


バベルの塔入場チケットもスキップ。


チュートリアル過程もスキップ。


しかし誰よりも予定された黄金の道。宝くじ、スーパーボール当選よりも難しく希少だという先揀択後覚醒。


別名「星スプーン」。


スプーンの色によって若干のばらつきはあるものの、星スプーンはたいてい星位からものすごい偏愛を受ける。


このケースで一番有名な人が、現在のワールドランキング12位、フランスの聖女ジゼル。


平凡な一般人だったジゼルは、覚醒と同時にS級判定を受け、世界ランキング最上位圏に進入した。


たいてい匿名で正体を知ることはできないが、彼女の聖約星がフランスの伝説的な英雄だという話は秘密でもなかった。


[星位、「運命を読む者」様が鼻で笑います。]


[本当に滑稽で比較すらしたくないと言って、もういいと手を振ります。]


「聞いてない……」


[速報]


20xx. xx. xx.


アメリカバベルの塔、42階攻略成功。(+452)


コメント


- 本当にどれだけすごい人なんだろう;;;


↳ - すごいのは確かだよ。国内初のS級覚醒者だし。今ではS級たちが結構現れたけど、その時は違った。うちの1位が登場した時、ワールドランキング全部変動して、ランカーチャンネル番号も全部変わったもん。一つずつ皆押し出されて。


↳ - いや、ラテisホース(自分の過去の栄光を語る)かよㅋㅋㅋㅋㅋㅋ


↳ - 古参の思い出語りでも構わないから、誰か1位の目撃談を語ってほしい。もしくは1番チャンネルの経験談でも


↳ - ㄴㄴあそこマジで古参しかいないから弾き出されても出てこないよ。馴れ合いがマジでひどいだろうな


ブー、ブー。


カカオトークが狂ったように振動した。無視したら今度は電話まで鳴る。


ジオはグラスの底まで吸ったアイスアメリカーノを置いた。


振動が止まらないので、隣のテーブルからもそろそろ見始め始めた。しかしすぐにピタッと止まる携帯電話。


「片付けたか?」


[聖約星がその発言は軽率だったと舌打ちします。]


ブー。ジオは不吉な予感に携帯を再び裏返して見た。


母の息子(010-7351-xxxx)



━ x月xx日 ━


おい、力隠しオタク


お前の正体をワールドチャンネルに暴露する前に、今すぐ帰宅しろ


「こんな人生の役に立たないやつ……」


慌てて荷物をまとめて抜け出した。家から二駅離れた距離だったが、関係ない。


カフェの建物から出るとすぐにジオは裏路地にすっと入った。人影の少ない裏口のドアノブを引っ張る。すると、


「どこに行ってきたんだ?」


「部屋にいたけど?勉強に集中しすぎて聞こえなかったみたい。」


ジオはドアを閉めながら平然と答えた。


眉間も忘れずに思いっきり狭めた。私は今、あなたの言葉がとても呆れていて、とんでもない。


ずっとドアの前を守って立っていたキョン・ジロクが鼻で笑った。鉄面皮すごいな。


「ドアを壊そうかと思ったけど、今回は本当にママに髪の毛をむしり取られるかと思って見逃してやったのに。」


「……うちのバンビがそうだったの?どうして探したの?何か必要なの?」


「ふざけてる?お前チャンネル確認してないだろ、マジで。俺今速報を聞いてバベルから帰る途中だ。キョン・ジオさん、俺がお前に何か必要だと思うんですか?」


「うーん、どこを見ようかな。兄妹間の温かい友情?」


そういえばちょっと久しぶりに会う気がするとジオが呟いた。


国内純情派の先頭走者。最上位ランカーキョン・ジロクがそのとんでもない様子についに我慢できずに怒りを爆発させる。


「おい!お願いだから力隠しオタクごっこはやめて、攻略をしようって言ってんだ、この引きこもり!」


[あなたの聖約星、「運命を読む者」様が弾けるサイダーに嬉しそうに歓呼します。]



バベル曰く。


スプーンの中のスプーンは星スプーンだ。


そして星スプーンの中の星スプーンはまたS級をそのままくれる。


小学校の時、大韓民国初のS級としてデビューしてから早10年。


バベルの塔も、ダンジョンも一度も行ったことがないが、依然として不動の1位。


現在のワールドランキング3位。


国内ランキング1位。


魔術師王「ジョー」。


現実は浪人生キョン・ジオ(20歳/女)が熱い弟の視線を回避した。あ、熱い。


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