188話
すべてのバベルのメカニズムがそうであるように、利用者の目にだけ見えるようだった。
紫と黄金で飾られた扉が両側に大きく開くと、メリーゴーラウンドのように回る円形の陳列台がそこにある。
絵のアイコンで陳列された一般商店とは異なり、実際の物を圧縮したようなミニチュアがくるくると回った。
「ここが本物だったんだ。」
一目で只者ではない物。
ジオは「アトランティスの人魚姫の横になったらすぐにまぶたがスルスル閉じる快適な移動式真珠貝寝室」から苦労して視線を離した。（X 柔らかそうだった。）
「これも違う、うーん、あれも違う……これだ！」
[► ドラゴンロードのどこでも自由自在ポリモーフモノクル /超越/]
— 人間界旅行が好きなドラゴンロード「アキレギオル」がバベルと取引した竜言魔法。
— 場所を問わず、いつでもどこでも
望む姿にポリモーフ可能だ。
一度騙され、二度騙されるか？
ジオは注意事項から注意深く読んだ。
クールタイムは3ヶ月、場所の制約がないため、塔の中でも可能。
「これだ、これだよ。」
お星様が商店窓を開けてくれたのも、これを指しているに違いない。
ジオは楽しく購入ボタンを押し
た…。
［コストが不足しています。］
［購入に失敗しました。商店メイン窓に戻ります。］
［残りのコスト：48,064,12コイン
「……え？」
惑星最高のコスト金持ちは慌てた。もう一度購入ボタンを押してみるが、結果は信じられないほど同じ。
「私、私がコストで買えない物があるなんて！」
成金ジオはむすっとしながら、ようやく価格表を確認した。
真の金持ちは価格表を見ないという信念に従い、価格表などは見ないのが習慣だったのに……え、あれ？
[> 購入する
— 235,000,000 コスト]
「クソ、物価どうなってんだ……？」
ここはジンバブエか？
モノクル一つに2億を超えるなんてありえない！インフレもこれくらいなら殺人的な水準だ。
「私たちのような庶民は何を食べて生きろと！この汚い黄金万能主義ブルジョア豚野郎ども！」
[聖位、「運命を読む者」様が、さっきまでブルジョア腐敗の見本だったやつが何を言っているのかと呆れています。]
と星様が何か言っていたが、倹約な庶民革命家ジオの目には何も見えなかった。
バベルの汚い商売人めがついに良心を地に捨てた模様。そもそもこのような堕落したブルジョアには当然の応酬が必要だ。
キョン・ジオは正義実現のためにバベルと共犯であるもう一人のブルジョアを締め上げることにした。
「よお。」
[……。]
「コストあるだろ？持ってるもの全部出せ。」
[……聖位、「運命を読む者」様が、こいつの人柄マジかよ、信じられない展開の連続だと驚愕しています。]
「穏便に、穏便に行きましょう。持ってるものも多いお方が恵まれない隣人も助けて、え？互いに助け合って生きるべきだ。」
[すでに後援という名目で生活費全部巻き上げたんじゃないかと、聖約星が空っぽの財布をこれ見よがしに寂しげにひらひらさせています。]
「それで。あげたくないってことか？オッケー。ふむ、コンモシの電話番号は何だったかな。」
[その牧童は突然なぜ探すのかと聖約星が少し不安がっています。]
「いやいや、この前見たら、あいつ星を二つも付けて歩いてたんだよ。こっちも乗り換えられるかちょっと調べてみようかと……」
[あなたの聖約星、「運命を読む者」様が120,000,000コストを後援しました。]
【私の業だ、誰を恨めばいいのか。】
【1億2千万。一括払いだ。】
ほらよ、融通可能な最大値。
これ以上送ったらバベルに警告されるとか……。
露骨に失望するノー良心化身の頬を軽く撫でながら聖約星が一歩後退した。
ジオは着実に計算してみた。
モノクル：二億三千五百。残りのコスト約四千八百、運読みの者の後援金一億二千。それなら……。
「66,935,880」
「ジオさん、何の数字……」
「ペク執事。」
「はい。」
「お前…」
キーイイイ！
ブガッティでたった一人のために
献呈製作したというニューノワールがドロ辺に止まる。
不思議そうにこちらを見ているペク・ドヒョン。ハンドルから片手を離しながらジオは重々しく言った。
「私と仕事一つしよう。」
目標金額：66,935,880コスト。
世界で最も高いスーパーカーの中で形成された複式組。
コスト乞食の誕生だった。
コスト稼ぎはコロッセオが最も儲かるが、そこで居座っていたら勘のいいバンビ野郎にバレやすい。
そうなったら元も子もない。
頭を働かせたジオはハントラネットに注目した。
世の中のすべての財貨に非常に本気な韓国人らしく、コスト制度アップデート以降、関連情報が急速に氾濫していた。
［一般］ダンジョン破壊すればコストが跳ね上がって得られるという情報本当ですか？
おすすめ26 反対1 (+31)
他サイトの情報を見るとそんなことが書いてあったけど、誰かが九里市にあるダンジョンを閉じて報酬で二万コスト以上もらったと…
低いダンジョン、源魔核を壊すのはそれほど難しくない
ない？本当ならめっちゃ美味しいのに
- マジかよ??????
- マジだよ知らなかったの？未確認ダンジョンを発見すれば発見報酬まで上乗せされて5万コストあっという間
- 単独攻略可能な時の話だよ。攻略隊を集めて行けば、分割することまで計算しないと。
L それでもスペック足りないやつらはコロッセオで居座ってないでダンジョンノガダする方がマシだわ
コロッセオ最弱体 今から攻略隊
探しに行きます
「信じてたよ、韓国人たち！」
キョン・ジオの成功時代が全国ダンジョンで始まった。
その夜から密かに始まった全国コスト盗掘ツアー。
突然種が尽きてダンジョン業界が揺らぎ、キョン・ジオの心機が非常に不快になる背景の顛末だった。
とにかく知っている人は最大限少なくなければならないこと。
こき使う労働者も慎重に選ばなければならなかった。
ナ・ジョヨンはヒーラーだからパス
チェ・ダビデはバカだからパス……。
体が丈夫で、打たれ強く、ひたすらキングジオしか知らない剣士ペク・ドヒョンはなかなか素晴らしい補助だった。
しかしご存知のようにダンジョン生成は不規則で突発的だ。
乞食複式組二人の相性とは別に未確認ダンジョンまで発見するには現実的な限界があったので……。
それで財政的、全方位的なサポーターとして虎まで抱き込んだ。
素早い反応のために最終的にはホテルを転々としながら独立までしたが……ついに。
[購入が完了しました。]
[ドラゴンロードのどこでも自由自在ポリモーフモノクル(+1)がインベントリに保存されました。]
魔法使い6階級から扱い始める「変身魔法」。
魔法が実際に世の中に現れる前、多数の媒体で扱っていたのとは異なり、変化魔法はかなり厄介な部類に属した。
それは大韓民国、さらに世界魔法界全体を網羅する第1の強者であるキョン・ジオにも例外ではなかった。
生命のエネルギーは絶えず変動するのに、それを一時的に歪めてまた維持することが決して容易ではないため。
むしろ永久的な変化なら話ははるかに簡単だった。ジオも幼い頃、動物に一度変身してみたところひどい目に遭ってからはあまり手を出さない領域だからなおさらだろう。
そのためキョン・ジオはかなり嬉しかった。
「エヘン。このグレートゴッドジオを賛美することを許す。」
「まあ……これくらいなら。可能かも。」
そっくりそのまま少年に変身したジオを見てホン・ヘヤが気まずそうに頷いた。
しぶといな、本当に。その間にうまく解決策を持ってきたな。
「それでも専用チケットは使えません。それはどうあっても塔に記録されるから。下手をすると強制バランス調整が起きて他のチュートリアル参加者が被害を受けるかもしれないから。」
「え、じゃあどうやって入るの？」
「『オプション』があるから。」
この機能をこんなに早く使うことになるとは思わなかったのに……
ホン・ヘヤはジオをじっと見つめた。
特有の気だるそうな顔でジオが見つめ返す。
「何見てるの？」
「いや……。」
本当に、会うたびに微妙に心境が複雑になる人だった。
かつてホン・ヘヤはあの女が憎かったことがあった。
キョン・ジオに本当に罪があるのか、というのは重要ではなかった。人々はとかく英雄に自分だけの欲を投影し、応えてくれなければ勝手に失望してしまうから。
もしかしたら彼は妹のダルヤが一人の名前だけを叫ぶ時から無意識のうちに兄妹の救世主としてキョン・ジオを考えてきたのかもしれない。
だから憎かったし、だからもっと恨めしかったし、だからさらに拒否感があったのかも。しかし……。
ゼロベース、そして未等級の超越ゲートまで。少しの間にとても多くのことが起きた祖国。
そのせいですべての引継ぎを終えたホン・ヘヤが塔の外に出た時は、誰もどんな死も覚えていないと思った。
「じめじめと何の湿気だよ？いいところに埋めてあげればいいのに。」
特に一人の人だけは必ずそうだろうと思ったのに……。
人けのない雪岳月桂谷の夜。
二人の骨壺を乗せて月明かりが照らす谷水が流れていった。
遺骨箱をぎゅっと抱きしめたままホン・ヘヤは全く期待していなかった弔問客をぼうぜんと見つめた。黒い服を着飾ったキョン・ジオの弔意には普段の姿と似合わないほど一切の欠点がなかった。
魔法使いが空に飛ばす二つの風灯。
ホン・ヘヤはそれらについて頭を上げながら答えた。
「、、、、ホン家の人は皆、月桂で生まれ、月桂の星にまた帰るから。」
「ふむ、もっともらしい戯言だな。」
ふっと笑うキョン・ジオ。
そんな彼女に向かって月の死で完成された日の「目」が輝いた。
月夜にたなびく風灯の下。
ホン・ヘヤは静かにキョン・ジオの本当の心を聞いた。音のない涙が彼の頬を伝って流れ落ちた。そうして恨みが終わり、憎しみは冷めた。
