184話
ぽつん……。
間抜けな二人は、互いの髪を掴んで引っ張り合っていた手をゆっくりと下ろした。カオは抜けた髪の毛と共に消え去った。逃げ場もない。
チェ・ダビデとファン・ホンは本能的（習慣的）にミーアキャットのように首を伸ばし、担当の収拾班を見つめた。
すると、救済ビームを浴びた担当の二人が立ち上がる。
白鳥が重々しく言った。
「失礼しました。久しぶりに懐かしい顔ぶれが多く、ダビデが浮かれてしまったようですので……バビロンのギルド長、寛大なあなたが理解してあげてください。」
百点満点の完璧な収拾。
やはりこのような事を数多く経験してきたベテランらしい腕前だった。目配せでウナセムの方へターンを譲る所まで完璧だ。
しかし、ビームを浴びて気を利かせて立ち上がったものの、ヘッドの迷惑行為に特に付け加える言葉がなかったウナセム。
一日二日でもないし？あの豆腐は元々あんな奴なのに……。
ウナセムは悩んだ末、適当に何か言葉を投げた。
「そうです。それだけ喜んでいるということでしょう……。」
「それはともかく。それで、なぜ盗み聞きしていたんですか。」
キョン・ジロクの殺伐とした眼差しに、チェ・ダビデが機敏に答えた。
「マイフレンドから全然連絡がないからですよ、判事様！」
「少なくとも一週間に一度、遅くても十日に一度くらいは必ず返信してくれたのに、ちょっとおかしいじゃないですか。そうでしょ？」
「普通、そんな事を必ず連絡すると言わないだろう。」
「俺も同じ立場だ。こんなに音沙汰のない奴じゃないのに、何かあったのかと思って。」
「嘘つけ。お前はそもそも連絡先もないじゃないか。」
「連絡先がなくても確認できないのかよ！家の前に張り付いてるだけでも顔は見れるんだよ！それより、キョン・ジロク、お前、俺が連絡先を消されたのを知ってたのか？まさか俺に番号を教えないように言ったのはお前の仕業か！」
こいつ……鋭いな？
キョン・ジロクは平然と話題を変えた。
「とにかく、気にしないで。ちゃんと食べて元気に暮らしているから。そっちがしつこくするから、あいつも少し距離を置いているんだろう。」
姉を社会的に完全に孤立させるのが目的であるかのように、周囲の人間関係を破綻させる言葉を平気で吐くバンビ野郎。
見かけより純粋なチェ・ダビデの顔が、その言葉にすぐにしょんぼりした。
え……本当にそうなのか……？
「あ、うーん……。そうなら仕方ないけど！でも、あの、ジョーに、その、私が間違った事を教えてくれたら、私が直す事もできるから！伝えてくれるなら……ゴホン、伝えてくれ！」
友達を作るのが下手だから、迷惑かもしれないという事を考えられなかったな！
「私はそれでも、それなりにペースを合わせようと一週間ごとにやったんだけど、うーん。私って本当に馬鹿だな、
えへへ……。」
照れ臭そうにするチェ・ダビデの独り言が、落ちていくクジラについてどんどん小さくなった。そしてキョン・ジロクの良心もまた、ギルド長を見るバビロンの最側近たちの視線が驚くほど冷たい。特にドミは目でほとんど悪態をついている。
見かねたサ・セジョンが近づいてきて、そっと囁いた。
「悪い奴。」
「……あ、分かったって！」
はあ。
神経質そうにため息をついたキョン・ジロクが、気が進まないという口調でぶっきらぼうに吐き出した。
「どこにいるか知らない。」
「俺も知らないって、クソ。」
うんざりした表情からして嘘ではないようだが……。それでも疑問符は残る。
落ち込むのも早いチェ・ダビデが、素早いチーターのようにキョン・ジロクの胸ぐらを掴んだ。
「この鹿野郎、いい加減にしろよ！誰を馬鹿にしてるんだ！同じ家に住んでる奴が知らなかったら誰が知ってるんだ！」
「そうだ。同じ家に住んでないから。」
「何？」
「これは離せ。」
「もう一度俺の体に触れたら、その時は武器を持つ事になると思え。」
低い声で警告しながら、キョン・ジロクがチェ・ダビデを引き離した。
サ・セジョンは、若いボスであるキョン・ジロクの短い我慢が臨界点に達した事に気づいた。
状況を整理しようと口を開こうとしたが、キョン・ジロクが手を上げて制止する。
「正直、マジでイライラするけど……」
キョン・ジオがチェ・ダビデに見せる友情は本物だ。キョン・ジロクもその点をよく知っていた。わがままを言いたい気持ちもあるが、それを考えると（自分の気分とは別に）これ以上我慢できない理由もない。
キョン・ジロクは怒りを抑えようとゆっくりと眉間を揉んだ。
「知らなかったみたいだけど……あいつ、独立すると言って荷物をまとめて出て行ってから長いんだ。」
2週間くらい経ったか？
おそらくソウル所在の5つ星以上のホテルは一度ずつ全て経由したと言ってもいい。
もはや遠慮するものがない風俗親和型マンチキン。タガが外れたキング・ジオ様は最近、金庫に水道の蛇口でも付いているかのように、お金を湯水のように使うのが趣味であり特技だったから。
もちろん［聖なる者との三戒］を身につけている以上、位置把握くらいは
お互いに非常に簡単だ。問題があるとすれば……あいつが少しばかり腕の良い魔法使いだということ。
「クソッタレな空間移動……。発明した奴は誰だ？」
Aホテルが記録されてそこに行くとDホテルにいて、再びDホテルに行くとHホテルにいるので……まさに大混乱パーティーだった。
「今どこにいるんだ」と黙ってないで追いかけるのも一度や二度ではないし、「勝手にしろ」と言ってキョン・ジロクも見限ってから久しい。
しかし……昨日の夕方の事だった。グミに言われてしまった。
「キョン・ジオの監視をしてくれ。」
「何？なぜ。」
「さっき姉さんに電話で言っておいたけど、知ってるでしょ？あいつの性格。聞く耳も持たないだろうから、兄さんが引き受けてくれ。あの人間、放っておくと間違いなく私を庇って事故を起こすに違いない。」
「分かってる、私も。姉さんと兄さんが俺の事を心配してくれてるのはよく分かってる。でも兄さんも知ってるように、姉さんの体調も万全じゃないじゃないか。」
「練習と準備は十分に、いや、余るほど二人がサポートしてくれた。それならもう私の番だ。」
普段、弱音を吐かない末っ子の頼みだった。キョン・ジロクは聞かなければならなかった。
そうして夜が明けるとすぐに、早朝から蔚山を皮切りに一山、ソウルまで。全国各地で鬼ごっこでもするように、三戒に記録される位置を追ってあちこち追いかける事しばらく。
そして彼の我慢が底をつく頃、ついに記録された最終場所は……。
［聖なる者との三戒］
［— First User：キョン・ジオ］
［位置：バベルの塔/韓国I 状態：少し空腹］
そうだ。キョン・ジオの立場も理解できないわけではない。
未等級の亀裂が閉じた後、〈解放団〉と有力容疑者だった「グイード・マラマルディ」の行方はそのまま杳として知れなくなったが……。
消えたという事が決して終わりを意味するわけではないので。
不安要素は依然として私たちのそばに残っていたから。ところで。
「なぜ俺に何も言わずにこんな事をするんだ？」
もちろん彼らは事細かに連絡して事細かに話す兄妹ではなかった。それよりもお互いに言わなくても本能的に気づく兄妹に近かったが……。
これはちょっと酷くないか？
独立してからますます顔を合わせる事もなくなったのに、こっちの連絡は受けないくせに、いつも虎やペク・ドヒョンにベッタリくっついて。
「コロッセウムで殴る時はよく走ってきたくせに。」
最近気に入らない行動が
たくさんある。
キョン・ジロクは込み上げてくる苛立ちを抑えながら片方を見た。
その荒々しい眼差しが向かった先はモニター室の一番前。こちらと目が合うとニヤリと笑って済ませるいつも余裕綽々な男。
「……だから俺が言いたいのは。」
「お、おお。」
「気になる事があるなら、こっちに無駄に文句を言うな。あっちの銀獅子の代表に聞きに行け。集まって一体何の企みをしているのか、俺も気になって死にそうだから。」
「分かったらさっさと消えろ。こっちはこれから妹のモニタリングをしないといけないから忙しいんだ。」
追加で、今頃塔のどこかに隠れ入った宿敵まで乗っかっている状況だからな。
［偵察中の野蛮族戦士の群れを掃討しました。現在位置が一時的に安全になります。］
［スペシャルポイント4300点獲得！］
［15コストを獲得しました。］
［おめでとうございます！バベル商店がオープンしました。］
［商店オープン記念報酬として777コストを獲得します。プレゼントボックスを開けて
受け取ってください！］
「商店が開いた！」
「はあ、死ぬ事はないんだな。食料、早く食料から買おう。」
「どこだ。食料はどこにあるんだ……ここにある！10コストか。思ったより安いな？」
「それなら近くで手に入るという意味なのに。できれば今買わないでキープしておきましょう？」
床に落ちていた双剣を回収した
キョン・グミが大した事ないように言った。
水を購入しようとしていた二人の男がその言葉にハッとする。
バベルの塔第41次チュートリアルシナリオ、《最初の金字塔》
個人戦ではなく組別サバイバルだと案内された今回のチュートリアルは、砂漠の真ん中に位置するピラミッドへ向かう長い旅だった。
砂でできた広大な海のような砂漠。それだけではなく、砂丘の向こうに隠れてゲリラ式に襲ってくる、矢と槍で武装した浅黒い野蛮族まで。
照りつける太陽の下でさまよいながら彼らと戦うせいで、喉はカラカラに乾いていた。しかし、内的葛藤もつかの間、チ・ウンオは特に異論なく購入を取り消す。会社員のおじさん、チョン・サンウォン（貿易業/42歳）も同様。
難易度の高いこのステージ。チュートリアル再入場である経験者のキョン・グミがいなかったら、おそらく彼らはとっくにミイラになっていただろうから。
「グミさんは見れば見るほど本当にすごいね。若いのに本当に知らない事がない。」
「低い等級のハンターだったとしても、一応は経験者ですから。」
「それでも商店システムはオープンしてから間もないじゃないか。よく知ってるのが不思議で。」
「たくさん見てきたからですよ。私の血縁者が誰かおじさんも知ってるでしょ？あいつらは一日に十万コストずつ使って倒れてる人間だから。」
「ヒエッ。十万コスト？一体何を買うとそんなに……！」
「まあ……贅沢品みたいなもの……？」
キョン・グミがあやふやに言葉を濁した。
「そのほとんどが私のインベントリにあるとはとても言えない……」
バベルもこれはまずいと思ったのか、インベントリの中の詐欺級アイテムには慌ててロックがかかっていた。
汗でびっしょり濡れたチョン・サンウォンが呆然と舌を巻く。
「天上界は本当に、次元が違うんだな。まるで違う世界の人たちの話みたいだ。」
「……多いし強いだけ、あいつらも同じ人間ですよ。とにかく、休んだらそろそろ起きましょう。休憩は残りのパーティーメンバー二人を探してからでも十分ですから。」
「こんなに時間がかかるとは。近くに離れていた私たちが運が良かったケースだったんだな。」
ヒュウ。
チ・ウンオが手のひらで日陰を作りながら遠くを見て呟いた。
彼らのパーティーウィンドウに表示された人数は全部で五人。
目を覚ますとすぐに互いの位置を目視で確認できた三人とは異なり、残りの二人は会う気配が見えなかった。
置いていく事もできず、お知らせウィンドウでは早くパーティーを完成させろと催促中だし。
「どうやら。」
キョン・グミが頷いた。
「広場に近くにいた人たち同士がマッチングされたのが正しければ、集まって座っていた私たちとは違いがあるでしょう。」
「無事でいてほしいけど……」
心配そうなチョン・サンウォンの言葉にチ・ウン
オが軽く笑った。肩をポンポンと叩く。
「おじさん。もうすでに暗い事は言わないようにしましょう。不運は耳が早いって言うじゃないですか。」
しかし不幸にも、中年の予感は的中率が相当高かった。
