182話
[入場資格を確認中です。
Loading..]
[承認完了 — 招待者(仮)]
《初訪問です。》
《バベルの塔へようこそ、ジウンオ様!》
まるで宇宙のような暗黒空間、
女性体なのか男性体なのか区別がつかない中性的な声。塔の入場手続きは初めて感じる奇異な感覚だった。
そして。
「わあ、これが塔の広場……」
ドーム型の広い天井。物理的な境界線なく高くそびえ立ち、その上にはるかな天の川が刺繍されている。
「噂に聞いていたバベルの塔のグラウンドフロア、チュートリアル広場はこんな姿だったのか。」
非現実的な光景に、あちこちから感嘆の声が上がった。
ジウンオは周囲をざっと見回した。
シンプルな身なりで来た彼と同じように、皆似たような姿だった。チュートリアルステージ内では、バベルが提供する基本装備しか使用できないからだ。
よく知られた事実であるだけに、準備不足に見える姿がかえって万全の準備ができている者だと言える。もし何も知らない、未熟な者なら……。
「あそこにいる、会社員のおじさんを見てよ。」
「まるで田舎の片隅から出てきたみたいだな。家にインターネットがないのか? なんであんなに荷物をたくさん持ってきたんだ?」
「見なくてもド級の素人確定。認める?」
露骨に笑い転げる嘲笑が一つの隅に向かう。
壁に近い方。避難民のように包みを三つ四つ抱えた中年が、堂々と立っていた。嘲弄を一身に浴びながら。
誰が何と言おうと屈しない姿が、少し印象的といえば印象的。
ジウンオはポケットに差した手を抜き、歩いて行った。
「私ならそれを持って行きませんね。」
近くに軽く腰掛けながら言った言葉。
ちらっと、ジウンオの涼しげな目鼻立ちと制服を確認したおじさんが、同じように無関心に応えた。
「これが何かわかって言ってるのか?」
「わかりきってますよ。応急薬品、携帯用浄水フィルター、炭素鋼ナイフなど……」
「そして弁当。」
「弁当?」
「うちの娘と妻が、明け方早くから起きて作ってくれた五段重だ。死んでも持って行く。」
「……勘弁してくれ。」
使えないやつなのではなく、娘バカの愛妻家だったとは? 顔は山賊のように見えるくせに、ギャップがすごい。
「それなら私が口出しすることではないな。」
余計な世話を焼いてしまった。
すぐに気を切ったジウンオが、再び立ち上がって歩き出すと。
ドスン!
「あ!」
「あ、すみません。」
「このクソ! なんで道を塞いでやがるんだ! おい、おっさん。ただでさえ人が多いのに、一人で3人分の場所を取ってたらどうするんだ?」
「わあ、本当に典型的なパターンだな。」
人が大勢集まれば、角のある石も必ず混ざっているものだ。
お約束のトラブル発生に、ジウンオはため息をつきながら振り返った。少しの間だったが、それでも言葉を交わした仲だ。後ろで見ていてあげるくらいはしないと……。
ところが。
「入る前から死にてえのか? 格好はクソ、まるで引っ越しでもするのかよ? すぐに死ぬようなやつらが一番騒がしいんだ……うわあああ!」
軽く、軽く押していた指をそのままパキッと折ってしまう手。
悲鳴にすぐに注目が集まる。
体の大きな不良の腕を掴んで折ったのは、会社員のおじさんの方ではなかった。
ジウンオは豊かな長い巻き毛の後ろ姿を見つめる。濃い灰色の制服、背中にぎっしり詰め込んだ風船のようなリュック……。
「荷物が多い人に文句でもあるの?」
「うわああ、やめ、やめてくれ! 俺の腕!」
「お前が無知だから知らないみたいだけど、入ったらそこの人とかこっちの人みたいな運び屋じゃなくて……」
「ああああ!」
「お前みたいに調子に乗ってるやつが一番最初に死ぬんだよ。」
シニカルな声がとても印象的。しかしそれよりも、どこかで見たような感じが先だった。
ジウンオの疑問を解消してくれるように、周囲のざわめきがどんどん大きくなる。
「……あの子じゃない? 合ってると思うんだけど。あれ、セッピョル高校の制服じゃない。」
「マジだ、マジだ! え、今回再入場するの? ただカカオトークで出回ってる噂だと思ってたのに!」
「マジかよ、ヤバすぎ。じゃあ今回のモニタールームには総出動だな。『あの方』まで!」
「シスコンがヤバいって言うじゃん。当然だろ! たった一人の妹のことなのに、100%王臨なさるぞ。あ、マジでヤバい。」
始まる前から怪我で脱落しそうな不良が泣いて懇願する。それを床に投げ捨てて振り返る。同時に、さっと現れる制服の名札。
[キョン・グミ]
「何見てんだよ。見世物か?」
噂のキョン家の三兄妹の末っ子。金枝玉葉のキョン・グミが、険悪な顔つきで口元を歪めた。
キョン・ジオ。
キョン・ジロク。
そしてキョン・グミ。
世界ランキング1位の「ジョー」の素性が世間に明らかになると、騒がしくない場所はなかったが、その中でも家族関連は断然一番大きな話題だった。
長女は国内初のS級。
次男は黄金世代出身のS級、5大ギルド〈バビロン〉の首長。
末っ子もいるが、とりあえず二人のS級の名前が世界的に高いだけに、その陛下とそのバンビが兄妹だという事実は、連日マスコミを熱くした。
[双子のように育ったという同い年の兄妹。この二人の血縁は、周辺の側近たちも全く知らない事実だったと伝えられています。]
「ナ・イェリレポーター、それは本当ですか? もちろん二人のランカーが一見似ているわけではありませんが、それでも目つきとか、よく見ればいくらでも似ているところがあったはずなのに。」
[そうですね。家族のように過ごしているギルドでも知らなかったとは? それはすごいですね。]
「キョン・ジロクハンターが私生活に敏感なだけに、ギルド内でも彼の家族は触れてはならない逆鱗のように思われていたそうです。」
[ふむ、それでもなかなか信じられないのですが……。]
「そんな方々のために、弊社S社では〈バビロン〉ギルド長の側近インタビューを独占入手しました。今すぐ確認しましょう!」
[マOO氏 / バビロンギルド員]
「作家さん、PDさん、これ音声変調は確実ですよね? モザイク処理はしっかりしてくださいね。いや、いっそのこと私の顔を消しゴムでぐちゃぐちゃにしてしまってください。のっぺらぼうみたいに。」
「このように匿名のギルド員マ氏は、制作陣に強迫的なほど徹底的な身元保護を要求したのですが。彼が明らかにした衝撃的な事実、一緒に聞いてみましょう。」
「特別にもほどがある。でも最初は体が弱い姉だと思っていたから、だからそうなのかと納得していたんです。」
[なぜですか? 彼女が(ライセンス上は)B級以上のハンターだということを面接でご存知だったはずですが。]
「あの子を! いや、あの方を見てくださいよ。どこかの花でも折ってしまいそうじゃないですか。小さくてか弱いから、え? 顔も幽霊みたいに真っ青、いや、朝鮮白磁みたいに真っ白で、そんな子がモンスターを捕まえるなんて想像できますか? ギルドのボスが偽のライセンスを作ってくれたという噂の方がよっぽど信憑性がありますよ。」
[そんな噂が流れたんですか?]
「知ってますよ。本当にありえない噂なのに、みんなが信じるほど特別だったんですよ。どれだけ甘やかしていたことか。重いものを使い走りにでも行かせた姿でも目撃されたら、その日はすぐに非常事態ですよ。」
[へえ。それでも「ジョー」様とキョン・ジロクギルド長の関係は全く結びつけられなかったんですね? キョン・ジオハンターがただの普通の人だと思っていたから。]
「想像もできませんでした。」
[そうでしたか。驚かれたでしょう。]
「当然ですよ! あのとんでもない落下傘があの方だったなんて、ハハ。ギルド全体が衝撃を受けて正気じゃない……あ、ちょっと。ハッ。今私なんて言った! け、編集されますよね?」
[とんでもない落下傘とは。PDさん、これタイトルにいいんじゃないですか?]
「ふざけるな放送局のやつら! ジ、ジオさん! 誤解です! やつらの捏造放送です! ジョー様ああああ!」
[以上、関係者マ氏のインタビューでした。]
- でもインタビューこれマジなら就職不正じゃない?
L 顔を見ろそんな人じゃない
L コメント消せ
- 使い走りとは誰が見てもあのゴリラ有罪じゃない? 神の啓示で私たちのそばに降りてきてくださった方に、よくも使い走りとは?
L 最低でも教授刑
そんなふうに側近インタビュー、パパラッチ、過去の掘り起こしなどなど。
国民の関心に後押しされ、ありとあらゆる手段を動員してランカー兄妹のストーリーを暴こうと努力していたマスコミ。
ハイエナのような彼らは、やがて自然と三兄妹の中で残りの一人、キョン・グミもまた見逃さずに照明し始めた。
E級ハンター。ユーチューバー。高校生。
一歩先んじて備えていたキョン・ジオとキョン・ジロクの圧力によって、多くの情報を掘り起こすことはできなかったが……。
華やかな兄弟たちとは違って、みにくいアヒルの子のように浮いている経歴は、それだけでもありとあらゆる噂を生成するのに十分だった。
「聞いた? 再入場するんだって。」
「ジョーがめちゃくちゃ可愛がってるんだって? 私の友達がセッピョル中学出身なんだけど、昔からあの辺りではシスコンで有名だったらしいよ。」
「姉は神で、兄は売れっ子のギルド長。周りのみんなが気を遣って大変だろうから、まるで姫様みたいだね。ああ、運命が羨ましい。前世でどんな功績を立てたんだろう。」
「寵愛されている姫様が、チュートリアルごときで何が心配なの。再入場チケットもジョーが手に入れてプレゼントしたんじゃないの?」
「当然、最低でもトリプルA級くらいは出てくれないと。出なかったら遺伝子検査してみるべきレベル。」
面と向かって言う言葉は力と権勢で抑えることができる。しかし、ひそひそと噂される陰口は、昔の王様も止めることができなかったという。
キョン・グミはあっという間に有名になった。
良い意味でも、また悪い意味でも。




