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165話

「……え?」


「キングが進化で形勢を逆転させたようですね。」


「え、え?」


なぜ二度も聞くんだ、哀れな者たちよ。


首輪を断ち切ったお前たちの暴君が勝利を掴むだけだというのに、喜ぶべきだろうに。


I 1 | 13月:ゲームオーバー。


I 1 | 13月:さようなら、錬金術師。


「運が悪ければ、次の世界でまた会おう。……親愛なる兄弟よ。」


キッドは未練なく振り返り、スタジオを後にした。




* * *


あれはとても古い霧だ。


一体どれほどの人間が無力にこの中に飲み込まれてきたのだろうか?


パチッ!


ジオが地面に着地した。


悪意に存在を飲み込まれたフィールドは、見える場所すべてがひどく恐ろしい姿をしていた。


虚しく死んでいった者たちから濃縮された恐怖が、侵入者を支配しようと必死に襲いかかる。


[外の破片、「黒く古い悪夢」があなたを注視しています。]


[特性、「絶対結界」が活性化されます。]


[「悪魔殺し」が活性化されます。]


[「獅子心」が活性化されます。]


霧の中の赤い目がジオの方を凝視するだけで、精神防壁と関連する特性がすべて点灯した。



パアアアア!


彼女を中心に広がった黄金色の魔力が、周囲の雑魚どもを追い払う。接近してきた手下たちが悲鳴もなく燃え上がった。


「……ねえ、私がなぜ頭を捻って盤面を組まないか知ってる?」


[外の破片、「黒く古い悪夢」が興味を示しています。]


「面倒だし、退屈だし……」


キョン・ジオはどんどん歩いて行った。巨大な門に向かって、一直線に。


霧が包み込む。払い落とした。悪夢が入り込む。吐き出した。


取るに足りない人間を、自身の深い悪夢の中に引きずり込もうと、古い悪意が耳元で子守唄を囁いた。


ジオは鋭く嘲笑った。


「……無駄だよ。」


【どこを狙うか、よくもまあ。】


[外の破片、「黒く古い悪夢」が不快感を露わにします。]


主人の悪辣な意志に従い、歪んだフィールドがうねり上がった。


ぞっとする霧の中で、ジオが呟いた。


「これがあなたの最善なの?」


準備し、設計することは、挑戦し、闘争する者の役割。


どこかで聞いている敵に


彼女は静かに宣言する。


「残念だけど、私はどんなチェス盤にも上がらない。」


私は、駒でもないし、札でもない。


王はすべての法則の上に立つから。


相手が白を予想して襲いかかるなら、一千、一万で踏み潰してやればいいだけじゃないか?


それが付与された宿命を背負い、「キョン・ジオ」という魔法使いが今まで歩んできたやり方であり、また固く築き上げてきた暴君の王道だった。


「ひどく不細工じゃない。もっとマシにできないの?」


魔法使いとしての理性は冷たく、王としての本能は熱い。


歴代級の災い、何?結局は破片じゃないか。フィールドを支配する戦いなら、こちらも負けていない。


口元が歪んだ。


沈んだ瞳の中の小宇宙で、天の川がぞっとするほど光を放つ。


[外の破片、「黒く古い悪夢」の支配力がフィールドを掌握します!]



ドゴゴゴゴ-!


無理やり開かれた空の門から、巨大な手が抜け出す。


探索戦は終わった。真っ黒な悪意で固まったその腕がこちらに伸びてくる瞬間、キョン・ジオも宣言した。


「[領域宣布。]」


サラサラサラ。


『星痕(星癌)、開門』


回路が膨張する。


限界を超えた。


受け入れる器は広い。


以前なら不可能だったこと。


しかし今日は違う。


「できる。」


上へ、さらに上へ。ジオは躊躇せず、一段階上に上がった。


「超越覚醒、スティグマ結」


【は、人間の皮を被ってひどすぎるにもほどがある。】


『究極聖位、「■■■■」様が好きなだけ使えと、あざ笑いを漏らします。』


星痕が大きく開き、溢れ出す強大な星の力。遥かだったが、それほど遠くにも感じられなかった。


超越者「魔術師王」が顔を上げた。遠くから訪れた不請客に向かって、獰猛な牙を剥き出す。


「ここは、私の縄張りだ。」


ライブラリ、具現化拡張


「領地化」


領域支配権の完全な強奪。


まさにその瞬間、悪夢に流れ込んでいた世界がすべて復旧された。




* * *


ソウル、サムソン駅。


「ゲート、閉鎖します!」


ブーン!広がる波動と共に閉鎖装置が稼働した。ようやく緊張が解けた現場のあちこちから、うめき声が漏れた。


「きつい、きつい。クソ。」


「若い時に苦労を買うって誰が言ったんだ?さっき幻覚まで見えたぞ。1級ゲートが開いたって、ハハ。」


「……え?ちょっと、クソ、その幻聴、俺も聞いた気がする、おい、幻じゃないぞ!あそこ!」


戦闘経験の少ない覚醒者ほど視野が狭い。


たわごとを言うニュービーたちを除けば、近くの皆がすでに片方を見ていた。


電光掲示板の摩天楼、魔力ホログラムで覆われたコエックス一帯。


その建物の上、一番大きなスクリーンで、ある場面がリアルタイムで送出されているところだった。


色素をすべて抜いたような白黒の世界。完全に色が残っているのは、黄金色の魔力だけだ。


巨大な門、激しい戦闘だった。


形のない黒い触手の間を雷が降り注ぎ、燦爛たる文字列が霧の柱を包み込み、ねじ曲げた。


どこからか忽然と現れた巨大なものが


ゲートから降り注いでいる渦に飛んでいき、突き刺さる。


その瞬間、奇怪な赤い目が自慰の方向を向いた。


あれは……一体何だ?


原初的な恐怖に蚕食された静寂が、群衆を包み込んだ。しかし。



ヒューイイイ!


再び画面を覆う正面には、咆哮する黒竜と数百個の魔法陣をまとった魔法使い。


顔は見えなかったが、誰もが知っているその人だ。人々が止めていた息を吐き出した。


「……ジョ、’ジョー’だ、魔術師王!」


「クソ!そうだ!目玉野郎、お前はもう終わりだ!」


行け!勝て!踏み潰してしまえ!


興奮に満ちた叫び声。現場が高揚した熱気に覆われる。じっと立ってそれを見守っていた男が、隣に聞いた。


「担当者を呼んでください。今、あの画面、全チャンネルで放送されていますか?」


「あ、いいえ。それは違います、理事!ドローンが周辺に行くだけで全部は、使い物になりません。……特殊カメラを使う弊社と一部チャンネルだけが中継中です。ハハ、特権ですね。これもすべて賢明な理事様の……」


職員の社会人技術を手で遮ったジョン・ギルガオンが顎を撫でた。


考えに耽るのも束の間。彼は自身の直感を信じることに決めた。


「方法を問わず、全国どこからでも見られるようにしてください。」


「……え?」


「可能であれば、全世界ならもっと良い。」



* * *


ソウル、江南大路。


避難命令が下された後だった。


通りの人々は、急いで避難所へ走って行ったり、保護結界が作動中の建物に入ってきた。


不安、焦燥感、憂慮……。


可能であれば、室内でも互いにもっと奥に入ろうと努力して当然だが、今日は違った。


全面ガラス窓の前に群がっている人々。奇異な風景だ。


窓際にいくつかの雨粒が付いていたが、誰も気にしなかった。


息遣い一つ大きくしない静寂の中で、皆が目を皿のようにして窓の向こうの電光掲示板だけを凝視した。


そこではなくても、壁掛けテレビの前、あるいは手の中の携帯電話。


見ている場面は皆同じだった。


誰かが、ぼうぜんと呟いた。


「魔法みたい……」


非現実的な魔法と夢のような魔法使い……。どちらが魔法なのか、もう区別するのが難しかった。


「おい!ジウンオ、早く来ないか?」


「早く中に入ろう!」


皆が時間通りに中に入ったわけではなかった。通りの雨の中にも残っている遅刻生はいた。


遠くの窓際にへばりついている人々、そして彼らが見ているスクリーン。ぼうっと見上げながら、傘を持った少年は思った。


「救世主……」


……かっこいい。


僕もあんな風になりたい。



* * *


ソウル南部、国立顕忠院。


殉国先烈と護国英霊の精神が眠っている土地を、魔物の血などで汚すことはできなかった。


生死をかけてでも一歩たりとも


許さないと、〈ヘタ〉の覚悟は決然としていた。


おかげで顕忠門は少しの傷もなく無事だ。今日、この土地の上に落ちたのは、ひたすらその門の外、〈ヘタ〉たちの血の雫だけだった。


長雨に血が溜まることもできず、洗い流されていった。その中で最も多くの血を流している人……


チャプン!


チェ・ダビデが顔をしかめながら水たまりを走って渡った。


間違ってかすったのか、額の傷から血が止まらない。体を惜しまない彼女の戦闘は、常に傷が絶えなかった。


「大長老!どこへ行くのですか、まだ終わっていないのに!」


「行かなければ。」


「止血でもして、大長老!言うことを聞いてください!憎まれようと覚悟でもした人のように、なぜそうするのですか!」


「うるさい。私は行かなければならないんだ!」


先に来なければならない場所があって、痛む友達をそのまま置いてきた。


馬鹿みたいに慰めの言葉一つもかけられなかったのに、あの子はまた一人で皆のための戦場へ旅立った。


「ジョー」は彼女にとって、もはや遠い人ではない。


肌を合わせ、共に温もりを分かち合い、互いに名前を交わしたチェ・ダビデの数少ない友達だった。


彼女は荒々しく腕を振り払った。


「離して!私は行かなければならないんだ!クソの役にも立たなくても行くんだから!」


「一体どこへ……!」


「その手を離せ。」


スッ、顎の下に突きつけられた鞘。害するつもりは全くない警告だったが、冷たかった。


チェ・ダビデを強く掴んでいた長老が固まり、唇を震わせた。


「じょ、宗主……」


激しい雨の中でも乱れのない白衣。眼差しは静かだ。


水墨画のように鮮やかな白鳥が、静かに言った。


「武人が友との信義のために、また祖国のために最前線へ行くというのではないか。どうして止めるのか。」


「ダビデに道を開けてあげなさい。」


宗主として私が許可する。


一人のギルド員として、彼女がここでしなければならないことはすべてやった。白鳥はチェ・ダビデに優しく目配せした。


「ありがとう。」


頷いたチェ・ダビデが走り出す。


方向はここからそれほど遠くない場所だ。


白鳥は忙しく消えていく親友の


後ろ姿を追い、終わる気配が遠い戦場の方を見つめた。


空へ巨大に湧き上がる黒い柱、そして……彼らの小さく偉大な王。


「……ウン・ソゴン様、ご覧になっていますか。」


旅立つ道がそれほど寂しくはないでしょう。


人が人のために歴史になる場面は、私たちがなぜ戦うのか、また何のために闘争するのか、再び想起させてくれる。


無駄な、死がなくてよかった。


虚しい失敗がなくて……


「……驚異的だ。」


周囲から彼女を不思議そうに見る。構わない。白鳥は黙々と自身の視線を固定した。


昨日死んだ英雄、今日生きている人、止まない雨をハンターは長くそう目に焼き付けた。


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