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147話

* * *


「ここで一番高い場所はどこだ!」


「え?」


「聞こえないのか?一番高い場所だ!ここ、帝国で一番高い場所だよ!」



ドンドンドン!


太鼓の音が鳴り続けている。味方軍の方から聞こえるのではない。


城壁の向こうの大平原から。


いつの間にかおぞましい色に染まっているそこから響いてくる威圧だ。


怪獣たちの間々、全身を赤く塗った野蛮人戦士たちが太鼓を打ち下ろすたびに大地が振動した。


それに合わせて最前列、魔人ライダーを乗せた巨大ハイエナたちが奇怪な唸り声を上げる。


不気味なその光景に城郭側の兵士たちはすでにひどく緊張している様子だ。当然の反応だった。


たった数時間で城壁の前に整列した魔竜軍の本隊は、視覚的にも、数的にも彼らをはるかに圧倒していたからだ。


城内の人々は皆、内城に避難してから久しい。


異邦人の自力だけで答えを見つけるには時間が足りない。ナ・ジョヨンは目の前の兵士をもう一度問い詰めた。


「早く!時間がないの!」


「今ここでこんなことをされても……」


兵士は言葉を濁した。協力する気が全くない表情だ。隣のクォン・ゲナももどかしい様子だった。


「帝国で一番高い場所にある塔を探せ。」


ナ・ジョヨンはバベルがくれたヒントを思い出し、歯を食いしばった。


「あっ!そうだ。」


「ほら。こうすれば協力する気になりますか?」


最初から出せばよかった。無駄にフリーパスではなかった。ビテルガルト公爵の職印を確認した兵士たちが即座に腰を直した。


そして彼ら同士でこそこそ話した後、慎重に聞き返してきた。


「……もしかして『3大スンマ』のことをおっしゃっているのですか?」


「3大スンマ?」


「星と繋がる場所だと言ってみんなが敬ってそう呼んでいます。帝国の一番高い場所ですよ。」


「はっ!そうだ、そうみたい!そ、それはどこにあるんですか?」


幼い顔の兵士は指を折りながら答えた。


「バルナハ渓谷の烽火台、帝国神殿の祭壇、そしてもう一つ……皇宮尖塔。この三ヶ所です。」


「よし!その中でここから一番近い場所は?どこ?」


「うーん、神殿ですが、祭壇は聖下が亡くなられてから枢機卿様しか出入りできなくなっていて……」


残念なことに城内での衝突で枢機卿は数時間前に死亡した。


渓谷はあの平原を越えなければならないからパス、となると残る選択肢は一つ。


ナ・ジョヨンは白色の皇宮の方を見た。一団の白鳥のように美しい宮殿の外郭、遥かに高くそびえ立っている尖塔を。


「じゃあ、あそこしかないわね。早く行くわよ、ゲナ……!」



キィアアアアア!


うっ……!ナ・ジョヨンは耳を塞ぎながらへたり込んだ。彼女だけではなかった。兵士たちが皆うめき声を上げた。


頭がガンガンした。ぞっとする高周波の咆哮が鋭く鼓膜を抉った。


「ま、魔竜部隊だ!」


恐怖に怯えた叫びがあちこちから上がった。ゴロゴロ、城壁の上に石の破片が落下する。


赤色のワイバーンたちは威嚇的に旋回した後、視界から消えた。


登場は一瞬だったが、士気をくじくには十分だった。


戦雲が漂っていた城壁は瞬く間に陥った。誰かが呟いた。


「僕たちは皆死ぬんだ……。」


「[恐れているのか?]」


まさにその時。


魔法で増幅した声だった。


皆が一つの方向を見た。城壁の上の方、目立つ場所で壮年の男が身を乗り出していた。


公爵と双璧をなす帝国の精神的支柱。デル将軍だった。


ナ・ジョヨンはクォン・ゲナに支えられて立ち上がった。白髪の将軍の隣にはさっき別れたペク・ドヒョンが立っている。


「[問う。絶望しているのか、諸君?]」


「[責めようとしているのではない。本人もそうだ。私の部官は圧倒的な敵を迎える諸君の士気を高めるように、もっともらしい言葉でも言ってみろと急かすがどうしようもない?私は舞台体質ではないのだ。]」


将軍のひどい冗談は雰囲気を和ませることはできなかったが、自然に聞かせる才能はあった。兵士たちが耳を傾ける。


幼く、若く、老いたその顔を見て将軍が微笑んだ。


「[幼い友が多いな。この戦争の意味もよく分からない年齢だろう。本官が初めて出征に出る時も丁度その頃だった。]」


そして五十年が経った今。


「[あの腹の出た貴族のガキが何をほざこうとしているのか、あの時の私と同じ顔をした諸君を見ている。]」


「[幼い私がそうだったように、突然諸君に降りかかったこの戦争が、この死が悔しく理解できない者もきっといるだろう。理解する。説得する自信もない。だから。]」


「[あの時、私の前に立っていた指揮官の言葉をそのまま伝えよう。]」


将軍は息を整えた後、叫んだ。


「[……聞け!我々がこの地の最後の人間だ。]」


場面が変わる。


兵士たちは同じ幻想を目撃する。


白色の城壁の上、兜の下から短い黒髪が靡いた。


数万の軍隊を見下ろしながら皇帝が言っていた。


「退く場所は、ない。逃げる場所も、ない。拒否したいか?そうはいかない。」


「耳を塞ぎ、目を塞いでも、貴方たちがこの世界歴史の終章に立っていることを敢えて否定できないだろう!」


「だから受け入れろ!目の前の者たちをよく見ろ!奴らの醜悪さをよく見ろ。」


兵士たちは命に従って敵を見た。


歪んだ革、突出した犬歯、凶悪な爪……。


「あの犬歯が私の家族を殺し、あの爪が私の土地を裂き、奴らの残虐性が私の祖国を破壊した。」


全部恐ろしい悪魔と怪物だった。奴らと少しも似ている点がない。


「今日、我々の目の前のこの戦場は!名誉のための戦いでも、目的のための戦いでもない。」


これは、この戦いは!


「人間だからこそ立ち向かう、人間として私を守る闘争だ!」


人間の尊厳と人間らしい生活そのもののための聖戦。


「もう一度言う。貴方たちこそがこの地の最後の人間だ!」


グッと、槍を握った兵士たちの手に力が入った。


「死んでいくこの地に弔意を表する最後の良心であり!」


黒く死んだ土地を見て祈った日


「ズタズタに引き裂かれる祖国に涙を流す最後の怒りであり!」


踏みにじられる祖国を見て悔し涙を呑んだ日。


「この全てに立ち向かい、私の両親、私の家族、私の親友の前を守る最後の槍だ!」


その全ての日々と愛する人々が目の前を過ぎった。


誰が最初なのか分からなかった。


ドンドン!打ち下ろす槍が同じ響きで鳴り響いていた。皇帝が言った。


「恐れているか?喜んで恐れろ。貴方たちが赤い血が流れる人間であることを知らせるまさにその恐怖が貴方たちの不屈の誇りになるだろうから。」


「それでも恐ろしいなら、考えろ。」


皇帝が笑った。兜を脱ぐ。


驚くほど若い顔、冷たい星の光の目。小さな体躯から出たとは信じられないほど覇道的なオーラで彼女が叫んだ。


「このアタナスの軍隊は一度も敗北したことがない!」


大陸統一の帝位に上り、上から受け取った称号だった。不滅と黄金の皇帝。


「私は決して負けない!」


ヘアー・スラファ!ヘアー・インペラトル!



プオオオオオ!


角笛が鳴る。


激しく地軸が揺れた。軍旗が熱く立ち上がった。それに応えるように火と石、そして矢でできた雨が降り注ぐ。


「全軍、発射!」


「撃て!自分の位置から離れるな!鉄砲の角度を固定しろ!」


「ジョヨンさん!行きましょう!」


浮遊島の短所は蒼空に死角がないという点。蜂の群れが押し寄せるように空一面が真っ黒く、赤く染まった。


あの下では梯子を持った敵が鉤を城壁に投げている。城門の前側はいつの間にか怪獣で覆われて姿も見えなかった。


「行かなきゃ!今すぐやることをやろう。」


ナ・ジョヨンは奥歯に力を入れて味方の反対方向に振り返った。


走る彼女の首の周りでペンダントが揺れた。




* * *


[レベルが上がりました!]


[レベルが上がりました!]


どこからか飛んできた石弓が耳の縁を掠めた。戦争中、矢には目がない。 自分で避けるしかなかった。


ペク・ドヒョンは石の粉が混じった唾を吐き、パッと身を翻した。空いた空間に巨大な斧が叩きつけられる。そして。


「背後。」


止まってはいけない。一瞬たりとも。


避ける空間が十分になく飛び上がった。斧の上を踏んで走る。


慌てたオーガが怪声を上げながら拳を振り回す。素早くそこへ踏み込みながら同時に剣を振るった。


クグン!鮮紅色の軌跡と共に巨体が倒れる。レベルアップのお知らせがもう一度鳴った。


「不幸中の幸いか。」


おかげで徐々にスピードが戻ってきていた。本来の速力には遠く及ばないが。


「キョン!城門の方が危険です!」


「私が行きます。」


戦場の便利な点の一つは信頼を得やすいということだ。複雑な会話は必要なかった。


いつの間にか帝国軍戦闘の流れはペク・ドヒョンの方に移ってきていた。悪くはない。


「むしろ慣れている。」


回帰直前の世界は毎日がこれと似ていた。


崩れた都市の上で人々は旧時代の武器を持って戦い、その中には人だけではなかった。


ありとあらゆるものが集まった戦場は、彼が生きていた場所だった。


「うわあああ!た、助けて……!」


「もちろんこんなひどい能力値ではほとんど初めてのようなものだが……!」


さっきの一撃は彼も防ぎきれるかどうかの瀬戸際だった。クルルル!ハイエナが殺意で煮え滾る唾を垂らす。


落馬した伯爵の前を間一髪で遮りながらペク・ドヒョンが力を入れた。剣を握った手の甲の上に血管が逆立った。


「……お連れしろ。」


「しかし!キョン!一人で!」


「早く!」


イヒイイイン!軍馬が慌てて戦場を抜け出す。肉体能力が多少落ちても、戦場で将校は重要だった。助ける価値が十分にある。


額からポタポタ汗が落ちた。いつの間にか周りには生きている味方がいない。ますます傾く戦勢が肌で感じられた。


「ジョヨンさん、早く……」


「[キイック、キイック!馬鹿な奴!]」


「クッ!」


脇腹が熱い。


ペク・ドヒョンは歯を食いしばったうめき声と共に矢尻を抜き取った。そのまま反動を乗せて投げると、ヒュッ!


クウン!


額に矢が突き刺さったライダーが墜落し、機首を失った巨大ハイエナが咆哮して倒れる。


「くそ!」


重い重量が与える衝撃にペク・ドヒョンもそのまま巻き込まれて押し出された。


やっとのことで剣を突き刺して抜け出したが、限界だ。起き上がれないままペク・ドヒョンは息を切らした。



キィアアアアア!


頭の上の空から飛竜たちが唸り声を上げる。奴らがさっきからずっと何を探しているのかは彼も知っている。


「こちらの参加者を探しているんだろう。」


そして多分見つけたんだろうと思う。味方なしに敵の隙間に一人孤立した今は目立ちすぎたから。


案の定、群れの中の一匹が方向を変える。赤い点が急速に近づいてきた。


ペク・ドヒョンは失笑した。血のせいか、底をついた体力のためか視界がぼやけた。


「ここで死ぬつもりはないんだが……」


キヤアアアアアク!


どうやって取り戻した時間なのに、やっとここで。そんなことはありえない。


聴覚を刺す怪声に彼が落とした剣を探して地面を探るのに。


「……いや。ちょっと違う。」


さっきとは違う種類の唸り声だ!ペク・ドヒョンはパッと目を開けた。


それと同時だった。


ファルルルル!


非現実的な青い炎が地面から湧き出る。ドクンドクン。心臓が激しく鼓動した。ペク・ドヒョンは急いで立ち上がった。


「まさか。まさか……!」


フアアアアアア!


怒りに満ちた猛獣のような咆哮が激しく戦場を鳴り響かせた。原始的だが明らかな「人」のもの。ペク・ドヒョンもよく知っている声だった。


「6階級戦士超絶技芸、狂暴覚醒……!」


「安心して。混沌とした狂喜乱舞のようでもこの私が作った覚醒呪文だからうちの夜叉が理性を失うとか、そんなしょぼい副作用を経験することはないはずだから。」


ドクンドクン!


心臓が張り裂けそうに跳ねた。


体が固まって振り返ることができなかった。ここで絶対に聞くことはできないと思っていた声が彼に聞こえていた。


「あら。これ見て。挨拶しないの?また助けてあげたのに。もうもらうのが当然だと思ってるの?」


緊迫した戦場さえ敢えて奪うことができない余裕。特有の高低のない穏やかさ。


同じ空間に一緒にいることだけでも立ち上がる勇気をくれる人。


彼の偉大な魔法使い。


ペク・ドヒョンはゆっくりと振り返った。


「アンニョン」


キョン・ジオが手をひらひらさせた。


身振り一度で襲いかかる魔人たちを容赦なく燃やしながら虚空に着地する。足が地面に着くとすぐにまた一度の炎が湧き出た。


「どうして……」


「戦争が始まったというのに最前線攻撃手が席を空けるわけにはいかない。」


戦場をのんびりと一度見回して、ジオがニッと笑った。


「貴賓は遅れておいでになるものよ。ドラゴンなしのドラゴンストライカー登場よ。」


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