136話
[ 一 ローカルチャンネル ‘国家大韓民国’、選抜代表全員招集完了。]
《覚醒者 I ランカー承認完了。》
《バベルの塔へのお帰り、心より歓迎いたします、キョン・ジオ!》
(49thフロア。メインシナリオ -〈星間トーナメント I ゼロベース〉Loading.》
[惑星代表が含まれたスクワッドです。チャンピオン優遇点数で予選基準超過、シードに配置されます。]
[第3区域本選32強B組 -Start!]
視界が真っ暗になったのと同時だった。
距離感のある音が耳を打ち、どこかに吸い込まれるような感覚がした。
そうして「バックグラウンド映像」が始まった。
* 氷 *
帝国暦61年。
帝都ゲヘム=メンブローグ。
パサッ!
素早く茂みをかき分ける身のこなし。
荒れ地となった他の都市とは異なり、いまだに聖なる力の衰えない帝都には緑が残っていた。
この中でまくのはわけない。
軽々と兵士たちを振り切った少年が、山奥のひっそりとした小屋のドアを開けた。
スープをかき混ぜていた老人が振り返る。
「また城内に入ったのか?危ないと言っただろう。」
「へへ……。どうせ本物の魔竜軍でもないし、人間出身の兵士たちじゃないですか。あんな裏切り者ども、ちっとも怖くないですよ。」
「油断大敵だ。」
「師匠は用心深すぎですよ。弟子も大きくなったし、何がそんなに怖いんですか?」
「ほほ、このやつめ。」
「痛い!なぜ叩くんですか!もういいです。ソフィアはどこに行ったんですか?」
「ちょっと添える果物を採りに行ったとかで、少し遅れているな。来るだろう。」
ああ。少年は顎を突っ伏して鼻歌を歌った。
平和な午後……戦場孤児出身の少年には、これより価値のあるものはなかった。
長かった「人魔大戦」の敗北から50年。
唯一の希望だった帝国が崩壊すると、人間界は急速に衰退期に入った。
勝者の残酷な君臨が始まり、魔竜軍の植民地と化したこの世界には明日が見えなかった。
外の世界のどこかでは、帝国軍の残党勢力が生き残りの機会をうかがっていると聞いたが、すべて無駄なことのように感じられた。
「どうでもいい……。私はこれでいい。師匠とソフィアさえいれば 構わない。」
しかし、それは錯覚だった。
光を取り戻すのは「彼ら」の仕事ではなく、「私たちみんな」の仕事だという師匠の言葉は正しかった。油断大敵だという警告も。
「ソフィア!師匠!」
「……ゴホッ!行け。我々には見込みがないようだ。」
「だ、だめです! 私一人……みんな置いて私だけ行けと?ふざけるな!お願いです!」
メラメラ!徐々に火種が燃え移っている小屋の中。
暖炉の近くに倒れたソフィアは、微動だにしなかった。
少年は師匠の胸に刺さった剣の柄をどうすることもできずに見つめた。
城の見物を終えて遅れて裏門から帰ってきた時には、すでに状況が終わっていた。
ドアの外から騒々しい笑い声が聞こえる。少年も知っている声だった。
毎日からかって遊んでいた魔竜軍の兵士たち。怒りに震える少年の手を師匠が包み込んだ。
「……今この瞬間の怒りを忘れるな。」
「師匠……!」
「私が貴様の年の頃、私の国を失った時、まさにそんな気分だった……。
最も大切なものを踏みにじられる悲惨さ、またそれを見守るしかない無力感、仇に対する憎悪。
「行け。西へ行け。そして鷲と獅子が守る洞窟を探せ。『目』が開いた今の貴様なら、課業を継ぐことができるだろう。」
「な、何を言っているんですか?嫌です。私がどこに行くんですか!」
師匠が笑った。
どこにでもいるような初老の近所のおじいさん。いつものその穏やかで平凡な顔ではなかった。
「この師の遺言であり……最後の願いだと言ってもか?」
「よく聞け。私の名前はオスムンド・ジタン=ログ……。帝国大帝の最後の血筋だ。」
ハッ、ハッ。少年は走った。
必死に走るたびに、彼を取り巻く風景が変わっていく。
西へ、荒野へ、荒れ地へ、そしてまた……黒い鷲と黄金の獅子がうずくまっている洞窟へ。
古代語で身分の高い人を意味する「ジタン」を姓の前に付けるのは傍系皇族。
唯一の皇帝の姓には「レテ」が付く。レテ=ログ。意味はすなわち、「神が寵愛してやまない」……。
埃と血で姿はめちゃくちゃだ。しかし少年は気にせず、手の中の鍵を見つめた。
皆が神々が、星々がこの世界を去ったと言った。しかし少年は感じることができた。
この一つ、大帝の黄金の鍵に宿っている彼らの寵愛を。
少年は声に出して鍵の文章を読んだ。
「[長い闇の中で私は死なない希望となろう。]」
試験官だった獅子が言った。
「おめでとう、最初の挑戦者。」
「挑戦者?」
「もし成功すれば閉ざされた戦場は再び開かれ、沈黙する者たちの熱望が目覚め、星々もまた閉じていた目を開けるだろう。そして。」
少年は獅子を見つめた。獣の表情はわからないが、まるで彼が笑っているように感じられた。
「死の鎖から解き放たれた帝国の英雄たちが、ついに貴様の呼びかけに応えるだろう。」
鍵を握る少年よ!
扉を開けろ。鎖を解き放て。彼らを呼び覚ませ。
「そうだ。これさえあれば……!」
火種は尽きなかった。
グッと、少年は鍵を握りしめた。正面を見据える。暗闇の中で黄金の瞳が光った。
「帝国は再び立ち上がれる。」
そして再び襲い来る最初開始時と同じ異質感。そのまま少年の姿が遠ざかる。
地図が縮小されるように視界がどんどん拡張されていった。洞窟から外へ、都市から浮遊島全体へ。
ヒュンヒュン遠ざかるたびに見慣れた顔がちらっと見えては消えた。
チェ・ダビデ、ナ・ジョヨン、ペク・ドヒョンなどなど。
皆、少なからず戸惑った顔。しかし、ここの参加者は彼らだけではなかった。
視界が変わり続けた。
浮遊する島々を包む空。
一面暗い。黒雲が始まる場所が見える。一瞬風が吹いて晴れると現れる……魔竜王の軍隊。
まさにその真ん中に見慣れない顔の外国人がいた。こことは全く似合わない、現代の服装をしたまま。
まるで、ジオと韓国のランカーたちのように。
[ゼロベースカットシーン — シネマティックムービー:「鍵を握る少年」が終了しました。]
[シード(Seed)チームが含まれたラウンドです。弱者優先決定権により、陣営配分手続きが省略されます。]
[あなたは「帝国軍」陣営です。]
[ゼロベースルールに基づき、参加人員の能力値が全員初期化されます!]
[—ゼロ(0)セッティング完了!]
[►Tip:ロックされた能力値は「オーナメント」獲得時、「キープレイヤー」の鍵を通じて解除可能です。]
/オーナメント(ornament):ミッションアイテム。1個当たり選抜代表1人の能力制限を解除できる。ただし、使用可能な者は鍵を持つ「キープレイヤー」に限る。/
[Loading..... しばらくお待ちください。長くはかかりません。]
「……クソ。一体どういう状況だ?」
え?で、できる。プハ!
ジオは試しに何か言ってみた。出る!やっと口が動いた。
「クソ、息が詰まるかと思った。」
バベルのやつ、やりすぎじゃないか?ランカーにも人権というものがあるのに、口もきけなくするし、目も閉じさせてくれないし……。
「同意も得ずにこんなことしていいのか?クソつまらない映像を見てうっかり寝そうになった。」
おかげで持ってきた緊張感もすっかり死んでしまった。ジオは後ろ手に組んでじっと足元の地図を見つめた。
地図は地図だが……非常に現実感にあふれている。今すぐにでもそこに落ちてもおかしくないほど。
「ふむ、それでも陣営戦というのは当たったな。回帰者の面目は保てたな、ペク執事。」
ゲームの中の背景説明のようなイベント映像から、はっきりと色分けされている空中大陸まで。
遠くまで行くこともなく戦争だ。
見積もりは簡単に出た。ただし……。
「どこかでよく見た背景だな。」
空にぷかぷか浮かんでいる島々や巨大な空中大陸など……どうも見覚えがある。なぜだ?
「それにクソ、どう見ても帝国軍がかわいそうなくらい不利なのに、なぜ帝国軍なんだ?」
21世紀民主主義国家の市民に帝国軍とはどういうことだ。私も(めっちゃ強そうな)魔竜軍がいい、私のチョイスを返してくれ……。
もちろん、理解できない点はもっと多かった。数えきれないほど多い。
今すぐ今の状態を見ても、なぜ地図の上にぷかぷか浮いていなきゃいけない……。
[►Tip:理解が難しい時は、迷わずにヘルパーを呼んでください!]
何だ、このタイミング……?
「……へ、ヘルパー?助けて、ヘルパーマン?」
[►Tip:ヘルパーはトーナメント進行中、ラウンドあたり1回召喚可能で、制限時間は5分です。機会を慎重に使用してください!]
「あああああ!ち、取り消し!取り消し!キャンスゥル!」
「お呼びですか?キョン・ジオ!」
「うわああ!」
ジオがドサッと空中に膝をついた。高所恐怖症がないのが不幸中の幸いだ。事情も知らずにヘルパーが明るく挨拶した。
とても可愛い……ウサギの天使の姿の妖精だった。
「お会いできてとっても嬉しいです!第3区域担当補助審判官『ベイビー・シャーリー』と言います!何かご質問はありますか?」
可愛い姿とは裏腹に、ウサギのシャーリーは来るや否や片手でタイマーを取り出した。にこにこ笑いながらスイッチを押す。
めっちゃプロフェッショナルだった……。
「キョン・ジオ?早く質問してください!時間がありませんよ!」
「ち、落ち着こう。」
「そ、なぜ私はここにいるんだ?」
「あっ!すぐに行かれますよ。『キープレイヤー』がテーブルに着席する前だからです。そうそう、『テーブル』が何かご存じないですよね?9人の代表様たちが今いらっしゃるミッションフィールドではない、キープレイヤー専用の試験空間のことです!」
「別の空間だと?」
「はい!例えるなら、うーん、監督席みたいなところです!そこでキョン・ジオを含めた代表たちの役割も分担して、また皆さんが『オーナメント』を見つけたらそれを受け取って鍵で開けることもできます!」
このウサギ……気に入った。
大雑把に聞いても的確に答えてくれる。
「オーナメントとかいうのはどこにあるんだ?」
ジオは説明魔のウサギが逃げないように耳を掴もうと両手をバタバタさせた。ピョンピョン、うまく避けながらシャーリーが答える。
「それは私も知りません!行って隅々までよく探してみてください!」
「何だよそれ……、く、クソ。そもそも能力値はなぜまた初期化されるんだ!バベル、お前らこのままクソみたいに塔を運営するつもりか?」
「……あら?」
バベル?憎たらしくウサギ跳びをしていたウサギがピタッと止まる。
珍しいものを見るようにジオを凝視すると、何か考え込むこと数秒。すぐにタイマーをグッと押す。
カチッ、ハラハラしながら続いていた秒針の音が止まった。
「……何だ、急に?」
目の前に迫ったウサギの顔をジオが気まずそうに見つめた。幼いピンク色の瞳に映っているのは明白な好奇心。
「ふむ。私はバベル所属ではないのに……本当に何もご存じないんですか?」
「..何を?」
「おかしいな。惑星代表に……シードチームじゃないですか?B組なら、どこだ、第3区域では3番目で、サーバーでは2番目なのに。」
シャーリーが首をかしげた。
「先頭グループがここまで知らないなんてありえる?区域バベルの管理者が何も説明してくれなかったんですか?」
...?
「ねえ、誰かバベルから何か聞いたことある人……は、手を挙げてみて。」
とりあえず私は違う……。




