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133話

* * *


お別れの挨拶もできずに強制的に徴兵されてしまったペク・ドヒョンは始まりに過ぎなかった。


砂時計が再び一周した二日目の午後。


「ナ・ジョヨンお姉さん!バビロンに完全移籍したって話、本当ですか?」


「昨日、あるユーチューバーが派遣職はただの目くらましの広報だってめちゃくちゃ、お姉さんを狙撃してました。ムカつく。」


告げ口するようにぶつぶつ言う少女たち。


制服を着た子供たちを見て、ナ・ジョヨンが笑顔で手を振った。


「違いますよ。本当に派遣です。ここにサインすればいいですか?」


「はーい!お姉さん、マジで綺麗。私、TVでお姉さんのメディカルテスト映像がアップされた時から好きでした。必ず戻ってきてくださいね……あ、お姉さん?」


「きゃ、ちょっと、ちょっと!あそこ見て!」


皆が空の方を見上げる。半分だけ完成したサイン……線が引かれかけた紙を握った少女がぼんやりと呟いた。


「マジか、、、」





[チャンネル「国家大韓民国」


49th I ZERO-BASE


二回目の入場


:主人公の唯一の助演


ナ・ジョヨン (AA/Rank.30)]





* * 米


> ローカル 一 大韓民国


> 国内ランカー1番チャンネル


I 8 | ダビデ: ふう,,,, いい奴らだったのに,,,


I 8 | ダビデ: どうか良い所でトック落往生してくれ、、、、


I 3 | 白鳥: トック落往生じゃなくて極楽往生だ。


| 27 | ドミ: あの?指摘するポイントがそこじゃない気がするんですが


I 17 I チョンヒド: 送ってしまった…完全に送ってしまった……


I 6 I 夜食王: やっぱり前から分かってたんだよ


I 6 | 夜食王: だから人はね、ラインを上手く掴まないといけないんだって。それが分からないのか?全部ギルドを最初から間違


I 6 | 夜食王: ところで何だよ、なんでまた誰も言わないんだ


I 6 | 夜食王: こいつら、騒いでると思ったら、俺が来るとすぐ潜水してふざけやがって


I 20 | 明日免許更新: あっ


I 12 | サンサン: あら…バレてしまいましたね、皆さん


I 8 | ダビデ: あの野郎、どこで何食い漁ってきたら急に勘が良くなったんだ


I 4 | アルファ: 誤解です~ A A ランカー同士で仲間外れなんてそんなことあるわけないじゃないですか


I 20 | 明日免許更新: そうですよ。アルファ様は白鳥様に順位を追い越されてからずっと一貫してチャットで見かけませんでしたよ!


I 3 I 白鳥: そうだったか。すまない、ギル・ガオン。


| 4 | アルファ: ……いや A A


I 27 I ドミ: ところで初日がペク・ドヒョン、2日目がナ・ジョヨンさん、3日目がセンターのケナさんでしたよね?4日目がイ・テヨプさんだったか、最近人気の銀獅子側のタンカーで…今日はまた誰でしょう?


I 20 | 明日免許更新: わー、本当にラインナップが豪華ですね


I 9 | ギュニギュニ: 単に豪華なだけではありません。S級1名、ダブルA級1名、トリプルB級2名まで。これくらいなら大都市防衛級のスクワッドに匹敵します。


I 9 | ギュニギュニ: 傾向を見ると選抜人員のレベルはここで高くなれば高くなっても、低くなる可能性は低いので皆さんも留意しておきましょう。


I 17 | チョンヒド: いや、今入ったスクワッドでも大抵のことは楽勝だろうけど、一体49階で何が起こってるから戦争でもしてるのか


I 8 | ダビデ: なんだよ、結局私らも待機しろってこと?? 一一 私は患者なのにどれだけ呼ぶんだ??


I 17 | チョンヒド: バベルがそんな事情全く気にしないと思うけど、全くナイーブと言うべきか


I 8 I ダビデ: ??なんでいきなり喧嘩腰なんだ?yoお前自殺希望者?


I 8 I ダビデ: だから魔法使いどもは定期的にボコボコに殴られて当然なんだよ。肝を塔に置いてるからすぐ登ってくるんだよ


I 8 | ダビデ: あちゃちゃ もちろん一人は除く


I 8 | ダビデ:? なんだよ、みんななんで返事がないんだ一一 私ハブられてる??


I 20 I 明日免許更新: あ あ いやそれが


I 44 | イシグク: 5次… 5次が


I 12 I サンサン: 空を見てください


| 8 | ダビデ:????? なんだよ


I 8 | ダビデ: チョンヒド あの野郎の名前なんでそこにあるんだ??????




[ゼロベース5日目選抜人員。ランキング17位「アークメイジ」チョンヒド。第35次チュートリアル出身のこのソウル青年はAA級オールラウンド型魔法使いとして今年満26歳になる..


ピッ


「もう見るのやめてご飯食べなさい!ロクは行って姉さん起こして。この家の柱は日が中天を過ぎてからどれだけ経ってるのにまだ寝てるの……」


「ほっといて、お母さん。日曜日じゃん。」


「浪人生に週末があるの?ソンヨンは週末になると自己啓発だとか言って山岳同好会だとか、家にいないんだって。腹立つわ、本当に。」


「ソンヨン姉さん、本当に怖い人」


だから……


キョン・ジオがソンヨンPTSDに苦しむのも無理はない。胸を叩くパク女史を見てキョン・グミが舌打ちした。


「……ちょっと、自分の足で歩けないの?」


「あらまあ、この疫病神。キョン・ジオ!お前いくつだと思って弟に抱えられてくるの、しっかりしなさい!」


「ううう 」


バンビに手を引かれて出てきたジオが両腕をばたつかせた。まともに開けられない目で歩いて食卓の上座に自然に座る。


「うううっ、パク女史。今日の献立は、ふあああ、何だ……?」


すぐに続く背中スマッシュと悲鳴はこの家の基本セッティングだった。慣れたように噛み締めたキョン・グミが横を向く。


「チョンヒドってマ協所属?有名な人なんでしょ?よく聞いたことあるけど。」


「ああ。マーリンが注目していると発言して有名になったんだ。自分の所の看板だから韓国魔塔があれこれ持ち上げてたりもするし。」


綺麗に整った指が手慣れたように箸を使った。丁寧に骨を取り除いた太刀魚の身を向かいのスプーンの上に乗せながらキョン・ジロクが答えた。


もちろん、もらうのに必死な浪人生は誰が乗せてくれるのか眼中にもなかったが。


「売れてる人ばかり選んで、全く……上手く連れていくわね。このままじゃお兄ちゃんも連れて行かれるんじゃないの?」


「キョン・グミ、ご飯食べながらそんな縁起でもないこと言ってどうするの?お兄ちゃんが行ったら嬉しいの?」


「いや、嬉しいわけないじゃん?ただそうなる可能性もあるんじゃないかな、ってこと。」


「仮定もしないで。言葉が現実になったら怖い。中国でひどい目に遭って帰ってきたばかりなのに?」


「グミの言うことも間違ってないけど。可能性は開けておいた方がいいわ。いきなりいなくなって驚くより。」


何気ない口調で吐き出したキョン・ジロクの言葉をグミが再び受けた。


「私の言う通りでしょ。引っかかったら避けられないじゃない。どうにか方法を探したとしても、行かなかったら国民的逆賊になるのは目に見えてるし。」


最近外の雰囲気は尋常じゃないと言いながら首を横に振る。



アップデート告知以降、すでに5日目。国内外はゼロベース関連の話ばかりだった。


選抜された人物たちをマスコミが連日集中照明するのはもちろん、水面下でも多くの話が行き交った。


5大ギルドの一角であるキョン・ジロクもまた、関係者ではなかった。政府側と会うことをすでに何度も。


ゼロベースがまだ霧に覆われているせいで、これといった収穫はなかったが…….


「あまり心配しないで、お母さん。それでも状況を見ると俺が行く可能性は低いと思うから。」


「なんで?何か聞いたことあるの?」


「各職業群から一人ずつ連れていくんじゃないか、センターではそう推測してるみたい。」


「じゃあ今日魔法使いに剣士、ヒーラー、タンカー…… あ。クォン・ケナがお兄ちゃんと似た槍使いだったっけ?」


水を飲みながらキョン・ジロクが目配せで肯定した。


センターの予想が的中するなら重複する職業群である彼は条件に該当しない。また…….


「チョン・ヒドが行ったから魔法使いも候補群から除外だ。」


スプーンの上になかなか上がってこない太刀魚の身にそろそろご機嫌が悪くなりそうな方。最後の身を乗せてキョン・ジロクがニヤリと笑った。


「グミグミはちょっと微妙だけど…… 徴収される等級の平均を見ると俺より可能性は低いんじゃないかな、どう考えても。」


「ちょっと、分かってるよ?誰もE級がまた行くとは思ってないって。」


「当然そうじゃないと。グミが行きでもしたらお母さんは本当に寿命が縮ま……」


「うわー。ごちそうさま!」


パンパン、ジオが膨らんだお腹を叩いた。満足そうな顔で嬉しそうに親指を立てる


「マジ美味かったっす。きゃー、うちの女史様の腕が日に日に素晴らしくなっていくじゃん。どこかで別途修行でもしてるのか?ハハ。美味しい店だよ、美味しい店!」


「ん?なんでそんな顔してるの?」


そう。美味しかったって言うんだからまあ…….


良いことは良いことだから何も言うことはないけど、全く。


「貴重な済州銀太刀魚を前にしてなんで石でも噛み締めたような顔してるんだ。ああ、分かった。子供たちが召喚されるか不安だから?」


「お願いだからお前の勘…… うん?」


「全く。心配しなくてもうちのパク女史がまた心配性になるんじゃないかとこの孝行娘が事前に全部備えておいたわよ。ちょっと待ってて。」



……このどうしようもない奴が珍しくまともなことをするのか?


バタバタ、部屋に走っていくジオを三人がぼんやりと見つめていると。


「さあ、ホイ!」



ガチャ。チャラチャラ。


「こうすれば「不可避な事由」、え?完璧にバッチリでしょ。認定?うん。認定。」


「手に入れるのにマジ苦労したんだから。ふう、改造まですると徹夜して、寝てもないし。パク女史、見てる?女史様の長女がこんなにも弟たちのことを考えてる孝行娘だって。」



子供を育てて本当に良かったわ。


ハハ笑みを浮かべる浪人生。後ろ手に組もうとしたが、不可能だった。


両腕とも今しがた自分の手で手錠をかけたから…….


片方はキョン・ジロクと、もう片方の腕はキョン・グミと仲良く二つの手錠を分け合った長女。


嬉しそうに腕を振るたびに鎖が騒がしくジャラジャラと音を立てた。


パクスンヨはヒヒッ、ウインク中の長女(特:どうしようもない/不倶戴天の敵)と向き合いながら優しく笑った。


「外して。」


「ん?なんで?これ見て。不可避な事由!ジャジャーン!」


「外せって、今すぐ。」


「さっき食べた銀太刀魚が生涯最後の晩餐になりたくなかったら。」


「はい。」




* * *


「……何?うちの身分に似合わないこの豪華なレストランは?」


ここは軽音楽が流れるソウルの某ファインダイニング。チェ・ダビデがぎこちなくメニュー表と白鳥を交互に見ながら囁いた。


「ええと、ワインペアリングは3杯で。そちらは準備していただかなくても結構です。お酒を飲まない友達なので。」


「すぐに準備いたします。」


メニュー表を片付けてそそくさと消える従業員。慣れない顔でチェ・ダビデが問い詰めた。


「何だよ、ここ!お前菜食主義者で肉も食べないじゃん?」


「私の方は魚に変えてもらうよ。退院もしたし、たまにはこういうのも悪くないんじゃない?」


「それもそうだけど……. 退院記念だって?マジで?じゃあ私、ちゃんと気合入れて食べるぞ?」


これがどれだけのナイフ使いだよ。嬉しそうにルンルン膝の上に布ナプキンを広げる友人を白鳥はぼんやりと見つめた。


「死刑囚の最後の晩餐を用意する看守たちがこんな気分なのかな……」


「[ “……そうらしい。覚えておけ。この論理が正しいなら一般戦闘系はほぼ選ばれたってことだから。とにかく、局長からの連絡はなぜ受けないんだ。私みたいな貴重な人材をメッセンジャーで無駄遣いするのか?” ]」


「知らない番号はあまり出ないんだ。広告電話があまりにも多いから。」


「[ “……おい、白鳥さん?まさか今でも保険全部加入してたりするんじゃないだろうな?” ]」


「うむ。君の言うことはつまりダビデが行く確率が高い、ってことだな。」


「[ “まあ確率的には……。” ]」


「分かった。伝えてくれてありがとう、ギル・ガオン。」


「鳥頭。何してるんだ?食べないのか?」


「……ダビデ、君って元々こんなに痩せてたっけ?頬がまるで三日間何も食べてない子熊みたいだな。」


「は?何訳の分からないこと言ってんだ。お前どこか具合でも悪いのか?」


「いや。たくさん食べておくといい。」


「お前が言わなくてもたくさん食べるつもりだよ。クソほどたくさんたくさん食べるつもりですよ。ホホホ。」


そして手際よくチェ・ダビデがスプーンを持ち上げ、ワインボトルを持った従業員がドアを開けた瞬間だった。


「あら、まあ!お客様!」


カーン!


力を失って器に墜落したスプーン。


……冷たい。白鳥は黙々と顔に飛び散ったジャガイモスープを拭き取った。


「大丈夫ですか?こ、これは一体!」


「……大丈夫だから全部片付けてワインだけ準備してください。」


もう少し早く来ればよかった…….


「み……すまない、ダビデ。」


ワインの味がひときわ苦いゼロベースオープニング6日目、ディナーだった。


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