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130話

* * 米


「あら、知り合いだったの? 恥ずかしいわ。ハ・ヘリさん! 今日も昼食抜きでしょう? これ、時間のある時に食べてね。それじゃ、私たちはこれで。」


「ありがとうございます、チフンのお母様。」


小豆パンを大事そうに握りしめ、丁寧に挨拶するハ・ヤンセ。心からの気持ちが伝わってくるようだ。


一体何なんだ、この総体的な難局は……。


一般人に小豆パン施しを受けて喜んでいるランキング3位に、一体何を言えばいいんだ、これは?


ジオが金魚のように口をパクパクさせた。


「……ハ・ヘリ?」


「最近ダビデが夢中になっている映画がハリー・ポッターだから。一人で来たのか?」


「いや、何で病院で偽名を……」


「軽率だったな。大護法があのように去られた以上、できるだけ他の人々と常に行動を共にしろと、私がチャンネルで言ったはずだ。偽名は本名で登録すれば病棟が騒がしくなるから当然の措置だ。」


「もうめちゃくちゃ騒がしいように見えるけど……あんたたちめちゃくちゃホットな話題そのものみたいだけど。」


近所の人たちが自分たちの話ばかりしていることに全く気づいていない様子だ。頭が痛くなり、ジオは慌てて話題を変えた。


「それより、あんたどこに行くんだ? なぜ病室にいないんだ。」


「うむ。少し霊岩ヨンアムに行ってくることになった。訪問客に本意なく失礼をしてしまうな。すぐに戻ってくるから少しだけ待ってくれるか。」


「霊岩……?」


「霊岩を知らないのか? 全羅南道チョルラナムドの霊岩のことだ。大切な我が国土にもう少し関心を持つといいだろう。」


「急に全羅道ですか? 一体なぜですか?」


「ダビデがメロンを食べたいと言ったので。それでは。」


「……それでは、じゃないだろ! ふざけてるのか!」


向こう脛を蹴り上げ、白鳥(ランキング3位)を撃沈させたキングジオが、ずんずん病室へ向かった。


人がぎっしり詰まった6人部屋。


ドアの前の名札には、図々しい名前がそのまま刻まれていた。


「チェ・ヘルミオーネ……」


我が祖国よ、状態は大丈夫ですか?


これを見て誰もおかしいと思わなかったって言うの? 本当に本気ですか?


ガラガラ!


「あれ? もう? きゃー、ランキング3位の威厳すごい。ひょえー、やばい! 霊岩をまるでこの前のコンビニに行くみたいに


行って……」


グリフィンドールのカーディガンを羽織った不良が、かじっていたみかんをぽろっと落とした。ぼうぜんとこちらを見てつぶやく。


「……ヴォルデモート?」


「黙れ。」


馬鹿たちの行進……!


ジオは激しい目眩を感じた。



[「病院長との話は終わった。すぐにVIP病棟に移したそうだ。」]



[「こんなことはわざわざ君が言わなくても、同盟として十分に助けられる範囲なのに。宗主も頑固なことだ。」]



「白鳥だからな。とにかく感謝。」


虎の低い笑い声を聞きながら、ジオは通話を終えた。


高層のVIP病棟は、人影もなく静かだ。病室に入ると、ダビデがエヘン! と大きく咳払いをした。


「そ、そんなに無理に移らなくても良かったのに? あそこでも十分に過ごせたのに!」


「自分の名前一つまともに書けなかったくせに何を言ってるんだ?」


ジオが鼻で笑った。


ハンター専用に増築したセブランス病院は、階の区分が徹底していた。


23階より下は、ただの一般病室と変わらない。


上級ヒーラーたちが常時待機し、魔力機械で塗り固められた、本物のドクターケアはVIP病棟からだった。


もちろん、それだけ入院費用も天文学的。


それでも、金持ちのランカーたちならいくらでもカバーできる範囲だったが……特別な〈ヘタ〉様は事情がまた違っていたようだ。


「好意はありがたい、ジオ。最近財団基金を増やして資金運用が少し困難な状況だったんだ。」


「勉強ばかりして家計を傾けた学者夫みたいなセリフはやめてくれ……」


「いいから。くどくど事情を言う必要はない。別に知りたくもないし。」


ジオはどさっとソファに腰掛けた。


入院してからかなり経っているはずなのに、チェ・ダビデの手首にはまだギブスが当てられていた。


「あんた、そのざまは何なんだ? まだ。」


ハ・ヤンセが代わりに答える。


「好転はした。ただ、ダビデがずっと動いているからな。酸性毒に溶けた皮膚が完全に再生するには、しばらく時間がかかるそうだ。」


彼らも最初から多人数部屋で生活していたわけではなかった。


今は元気だが、最初にチェ・ダビデが病院に運ばれてきた時は全身火傷状態だったからだ。


救急室のヒーラーたちが付きっきりで、最高級ポーションとヒールを浴びせなかったらどうなっていたかわからない。


ペク・ドヒョンは自分のせいだと自責の念をなかなか拭えなかった。


顔を上げられない彼を見て、ジオはふと疑問に思った。


「さて、誰のせいだろう……」


友達の友達はまた別の友達だと、ダビデに教えたのはジオだった。


特別な親交もないペク・ドヒョンの頼みに、チェ・ダビデが動いたのも全部そのせい。


近づいてきたジオを、澄んだ目でチェ・ダビデが見つめる。


どんな苦痛や試練を経験しても変わらず澄んでいる目だった。ずっと昔から。


ジオが失笑した。


「おい、馬鹿。痛かったか?」


「……当然、じゃん! それを質問にするか? 私がお前、お前その1位だってビビって、顔色を窺うと思ったら勘違い……!」



[適業スキル、7階級高位呪文(深化)—「超速再生(Hyper Regeneration)」]



「遅れてごめん。」


「少し忙しかった。世話をしなければならない弱い人々が周りにたくさんいらっしゃるからな。」


「でも実はこれは言い訳で……。勇気が出なかったんだ。私のせいで苦しむ人を久しぶりに見たから。」


触れ合っていた手が離れる。


チェ・ダビデはぼうぜんと新しい皮膚が生えてきた手首を見下ろした。滲出液も、ヒリヒリ感ももうなかった。


真昼の日差しが病室に差し込む。


こんなに明るいのに、目の前のこいつの顔はなぜこんなに見えないんだ?


チェ・ダビデは腕を伸ばしてジオの帽子を脱がせた。ぽとん。


光と触れ合い、温かい色を帯びた瞳がようやく現れる。チェ・ダビデはプルプルと唇を震わせた。


「……お前のせいじゃない。」


頼れるものの前では、人はどうしようもなく弱くなるものだ。チェ・ダビデの目に涙がじわじわと溜まってきた。


「私が、私が弱くて……足りなくて、コヤ様をあんな風に送ってしまった。」


死ぬほどうんざりした自分の能力だった。


今もあまり好きではない。それでも、裂けた翼に向かってどうか動いてくれと懇願しながら、チェ・ダビデは泣き叫んだ。


片腕をもぎ取られたマッドドッグが笑った。



「ちくしょう、タイムオーバーか……。」


悪党が退場する。ホン・コヤの巨山のような背中も崩れた。カラスたちが声を上げて泣いた。


炎の中で月桂ホン家はそうして崩れた。


純粋で正直なチェ・ダビデは、泣く姿さえもまさに彼らしかった。子供のように顔を上げてわんわん泣く。


ジオはその泣き声を静かに聞いた。しばらくの間。



カタン、ジー。


病院の自販機コーヒーは、他の場所とは妙に感じが違った。ジオはぼんやりと紙コップを見下ろす。


「妙に病院に来ることが多くなった気がするけど。気のせいか?」


「ダビデは大丈夫だろう。強い人だから。」


オウ、ウウ。


「君は……大丈夫か?」


淡々と尋ねるハ・ヤンセの低音。


ジオはしきりに歯型をつけていたコップから顔を上げた。


「私に聞いてるのか?」


「ペク・ドヒョンから聞いた。月桂ホン家と知り合いだったとか。特に、あの『世界の目』を持つ子供と何らかの縁があったとか。」


「うちのペクさん、ペラペラよく喋るな。ただの通りすがりの縁だった。」


「そんな通りすがりの縁さえ珍しかった過去十年ではなかったか。」


ハ・ヤンセはいつも静かなその顔でジオを見つめた。


「君を詮索するつもりはない。ただ、一つ。」


「冷酷になりたい人と冷酷な人、この二つが違うということは知っているから言うのだ。」


君はどちらなのだ?


「どうか心が向かう方向へ一緒に行ってほしい。私の経験上……人生で後退しないためには、ひたすらその道しかないのだ。」


ジオは目の前のハ・ヤンセのように絶対的な善人ではなく、感傷に浸りやすい性格でもなかった。


したがって、ホン家の悲劇に自分の責任があるなどという、呑気な考えまではしない。


しかし……言葉通り、冷酷にはなれなかった。


ずっと頭から離れない。ホン・コヤのお茶やホン・ダルヤの眼差しのようなものが。


もしもう少しだけ気を配っていたら、助けられたのではないか?


そしてジオがまさに口を開こうとした瞬間だった。




[Loading ■■■■■ 100%]


[アップデート完了!チャンネル告知事項が出力されます。]


+


► チャンネル「国家大韓民国」告知


- おめでとうございます! *3('0'*)j*。


— 惑星アース、ローカル「国家大韓民国」が最初の限界線を突破しました!これに伴い、該当チャンネルは49階の《ゼロベース》段階に挑戦します。


- 《ゼロベース》は地域バベルの塔の中間管理職「ディレクター(Director)」を選抜する前に、該当チャンネルの資格の有無を判断するための検証過程です。


- 簡単に言えば、入れ替えのようなものです。あ


- 過程の公正性のために、該当チャンネルを代表して49階に入場する9人の挑戦者は、地域バベルの塔によって選抜されます。


- チャンネル代表9人は計9日にわたって選抜され、選抜され次第、塔内部のミッションフィールドに召喚されます。


- 不可避な理由で選抜人員の参加が不可能な場合、該当の席は空席となりますので、格別のご注意をお願いいたします。


- 選抜人員9人の他に、特殊参加人員である「キープレイヤー」は、原点を前提とする《ゼロベース》原則に従い、最下級(E〜F級)覚醒者の中からランダムに選抜されます。


- それでは、皆様のご武運をお祈りいたします!


[注意事項]


• 入場は1回に限定(再挑戦不可能)


• 星位発行専用チケット使用不可能および途中放棄不可


[攻略失敗時]


• 「国家大韓民国」脱落


• 地域バベルの塔チケット発行中止


+




「これは一体……」


奇怪で長い告知だった。


「この縁起の悪い顔文字は、クエストウィンドウにだけ表示されるものじゃなかったのか?」


攻略前に、塔がこんなに長いブリーフィングをしてくれるのは前例のないことだった。


気まずそうにスクロールを眺めるジオの隣で、ハ・ヤンセが勢いよく立ち上がった。


「……チケット発行中止?」


ガラガラ、バン!


「おい! おい、ま、マジか! 外に! 早く来てみて!」


チェ・ダビデの切羽詰まった呼びかけに、ハ・ヤンセが先に駆け出す。ジオも険しい表情で後に続いた。


病院の窓の外、真っ黒なバベルの塔の上に


巨大な砂時計の形象が浮かび上がっていた。ジオは窓枠をつかんだ。


[バベルの塔49階が解禁されました。]


[ゼロベースオープニング、「キープレイヤー」選抜中……]


そしてその時計の砂が全て落ちる瞬間。


ジオは数日前、ペク・ドヒョンの言葉をようやく理解することができた。



「49階が開けばジオさんもわかるはずです。前回のように進むなら。」


ファンファーレがソウルの空を染める。


虚空に透明な斜線が描かれ、続いて現れる名前は……。



[チャンネル「国家大韓民国」


49th I ZERO-BASE


キープレイヤー(Key Player)


:覚醒者 ホン・ヘヤ(E/圏外)]


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