年寄りと赤子
[前回の話]
隠居生活
[今回の話]
赤子と子供、大人、老人の話。(内容に譬喩あり)
どうにも最近頭が痛い。
目が霞む。
見なくても好いものが見え、見るべきものが見えづらいと気づく。
耳も同様なようだ。
いや、それは思考能力にさえも及んでいるかも知れない。
これが衰えというものか……。
全く、なんなんだよ最近の世の中は。
紛らわしいものが多過ぎる。
お陰で親しかった者と余計な喧嘩までするはめになって、本当に泣きたい限りだ。
相手の言い分を理解した今となっては余計に。
今の私は赤子の泣き声にばかり気をとられ、子供の声すら聞こえない。
全く以て嘆かわしい。
ああ、なんて私の罪深きことか……。
大人はいつか老人となる。
これは仕方のないことなのだろう。
子供はいつか大人になって旅立つ。
これもまた仕方のない話。
ただ、できることならば、今一度話し合い、本当の理解の上で見送りたい。
だが、今となっては既に時遅し。
私にできるのはこれまで通り赤子の子守りをすることくらい。
ならばただ嘆くよりもそれに専念することとするか。
彼ならば何も心配はいらないはずだ。
それよりも、今心配なのは他の子供たちが赤子の傍で騒ぐこと。
彼らが悪いわけでないと理解した今でも、やはりこればかりは変わらないと思う。
赤子はすぐに泣き出すのだ。況してや叩けば余計にだ。
正直煩わしくはあるが、これはそういうものなのだから仕方がない。
子供たちにはそこを理解し弁えてほしい。
それが本当の大人になるということだと。
はあ……。
自分のことを棚に上げて私は何を言ってるんだろうな……。
真相は不明だが、きっと彼の言い分も正しい。
ただ、彼は自他に厳し過ぎただけ。
そう理解してみれば私のしてることが本当にアホらしくて仕方ない。
だが、解っているけど謝罪したくてもそれができない。
この老婆心も捨てきれない。
全く、なんなんだよ、この矛盾は……。
読者の皆様方にお詫びいたします。
変に皆様方を煽りはしましたが、私に誤解のあった可能性があります。
すみませんが暫くご静観をお願いいたします。




