異世界転生したけど、一山あてた件について
「おいおい、エイト!そない我武者羅に掘ってぇ本当に大丈夫がやぁ!?」
荒々しい声が洞窟内に響く。ゴンダァはエイトの働きぶりに驚愕しているようだ。
「ゴンダァ!俺、自分が強くなっていくのが解る!ステータスが向上しているんだ!」
魔石につるはしを打ち付け、力強く振り下ろす。汗が流れる。
俺は背負っていたバックパックをポンと叩く。今はまだスカスカだが、こいつがパンパンになるまで掘るつもりだ。
「エイトぉ。いつまでやるんだぁ?」
「とにかく掘る! 俺たちの力が続く限り、採掘しまくる!」
「ダハハ!それでこそエイトだぁ!」
ゴンダァも腰につるはしを引っ提げ、俺と並ぶ。
「いくぞ!」
「おう!」
ガツン!
つるはしが鉱石に食い込む。衝撃が手に伝わるが、すぐに慣れた。経験値と筋力アップの恩恵もあって、俺の掘るスピードは徐々に上昇していった。
「へへっ、いい調子じゃねぇか!」
隣のゴンダァも負けじと掘り進める。岩の破片が飛び散り、貴重な鉱石が次々と姿を現す。
「おっ、ミスリル鉱石発見だぁ!」
「マジか!? 俺の方はなんか黒いぞ!」
「そりゃぁ魔鉄鋼だぁ!」
高級素材が次々と出る。まるで俺たちの到来を待っていたかのように、鉱山は惜しげもなく宝を差し出してくる。
「こりゃあ、一攫千金も夢でねぇな!」
「まだまだ掘るぞ!」
ガンガンガンガンッ!
洞窟内には俺たちのつるはしが岩を砕く音だけが響き渡る。
—数時間後—
「くっそ……! さすがにもう限界か……?」
息を切らしながら、俺はバックパックを確認した。
【重量:99.8%】
「ギリギリ……あと一振りだ……!」
俺は最後の力を振り絞ってつるはしを振り下ろした。
ガツンッ!
「出たぁぁぁぁ!やったなぁエイト!そりゃぁオリハルコン鉱石!!」
「なにぃ!? つまり!なんかすごいいい感じのやつか!」
俺たちは勝利の歓喜を上げた。背負ったバックパックは今にも破裂しそうだが、達成感は計り知れない。
「もう、十分!帰るか!」
「おう!これでしばらくは贅沢な暮らしができるだぁ!」
エイトはゴンダァを連れて村に戻った。パンパンのバックパックを背負い、エリオットの用意してくれた家に戻った。
バックパックの中身を家の床に出すと、鉱石と魔石が入り混じってたまるで海賊映画に出てくる財宝の山みたいな感じになった。
「こりは…いい眺めだ」
エイトはため息をついた。
「こりゃぁ鉱石だぁ。武器防具の錬成に使えるど、この魔石は…食えたもんでねぇ」
ゴンダァは取ってきた鉱石を見分しながらいろいろ説明をしてくれたが、エイトは疲労感のため全然耳に入ってこない。
エイトは古いソファーに横になると、ゴンダァの講釈を聞き流していた。そしていつの間にか眠ってしまった。