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異世界転生したけど、エンカウントのランクがバグっている件について

エイトとゴンダァは普通に歩いていだけだった。


そしたら超強い魔獣に襲われた。

エイトとゴンダァは目的の村まであと2300歩というところまで来ていた。


「やべぇ! こっち来るぞ!!」


エイトの叫び声が、森に響き渡る。


「はよう逃げるだぁああァァァ!!!」


ゴンダァが、全力で地面を蹴った。堅牢な体に似合わぬ俊敏さで、俺と並走する。


後ろからは、地響きを立てて迫る巨大な影。


Sランク怪物・ヘルベヒモス――超巨大な魔獣だ。漆黒の体毛に覆われた山のような巨体。鋭く光る赤い双眸。口を開けば、見渡す限りの森が丸ごと飲み込まれそうなほどの牙が並んでいる。


「おいゴンダァ! なんでSランク怪物がこんなとこにいるんだよ!?」


「知らねぇ!! この辺りであんなのに出くわすとか初めてだぁ!」


「マジか!!」


「オラの魔獣生息マップ機能……更新したのは1か月前だぁ。異世界転生だなんだってイレギュラーな応対しなきゃいけねぇことが多いだぁ」


「俺のせいかよ!? っていうか逃げ切れるのか、これ!?」


 振り返れば、ヘルベヒモスが鼻息を荒くして追いかけてくる。木々をなぎ倒し、土煙を巻き上げながらの猛追だ。まるで走る山が俺たちを飲み込もうとしているかのようだった。


「逃げるしかねぇがァァァァァ!!」


「言われなくても分かってる!!」


 ゴンダァの絶叫とともに、俺たちはさらに速度を上げる。幸い、森の地形は俺たちに味方してくれた。


「前方、道が狭まってる!」


「んだぁ!あそこを通り過ぎれば助かるぅ!!」


「ここでゲームオーバーにはさせん!!」


 ヘルベヒモスはすぐそこまで迫っている。振り向けば、巨大な前足が振り上げられ――


「ゴンダァ!! 突っ込むぞ!!」


「上等だぁァァァァァ!!!」


 二人は最後の力を振り絞りながら、全力で狭い道に飛び込んだ。


 その直後――


ズゥゥゥゥゥン!!!!


 凄まじい衝撃音とともに、ヘルベヒモスの足が崖を砕いた。岩の破片が降り注ぐ中、それでも俺たちは必死に駆け抜ける。


「うおおおおおおお!!!」


「ぎゃああああああ!!!」


 岩の破片を食らいながらも、前方にかすかに見える川。


「水に飛び込むだぁ!!」


「そんなんで助かる保証あるんかァァァァ!!?」


「他に選択肢ねぇだぁ!!!」


 水面が迫る。数秒後――


ドッパァァァァン!!!


 俺たちは豪快に川へ突っ込み、水中で水面の向こうで忌々しそうに見ているヘルヘビモスと目が合った。



「プッはぁああ!」


エイトは水面から顔を出した。あたりを見回すとヘルヘビモスの気配は完全に無かった。


そしてゴンダァもいない。


沈んでしまったのだろうか?


川の底に潜ってゴンダァを探そうとしたら鉄砲水が来た。


ヘルヘビモスの仕業だろうか?


疑問に思った瞬間、エイトは波に飲み込まれ強烈な水流に押し出された。意識が飛んだ。



エイトは目を覚ますと、河岸に流されついていた。


「…ここはどこだ?」


立ち上がることは容易にできた。あれだけのことがあってノーダメだったのは奇跡的だ。


ゴンダァの姿は見えない。


ジェリドから貰ったカードがおでこにぴったりと張り付いていた。


苦笑いを浮かべながら、親指を押し当て集中した。


ー 目的地まで88歩 ー

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