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はじめに

　"夢"という言葉を手元のいくつかの辞書で引くと、どの辞書にも『眠っている時に見る、あたかも現実のように感じるものごと』というような記述がありました。

　実際、起きている時の出来事だと思っていたのに、目が覚めて初めて夢だと気付く、という経験が僕は一度ならずあります。

　そういう時に限って、目覚めと共に「ずっと続けばよかったのに」という落胆の気持ちが生じます。

　まるで大事にしていたおもちゃを、突然失くしてしまったかのように。

　だからなのかもしれません。

　僕はいつの頃からか、気がかりな夢から覚める度に、その記憶が霧散する前にメモに書き残すようになっていました。

　楽しい夢もあれば、怖い夢もありました。

　ここではあまり言えないような内容の夢も、もちろんありました。

　そのどれもが、今となってはメモを読み返さなければ内容を思い出せないものばかりです。

　けれどもまた、そのどれもが、色とりどりの輝きを放っています。

　まるで、僕の頭の中にある箱からこぼれ落ちた宝石のように。

　このエッセイはそんな僕の見た夢たちの記録になります。