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第4話:告げられた運命の真実

夜の静寂が、王城に深く降りてきた。窓の外には満月が浮かび、柔らかな月光が広い廊下に影を落としている。私はレオン王子に呼ばれ、王城の一角にある静かな談話室へと向かっていた。


「大事な話って……なんだろう」


胸の奥で不安が渦巻く。この世界が、私がかつて遊び尽くした乙女ゲーム『デュアル・レジェンド』と同じ運命を辿るとしたら――レオン王子は、間もなく裏切りや陰謀に巻き込まれ、絶望の淵に沈んでしまう。私はその未来を変えるためにこの世界に転生してきたのだ。


ドアの前に立ち、深呼吸を一つ。優しく扉をノックすると、中から「どうぞ」というレオン王子の声が聞こえてきた。


レオン王子の告白

部屋の中に入ると、レオン王子が窓の外を見つめながら立っていた。彼の横顔は、月光に照らされてどこか寂しげに見える。私はそっと声をかけた。


「お待たせしました、王子」


「来てくれてありがとう、マリア」


彼は振り返り、微笑みながら手でこちらの椅子を指し示した。「座ってくれ」と。私はその通りに座り、彼も向かいの席に腰を下ろす。そして、静かに話し始めた。


「マリア、君にはもう少し詳しい話をしておくべきだと思ったんだ」


「……詳しい話、ですか?」


「実は……僕たちの王国の中で、何か大きな陰謀が動いていることは、君も気づいているだろう」


私はうなずいた。そうだ、ゲームでもこの陰謀こそがレオン王子の破滅を招いた原因だった。


「王国を支えるはずの貴族たちが、裏で何かを企んでいる。父上の側近の中にも、その動きに関与している者がいると噂されているんだ。正直、誰を信じていいのか……わからない」


彼の目が私を見つめている。そこには、強い責任感と深い苦悩が浮かんでいた。


「王子……」


「僕は、王国を守りたい。父上や、民たちを守りたい。でも、もしこの陰謀が王国を揺るがすほどの大きなものだとしたら、僕一人ではどうしようもない。だから、君の力を借りたいんだ」


その言葉に、私は胸が熱くなった。レオン王子が私に頼ってくれるなんて……でも、それは同時に、彼が抱える不安やプレッシャーの大きさを物語っている。


「もちろんです、王子。私はあなたを……絶対に支えます!」


その言葉を聞いた瞬間、レオン王子は少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐに優しく笑った。


「ありがとう、マリア。本当に、君がいてくれてよかった」


彼のその言葉に、私の決意がさらに強くなった。私はこの世界の未来を変えなければならない。レオン王子が闇に堕ちてしまう運命なんて、絶対に許せない。


「それからもう一つ、気になることがあるんだ」


「気になること……?」


レオン王子は窓の外を再び見つめ、重々しく言葉を続けた。


「この陰謀には、どうやら魔法使いの存在が関わっているらしい……」


「魔法……?」


乙女ゲーム『デュアル・レジェンド』では、確かに「サンセット」と「ミッドナイト」で魔法の扱いが大きく異なっていた。サンセットは光輝く騎士たちの物語で、魔法はほとんど登場しないが、ミッドナイトは魔法や呪い、闇の力が大きなテーマだった。


「魔法使いが、王国に何か悪意を持っている……そう噂されているんだ。もし本当にそうだとしたら、これまで以上に危険な状況になるかもしれない」


「……!」


その瞬間、頭の中でゲームのシナリオが浮かんだ。もしこの陰謀に魔法使いが関わっているとしたら、それは『ミッドナイト』のシナリオが混ざり始めている証拠だ。つまり、レオン王子が闇堕ちしてしまう「ミッドナイト」の運命が、この「サンセット」の世界にも影響を及ぼしている……!


「王子! もしその魔法使いが裏で暗躍しているのなら、早めに手を打たなければなりません。私は……その情報を集める手伝いをします!」


「そう言ってくれると心強いよ、マリア」


レオン王子はそう言って、再び私の手を握ってきた。彼の手の温もりが、私に力を与えてくれる。


「今はまだ、何も確証はない。けれど、君が協力してくれるなら、きっとこの陰謀を暴くことができるはずだ。君には信頼している側近たちとの連携を頼みたい。僕の目が届かないところを、君に託すよ」


「わかりました! 私にできる限り、全力で動きます」


レオン王子から託された新たな任務。それは、彼の側近たちと協力し、王国内の動きを探ることだった。これこそ、ゲームのイベントで重要なフラグが立つ局面だ。王子の側近たちはそれぞれ個性的で、彼らの信頼を得ることで、物語の流れが大きく変わる。


「彼の信頼できる側近……それって、ゲームに登場したあのキャラたちよね!」


私は心の中で興奮が走った。王子の側近たちも、ゲーム内で攻略対象となる重要なキャラクターの一人一人だ。彼らの協力を得ることで、王子を闇堕ちさせないための新たなルートが開けるはずだ。


――――――――――


部屋を出た後、私は月光の下を歩きながら、自分の決意を再確認していた。


「この世界には、まだ見ぬ運命が待っている……でも、私はこの未来を変えるために来たんだ。絶対に、レオン王子を幸せにしてみせる!」


その時、遠くから王宮の鐘の音が静かに響いた。私はその音を背に、王子の側近たちに会うため、足早に次の行動に移ることを決めた。

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