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7 転校生

「それじゃ、行ってきます」


 翌日、月曜の朝、真美はいつもどおりの時間に自宅を出発した。


 ジュニアはまだ部屋で寝ていた。起こそうか悩んだが、昨日は契約締結に向けて多少なりとも頑張っていたので、そっとしておいた。


「おはよう、真美!」


 学校の最寄りの駅で、いつものように松本(まつもと)(ゆう)()が元気よく声を掛けてくれた。


 優花は真美と同じクラス。ショートカットのカッコイイ雰囲気で、運動部かと思いきや、実は文芸部に入っている。ちなみに真美は数学部だ。


 高校で同じクラスになって初めて知り合ったが、真美は優花と気が合い、すぐに仲良くなった。


「ねえねえ、真美は昨晩の深夜アニメ観た?」


「あ、ゴメン! すっかり忘れてた」


「もう、面白い回だったのに。主人公の家に突然イケメンの男子が居候することになってドタバタになるのよ」


「……どっかで聞いた話ね」


 などと雑談しながら、真美は優花と一緒に教室へ向かった。


 教室に入ると、明日香とその取り巻きがいつものようにお喋りしていた。


 明日香は真美に気づくと、何故か真美を睨み付けてきた。


 土曜日のことを根に持っているようだが、逆恨みもいいところだ。とりあえず気づかないふりをして席に着いた。


 しばらくすると、ホームルームが始まった。担任の女性教師が連絡事項を説明する。何故かいつもより機嫌が良さそうだ。


 ひととおり連絡事項を説明した後、担任が笑顔で話し始めた。


「それでは、最後に大事なお知らせがあります。今日からこのクラスに転校生が来ることになりました」


 クラスがどよめく。担任が教室の入口に向かって声を掛ける。


「池田君、入っておいで」


 へー、私と同じ名字かあ、などと真美が考えていると、教室の入口のドアが開いた。


「失礼します!」


 元気よく挨拶して教室に入ってきたのは、何とブレザーの制服姿のジュニアだった。



† † †



「ジュニア君?!」


 真美は思わず声を上げてしまったが、幸い他の女子生徒の黄色い声に書き消されて誰にも気づかれなかった。


 女子の反応を予想していたようで、担任が笑いながら言う。


「はい、女子は落ち着いて! 今日から新たにクラスの一員となる池田ジュニア君です。池田くん、自己紹介してね」


 担任に促されて、ジュニアがニッコリ微笑んだ。途端に女子が「カワイイ」「カッコイイ」などと叫ぶ。


 ジュニアが自己紹介を始めた。


「池田ジュニアです。悪魔です。魔界から来ました。魂と引き換えに3つのお願いを叶えますので、契約を希望される方はいつでもお声がけください」


「中二病かよ!」


 クラスの男子がそう言って笑った。冗談と思ってくれているようだ。


 ジュニアが笑顔で話を続ける。


「池田真美さんの遠い親戚で、真美さんの家でお世話になっています。皆さんよろしくお願いします」


 ジュニアが頭を下げた。クラスメイトが驚いた顔で一斉に真美の方を向いた。


「は、はは……」


 とりあえず、真美は愛想笑いをした。



† † †


 ホームルーム後、最初の休憩時間。真美は急いでジュニアの席に向かった。


「一体どういうことなの?!」


「あ、真美さん。真美さんから離れる訳にはいきませんので、小生もこの学校に通うことにしました。もし契約が出来れば一石二鳥ですし」


 ジュニアが笑顔で答えた。


「そんな無茶苦茶な……」


 真美が呆気にとられていると、クラスの男女が一斉に2人のところへ集まってきた。


「ホントにジュニア君は真美の家に住んでるの?!」


「すげー自己紹介だったな。しかも一人称は『小生』って、どんなキャラ設定だよ!」


「ねえねえ、ジュニア君は何か芸能活動とかしてるの?!」


 もみくちゃになった真美を、優花が引っ張って教室の外まで連れ出してくれた。


「あ、ありがとう。優花……」


「いやあ、朝から大事件ね。あんな美男子がいきなり登場して、しかも同じクラスの真美と一緒に住んでるなんて、そりゃ騒ぎになるよ」


 優花が笑いながら言うと、真美の両肩をガッシリと掴んだ。


「詳しい話は後で聞かせてね」


「り、了解……」


 優花の勢いに負けて真美は思わずそう答えてしまった。

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