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3 作戦会議

「はい、それでは作戦会議を始めます!」


 隙あらばベッドに潜り込もうとするジュニアを半ば強引に勉強机の椅子に座らせると、真美はベッドに座って言った。


「午後からでいいんじゃないですか?」


 あくびをしながらジュニアが言った。真美が反論する。


「ダメよ。善は急げって言うでしょ」


 悪魔に『善』って言うのも変だなと思ったが、とりあえず真美は質問を始めた。


「そもそも悪魔って何なの? どうして魂が必要なの?」


 面倒そうにジュニアが答える。


「悪魔は魔界の一種族ですね。そして、魂は魔界では貴重な資源なんですよ」


 ジュニアが勉強机に置いていたペンを手に取りながら話し始めた。


「資源?」


 真美が不思議そうな顔で聞いた。ジュニアがペンをくるくると回しながら答える。


「ええ、昔は魂を燃料として活用していたのですが……」


 ジュニアがさらっと怖いことを言った。手から落としたペンを拾いながら、ジュニアが話を続ける。


「……代替エネルギーが見つかったので、最近は主に別のことに使っています。例えば労働とか……」


「それって、奴隷ってこと?」


 真美が不安そうな顔で聞いた。ジュニアが笑顔で首を横に振る。


「いえ、この世界でいうサラリーマンみたいなものですね。魂の同意の下に一定期間働いてもらっています。職場環境はとってもいいですよ」


「そして、その同意の対価が、3つのお願いという訳です」


「まあ、今の魂収集の仕事の一つは、人材派遣業みたいなものですかね。他にも色々とありますが」


「ふうん、そっか」


 大昔はともかく、今はそんなに恐ろしいものではないのかもしれない。


「それで、ジュニア君は人間の魂を集める仕事をしてるってこと?」


「はい。ただ、まだ見習いですね。魂収集の仕事を勉強する学校の学生です。もし真美さんと契約できなければ、退学になるところでした」


「でも、1件でも契約が取れれば進級できます。小生は真美さんと契約できたので、もう満足です。本当にありがとうございました」


 ジュニアが嬉しそうに頭を下げた。真美が慌てて言う。


「だ、ダメよ、それで満足しちゃ。どんどん契約を取ってもらわないと……っていうか、学生なのに私の側にずっといても大丈夫なの?」


「はい。魔界へ戻るときに調整しますので、こちらに何十年いても問題ありません」


「私としては大問題なんだけどなあ」


 真美が困った顔で言った。



† † †



「わあ、街はクリスマス商戦真っ盛りですね!」


「よくそんな言葉知ってるね」


 午後、真美とジュニアは電車で最寄りの繁華街に来た。


 クリスマス前の街はお洒落をした人達で賑わっている。


 安物の灰色のタートルネックのセーターに黒のパンツ、茶色のダッフルコートを着た真美は、場違いな気がして、なんだか居心地が悪い。


 ジュニアは黒いスーツ姿だ。黒山羊のマスクは、自室のクローゼットに隠してきた。


 指を鳴らせば着替えられるのに、あのマスクは友人からの借り物なので消せないらしい。母親に見つからなければいいのだが。


 ちなみに、ジュニアは電車に乗るときIC乗車券を使っていた。どこで手に入れたのだろう。


 真美とジュニアは駅前の大通りを歩く。すれ違う人がジュニアのことをチラチラと見るのが分かった。ジュニアは驚くほどの美形だ。目立つのも仕方ない。


 真美がジュニアに小声で言った。


「これだけ人がいれば、簡単に契約できるでしょ?」


「小生からいきなり声をかけるのはちょっと……」


 ジュニアが恥ずかしそうに言った。


「私のときは、ジュニア君から声をかけてきたじゃない」


「あれは、偶然とはいえ呼び出しがあったからですよ。キャッチセールスは小生にはハードルが高過ぎます」


「そんなこと言わず、さあ、片っ端から声をかけてみて」


 真美が渋るジュニアを説得していると、後ろから声がした。


「あれ、真美じゃない? こんなところでどうしたの?」


 同じクラスの(むら)(した)明日香(あすか)とその取り巻きだった。

続きは明日投稿予定です。

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