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18 交渉

「何で真美がいる訳?」


 放課後、駅前の喫茶店。明日香がテーブル席のソファーに座り、向かいにジュニアと並んで座る真美を睨みながら言った。


 真美は目を合わさずに(うつむ)く。


「今日のお話には真美さんも関係するので、小生がお呼びしました」


 ジュニアがニッコリ笑って言った。明日香が不機嫌そうに言う。


「で、何なの?」


「明日香さん、あなたは悪魔と契約しましたよね?」


 明日香の眉がピクリと動いた。ジュニアが笑顔で話を続ける。


「今朝、明日香さんと小生の(てのひら)を合わせたとき、火花が出ました」


「あれ、何なの? 陳腐な手品か何か?」


 明日香が鼻で笑った。ジュニアは笑顔のまま話す。


「1人の人間が契約できるのは1人の悪魔だけです。ですので、契約済みの人間が悪魔と契約しようとすると、あのように弾かれてしまうんですよ」


「明日香さん、小生は自己紹介したとおり本当に悪魔なんです。そして、契約相手は真美さんです」


 ジュニアが微笑んだ。明日香が唖然とする。


「ジュニア君は本当に悪魔だったんだ……はは、なんだ。そうだったのか」


 明日香は少し悲しそうな顔をすると、真美を見て嘲笑(あざわら)う。


「真美も意外と大胆ね。悪魔のジュニア君にお願いして彼氏になってもらったの?」


「そ、そんなことしてない!」


「へぇ、じゃあペットにでもしたのかな? 案外そういうのが好きそうだしね」


 明日香がニヤニヤしながら言った。真美が顔を真っ赤にして怒る。


「信じられない! そんな訳ないでしょ!!」


「真美さんは、小生を助けるために契約してくれました。まだお願いはしていません」


 ジュニアが明日香にそう説明すると、真面目な顔になった。


「明日香さんは、マモン君と契約したんですよね。お願いはいくつしたのですか?」


「そんなこと別にどうでもいいでしょ?」


 明日香が(うそぶ)く。ジュニアが食い下がる。


「3つのお願いが叶ってマモン君に魂を取られたら、どうなるか聞いているのですか?」


「さあね。魂を貰うって言われてるだけよ」


「明日香さん、マモン君に魂を取られたら……」


「おっと、そこまでだジュニア」


 突然、明日香が座るソファーの隣に、マモンが現れた。


「俺の契約相手に変なことを吹き込んでもらったら困るなあ」


 マモンがソファーで足を組みながらニヤリと笑った。ジュニアが真剣な顔でマモンに話し掛ける。


「マモン君、魂を手に入れた後どうなるか、ちゃんと説明をしなきゃ……」


「ちゃんと説明したさ。魂を貰うってな。この点を説明して承諾をもらえれば、天使も介入できない」


「しかし……」


「ジュニアは真面目だなあ。懇切丁寧に説明している悪魔なんて、そうそういないぜ?」


 マモンが優しい笑顔で明日香に囁く。


「さあ、明日香ちゃん。最後のお願いは決まったかな?」


「……して」


「ごめん、もう1回いいかな?」


 明日香の声が聞き取れず、マモンが優しく聞き直した。


 明日香が真美とジュニアを憎しみの目で見つめ、叫んだ。


「この2人をメチャメチャにして!!」


 マモンがヤレヤレといった表情で答える。


「1つ目のお願いと少し被ってるけど……いいよ、分かった」


 マモンが笑いながらジュニアと真美に目を向けた。その直後、ジュニアが隣に座る真美を押し倒した。

続きは明日投稿予定です。

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