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妖異譚 あれが過ぎると申します

あれが過ぎると申します 傀

掲載日:2023/05/22

シリーズ『妖異譚 あれが過ぎると申します』 その廿七




初出:カクヨム https://kakuyomu.jp/my/works/16816452219772069292/episodes/16817330657638445953

  袋徑《ふくろみち》なる傀儡嬪(くゞつひめ)



  ちくとおぢやれや 傀儡嬪(くゞつひめ)

    泣いておぢやるか さてはまた――



烏《からす》の豌豆《ゑんどう》散果《ちりは》てゝ

いげどろ茨《うばら》咲く徑《みち》は

藪《やぶ》くろ深く閉ざゝれし杣人《そま》も通はぬ袋徑《ふくろみち》


藪《やぶ》亦《また》藪《やぶ》の奧も奧 姉と妹《いもと》の癲狂が

二人ながらに住まひする邸《やしき》ありとぞ野衾《もま》の鳴く


圍《かこ》み繁れる槇垣《まきがき》のその蟲喰《むしくひ》の枝《え》の末《うれ》に

漫(すゞ)ろ鈴生(すゞな)る人形《ひとかた》は妹《いもと》の業《わざ》か姉なるか


吊られ朽ちゆく傀儡嬪(くゞつひめ)

皈《かへ》らぬ女中《ひと》の骸《むくろ》にや

泣きの淚の溜息に千載《せんざい》盡《つ》きぬさゝめごと


古《ふ》りてけさめし白絹《しろぎぬ》の曇る顏《かんばせ》苔じみて

昔榮華(えいぐわ)の綾錦《あやにしき》 今は襤褸《らんる》とわゝけたり


垣內見れば破屋《あばらや》は人の氣配も梛《なぎ》の木の

ほとりに立てる祠《ほこら》には

怪しや點《とぼ》る燈明《みあかし》と新しげなる供物《そなへもの》


菝葜《さるかけ》の葉を皿としてか黑《ぐろ》に熟るゝ狗枇杷《いぬびは》の

あるかなきかにあえかなるその實《み》も僅《はつ》かふたつみつ








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