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#63 TS美少女は気難しい魔女の試練を受ける。

お待たせしました。作者は最近あまりにも現実が忙しすぎてユナちゃんのぐうたら生活が恨めしく感じてきます。

「いいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああみいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ!?!?!!?!?!?!???!???!??!?!?!?????、」


 ドンッ!という強い衝撃と共に、視界がぐるんと回り、私は漆黒の穴に吸い込まれる。


 徐々に遠ざかっていく地上の光。そこにスっと顔を出すひとりの女性の影。

 その顔は、さっきと同じように、いや、さっき以上に禍々しいオーラを纏い、面白いおもちゃを見つけた子どものような眼をしながらも、ニンマリと口元を歪めてこちらを見つめてくる。そう、セイラさん。

 私が今落ちている理由。突き落とした張本人。


「聞いてないんですけどおおおおぉぉぉぉおおおおおおおお????!?!??!?!?!????覚えてろよおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!?!?!!?!?!………………」


 私は思わずそう吐き捨てた。こちらからはもう顔が見えないけど、この声は果たして聞こえているのかな?。感情のままに喚いた。


 ……でも、私には魔法がある。あっという間に元の場所まで飛び上がって、あの魔女に文句言ってやるんだ!


「フライ!!!!!!……?フライ!!!!!!っ、うそっ!?!?!?!」


 ちょっと待って、魔法が効かない。


 どうしよう。


 どうする?


 どうもできない。


 魔法が使えない。


 止められない。落ちる。


 魔法が使えない。


 アイデンティティの消滅。


 命の危機。


 迫り来る地面。


 あのとき(転生トラック)と同じ。




 死。




 ……いやだ、いやだいやだいやだっ!!!!


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああっっっっっ!?!?!?



み゛゛゛ッ」

ドスンッッッッ






鈍い音が穴に響いた。

























「いやよく考えたら私の身体って強いから平気なんだったわ」


 数分後。無事トマトスプラッシュを回避した私は、穴の最下部に無傷で立っていた。


 ……いや、普通は死んでるだろうし。流石に何も無かった訳じゃないよ?ものすごい衝撃で吐きかけたし、転生前にトラックが突っ込んできたトラウマが甦ってきて普通にちょっと吐いた。


 あのときは「即死」と言っても実際には数秒くらい感覚あったし。……思い出したくはないが。


 まぁでも、それがあったから私は(ミライ)に強い身体を求めて、それが今無傷でいることに繋がっている訳だから結果オーライってやつ……?


「ステータスオープン」


 そう呟いて、久しぶりに見るステータス画面。

取得スキル一覧がずらっと並ぶ中で、それは一番最初の方にあった。


「強靭な身体」

・例えばトラックに跳ね飛ばされたぐらいなら平気。


 私はその項目の上――とは言ってもホログラムみたいになってるから感触はないんだけど――を指でそっとなぞり……気づく。



「創造魔法」sealed

・想像したものを魔力を消費して創る。


「無尽蔵の魔力」sealed

・魔力が尽きない



 創造魔法と無尽蔵な魔力の項目、そして、それに連なる大規模魔法スキルの多くの文字列が灰色になり、選択できなくなっている。

 そして、なんだか見慣れない文字列がくっついていた。



「封印された……?」



 つまり、使えないってことらしい。

 そしてそれをやったのは、することが出来たのは、ひとりしか思いつかない。



「これが、試練、ってこと……?」


ついさっきまでの会話を振り返りながら、私はもう見えなくなった穴の先を仰ぎ見て、呟いた。




「正解だ「うぇいやぁああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!」」


 またいきなりなにっっっっ!??!?!?!?!?!?!?


 絶叫しながら声のした方を思いっきり勢いをつけて振り返る。


 しかし、そこには誰もいなかった!…………え?


 どういうこと……?もしかして私の幻聴……


「チッ、下を見ろ。下を」


 その言葉に従って、地面をよく見る私。穴の最下部の床は石畳で、壁に発光するコケのようなものが付いている。ただそれも、「ぼんやりとちょっぴり明るい」というくらいで、光源としては頼りない。


 這うようにして少し探すと、そこには不思議な紋様が描かれた厚紙のようなものが落ちていた。こういうの、魔法陣って言うんだっけ?

 拾って、手元でかざす。


「ようやく見つけたか」


「紙が喋ったぁ!?」


「紙が喋るわけあるかバカ。私が遠隔で喋ってるんだよ。……それに書いてあるのは遠くに映像と音声を模写して転送する魔法陣だ」


 なるほど……Z○○mみたいなものなのかな……?WiFiもBluetoothもなくて、これほどまでに距離があり、なおかつ遮蔽物が多い中でこの品質は……正直地球を上回ってる。


 彼女は本当にこの世界の住人なんだよね……?もしそうだとしたら素直に凄いや。

 ……じゃなくて!!!!


「あのっ!!!さっき私死にかけたんですけど!?いきなり突き落とすなんて酷くないですか!?」


 私がそう怒鳴り込むと、セイラさんは心底呆れたような声色で、面倒くさそうに言う。


「いや……だってお前死ななかっただろ?現に今もピンピンしてるじゃないか。落としたのは、その方が手っ取り早いからと、能力を見て大丈夫かと思ったから。もしダメなら、それまでだったってこった」


 いや、いやいやいや……今ので納得できるかって言われたらできないよねぇ?……今、能力を見たって言った?


「ああ見たぞ。バッチリとな」


「そんな、いつ」


「最初に会った時だ。知られなくないのなら秘匿していなかったお前が悪い」


「秘匿……?」


「ったぁ、お前、そんなことも知らないのか……まあいい。今は必要ないからな。


この私の試練、果たしてお前はクリアすることが出来るかな」


 その言葉に私は気圧される。声だけなはずなのに、その覇気は変わらなかった。









「試練について説明してやる。1回しか言わんから、耳の穴かっぽじってよーーーく聞いておくように」


 薄暗い、穴の最下部で、喋る紙を前にして、私は一字一句聞き漏らすまいと神経を研ぎ澄ます。


「基本的には簡単。「出口から脱出せよ」それだけ。」


「それだけ?」


「ああ、それだけだとも。

……最も、この私が作った渾身のダンジョンをそうやすやすクリアされちゃ困るし、遙か先にある出口までの間にはそれなりに強い魔物が跳梁跋扈しているがな」


 うぇ……

 私は顔をしかめる。聞いただけでも大変そうだ。


 そして、最もやばいのは、今私は何故か魔法が使えないことで。


「そうそう。お前の魔法だがな、私の方で封じさせて貰った。あんなん使ってたら試練になりゃしないかんな」


「創造魔法?無尽蔵な魔力?私に言わせりゃそんなの別に珍しくもないさ」


「ミライから謎の光る板で情景を見せられたが、お前の魔法はゴリ押しすぎるんだ。いいか?確かに魔法は想像力だ。だがな、魔法にはもうひとつ欠かせないものがある」



「それは、意思の力だ」



「意志の……力……?」


「「その魔法はこうなるべきだ」「こうならなくてはならない」という力。想像力で形を作り、魔力をぶち込んで、意志の力で確定させる。それが魔法発動のプロセスだ」


「お前の場合、最初の2つは問題ない。が、最後がブレブレだ。だからあのレイとかいう奴の人格の意志の方が強かったから、介入されて、結果を捻じ曲げられた」


「ない、とは言わんさ。だが、甘すぎだ」


「今まではなんとかなってただろうさ。その頭のおかしい魔力量があればな」


「ただしリソースは無限ではない。現にお前、無茶苦茶な魔法打ちすぎて倒れたんだろう?理由はカンタン。コ・ス・パが悪すぎるからだ」


「お前、「なんとなく」「ふわっと」魔法を打ってるだろう?心当たりは……あるようだな。

 確かにイメージは必要だがそのイメージの先、「具体的にどこをどうすることによってどんな魔法の効果が発生し、どのような結果を確定させるか」を明確にイメージすること。そうすることによってはじめて、高効率で燃費の良い魔法を発動することができる」


「そういった点で言えば、「詠唱」も一応ちゃんとした意味があるもんだ。書いてあることをそのまま読めばイメージと確定した結果がついてくるわけだから。まぁそもそも魔力が扱えなかったりとか、想像力と意思がないやつは何を詠唱させてもダメだけどな」


「……っと、話が逸れたか。ってこった。


 だからお前はコスパ良く魔法を使えるようになってもらう。

 そのために意志の力を鍛えてもらう。そのためにこの試練をクリアしてもらう。


 非常に簡潔で単純明快。理論整然としているあぁさすが私だ。理解したか?したな?あ゛?」


 私は首を縦にぶんぶん振る。確認の声が怒気をはらんでいて怖い。


「あとは私は知らん。じゃあな、……あー、そうだった」


「そのへんに箱があるだろ」


「箱……?」


 目を凝らして、探す。すると、空間の端、壁際のところに、なんだか出っ張ってるものを見つけた。


 怪しがりて、寄りてみるに、箱ありけり。


 なにこれ……


「……これのこと、です?」


「よーうやく見つけたか。あとで中を開けろ。武器はその中に一緒に置いてあるから使うなら使え。まぁ安物だから期待はするなよ」


 そう言った彼女は、今度こそ言いたいことを言いきって満足したのか、ふんすと鼻息を鳴らす。


「正直これでもかなり甘くした方だ。自分のダンジョンに死体が転がってるのも寝覚めが悪いだけでお前の為じゃないからな?


じゃあ、あとは私は知らんから、まぁ精々生きるんだな。生きて出られたら続きを教えるさ。


あぁ、そうそう、その紙だが会話の終了後には消滅するから。あばよ」



ボン「ぎゃんっ!?」ッッ


 セイラさんがそういうや否や、手に持っていた紙がいきなり爆ぜて、会話が途切れる。


「あっっつ!?」


 一瞬の閃光と、それから少ししてじゅわりと感じる熱に、私は思わず紙から手を離す。

 

 魔法陣の書かれた紙は燃えながらひらひらと落下していったかと思うと、地面に落ちる前に燃え尽きて消滅してしまった。


 なんともそれらしい演出であることは認めるけど、せめて消滅するのは5秒後にしてよ……。

いつも応援いただきましてありがとうございます。

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