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#61 TS美少女は魔法を更に深めたい。

いつまでも放置してると良くないと思ったので、書ける時にぼちぼち書いて投稿したいと思います。

プロットはあるんだ……時間と能力が足りない……っ!


今話から新章になります。

「はぁ……っ、はぁ……っ……」


 暗い、廃坑道チックなダンジョンの中を、私は「ライト」の魔法で周囲照らしながら、躓かないように足元をよく見て歩いていた。


「あー……また行き止まりだ……」


 私は手に持った手製の地図にマッピングをすると、来た道を引き返す。


 ……この作業ももう何回も繰り返していいかげん慣れちゃったよ。むかし世○樹の迷宮やっておいて本当によかったとおもう。


「次の道は続いてるといいなぁ……」


 ここに来て、いや、連れてこられたって言った方が正しいのかな?……とにかく!そのの数週間。


 ここでの修行(・・)にはようやく慣れてきた(無理やり慣れた)けれど、肝心の帰り道がわからないことには帰りようがない。


 帰りようがなければいつまでもエンドレス修行だ。

 まぁちょっとはなんとかなってきた気がするし、死んじゃうことはないと思うけど、この調子だと数ヶ月ペースを見込むべきかなぁ。うぅ……我が森の家が恋しい……。


 よいしょっ、……と。


 大きくジャンプをして、突起した構造物を乗り越える。トスンという軽い衝撃を、膝で吸収する。


 この動きも、もう慣れてしまった。最初の数日は体力が無さすぎて、歩き回っただけで筋肉痛が酷かったものだ。

 いや、全く運動してなかった訳じゃないんだよ?森の中で散歩をしたりとか、アラン達と冒険したりとかしたし。でもそれは補助魔法でブーストをしてたからで、素の体力はクソザコだった。


 魔法がいつも通り使えたら、魔法ぱわーで「直下掘り」ならぬ「直上掘り」でもして、浮遊魔法で飛んで脱出するのに……。


 ……いやまぁ、それじゃあ修行にならないんだろうけどさ……。


 そんなことを考えるのも既にn十回目。

 どうしようもないことはわかっているけど、愚痴の一つや二つぐらいぶーたれたってバチは当たらないとおもう。


 そもそも、なんで私はこんなことをしてるのか。

 それは、レイと会った日の翌日に遡る―――









「ねぇミライ、私、魔法をもっと深めたいの。魔法教えてー」


「いきなりやってきて唐突だね君は」



 レイに会った次の日、私はミライに会いに神界へとやって来ていた。


「えっと、魔法を深めたい、っていうのはさっきのアレのことかい?

……あれは奇跡的な確率でそうそう起こるものじゃないしそれこそ神の領域だからユナが気にする必要はないよ?」


「うーんまぁそれはそうかもしれないんだけどさ、

……あのときさ、私、何も出来なかったじゃん?それが悔しくてさ……」


 もし、もしもだけど。ミライが来てくれなかったら、私はどうすることも出来ずに、最悪、大切な親友のレイをうしなっていたかもしれない。

 昨日の夜はそんなことを考えてしまって、あまりよく眠れなかった。


「気持ちはわかるけど……」


 ミライはちょっと顔を顰める。

 あ、これ絶対めんどくさいって思ってるやつだ。


「そもそも、なんで僕なんだい……他に適当な人はいるだろう……」


「じゃあ、その「適当な人」を紹介して欲しいんだけど……」


「うん、それぐらいなら全然いいよ!」


「ほんと!?ミライありがとう好き!」


「現金だなぁ……」


 そう言ってやれやれと言った感じに、ミライは手元にあった例のタブレット端末を操作する。

 ちょっとちらっと見ると、「下界MAP」と表示された画面が見えた。そんなのあるんだ。


「えーと、ユナの家ってここだよね?

そしたら、こっちの方角にずっとまっすぐ行った先の高山地帯に一軒家があるから、そこを訪ねてみるといいよ」


 そう言って画面の地図を見せてくるミライ。


 私はそれを目に焼き付けて覚えながら、ミライに問いかける。


「こんなところに人が住んでるの?ミライの知り合い?」


「えーっと、知り合いと言えば知り合いかなぁ。人の身で生まれながら、魔法を極めすぎた結果不老の魔女になった人だよ」


 ほえー…そんな人がいるんだ。……どうやってミライと知り合ったんだろう。ちょっと気になる。


 「名前は……たしかセイラ、と言ったかな?

なんというか……気難しいというか、あまり人と関わらない人なんだけど……まぁ悪い人じゃないよ。

僕の名前を出せばなにかしらはしてくれるんじゃないかな?ほら、僕神だし。不安なら神託もしておくよ」


 神託ってそんなノリでするものなのだろうか。まぁありがたいからお願いするけど。


「ははー。ありがたきしあわせ」


 私が大袈裟に両腕を上下させて崇めるポーズを取ると、ミライも「くるしゅうないくるしゅうない」と応じる。

 ……異世界の神にもこのノリ通じるんだね?びっくりだよ。


 ということで、その日は遅かった(神界では時間の流れが早い)ので、一旦家に帰って寝て翌日。


 手荷物と手土産を持った私は、箒に跨るとその地図にあった場所を目指して飛んで行くのだった。







 家を出てから数時間。

 何度か休憩を挟み、そろそろ箒のえが股の間にくい込んで腰が辛くなってきた頃。


 地図にあったような高山地帯へと突入した。

 四方を山に囲まれて、箒の高度をちょっと上げてもその分地面が近づいてくるような傾斜。

 森林限界をこえているのか木はほとんど見当たらず、代わりにむぎ出しの岩場か高山植物の草原が広がっていた。


「えーっと……たしか……この辺だと思う?」


 そう思って眼下をじっとよく見ていると、もう少し先の方になんとなく家っぽいものが見えたので、その方角を箒を飛ばす。


「あの赤いトンガリ屋根の家かな?メルヘンチックでちょっとかわいいかも」


 残り数百メートルくらいになって、家の色や形がはっきり見えるようになり、そんなことをふと思ったその時だった。


ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ



「えっ、えっ!?なんの音!?」



パシュウゥゥゥゥゥゥゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

シュパアアアァァァゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「えっ、えっ、ええぇぇ!!?!?!?」


 突然けたたましい音が鳴ったかと思うと、赤いトンガリ屋根から轟音と煙と共に、2つの謎の飛翔体が私に向けて迫ってきたえ待ってこれやばいやつじゃんない回避いぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!


「み゛」


 急旋回をした強烈な重力に振り落とされそうになりながらも、何とか体制を立て直す。


「やった!?」


 そう言いながらふと振り返って飛翔体の方を見てみれば、その飛翔体も旋回をして徐々に私の方へと向かってきているところだった。

 フラグは立てるものじゃないね!!!


「なにあれ……なんか赤いから炎球(ファイヤーボール)っぽい……?わからないけどと……とりあえず、「水弾ウォーターバレットっ!」」


 ユナは水を弾丸のようにして発射する水弾ウォーターバレットを飛翔体に向けて放った!

 しかし、効果がなかった!


「うそぉぉぉぉおお!!?!?!?


あっ…氷針(アイスニードル)っっっ!!!」


 ユナは以下略!

 しかし以下略!!!


 えーっとえーっと、こういうときはっ!?!?!?


 私が次の一手を決めあぐねている間にも飛翔体は私の背後に迫ってきていてやばいやばいどうしようとととりあえず防御しようそうしよう!


「た…多重結界……っっ!!!!!!」


 判断が遅れたために飛翔体があまりにも迫ってきていたから回避するのはもう無理だと思って、私は咄嗟にありったけの魔力を込めた結界を身体の周りに纏わせて姿勢を低くする。


 刹那


 飛翔体が爆発した。




ゴゴゴゴゴゴゴ…ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッッッッッ

シュゥゥゥーッ…ボーーーーーーーーーーーーーーーー!ーーーンッッッッッッ


 

ビヨォォォォォォォォォォゥゥゥゥゥゥゥ




「爆発!?」


 結界を貼ったことが功を奏して至近距離で飛翔体が爆発したにも関わらず無傷の私。


 ……そこまでは良かったんだけどあまりにもそっちに夢中だったせいで、私は肝心なことを忘れていた。


 そういえば今私飛んでたんだ。


 そして前をちゃんと見てなかった。


 地面に向かって飛ぶ箒。


 やっべ☆





 ……ズシャアアアアザザザザザザ




「あいったたたたぁ……」



 私は地面に擦るように着陸(墜落)した。

 この美少女ボディはつよつよだからケガはしてないけど、地面に打ったところがじんじんと痛いんだよね……。


 とりあえず、起き上がらないと。なにせ、いきなり攻撃をしてくる相手だ。いざとなったら逃げないと。

 そう思いつつ、服についた土ぼこりを叩きながら立ち上がった、その時だった。






「ふぅーん。お前があいつの言っていたユナってやつか」

謎の新キャラ。

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新作連載始めました!こちらもよろしくお願いします!! TSして女の子になったけどいつでも戻れる僕の日常
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