#60 TS美少女はただ森の家でぐうたらしたい。
ただのんびりぐうたらしてるユナちゃんが見たいとのリクエストを頂いたので、特に何もしない話です。
ちょっとだけ過去に遡ります。
時系列的には47話と48話の間です。
あのスタンピードがあった大冒険から帰ってきて数日。私は今までの分を充電するように、怠惰なぐうたら生活を送っていた。
……いや、だってあんなに伸びるとは思わなかったし。本当ならもっと早く帰ってくる予定だったのだけど。……まぁ最後の方はほぼ寝てただけだし。
暖炉の前のソファーにパジャマのまま寝転がりながら、私はつい数日前までのことを思い出していた。
「楽しかったなぁ……」
普段私の生活はこの家内でほぼ完結し、外に出るとしても魔法で飛んでいく。前にマーシャちゃんとかに会ったりもしたけれど、基本的にいつも1人。
そりゃあ好きなだけ魔法の研究をして、森の中を飛び回って、好きなときに寝て好きなときに起きるぐうたら生活が楽しいといっても、それだけじゃ得られないものがある。
それを、彼らは私に与えてくれたのだ。
この世界ではじめてできた「仲間」。
こんな明らかに異質な私を受け入れてくれて、仲間とする冒険の楽しさやこの世界のことを教えてくれた。
いろんな話をして、笑って、泣いて、ときにはケンカして。協力してモンスターと戦ったり、その処理をしたり。どれも、私ひとりではできなかったこと。
私はなんて恵まれているんだろうか。柄でもなくそんなことを思ってぐらい、彼らとの冒険は私の心に深く刻まれていた。
「いつかまた、会いに行きたいな」
そして願わくばまた、一緒に――――――
後に続く言葉は胸の奥に仕舞い込み、少し冷めてしまった紅茶をすすった。
◇
それからまた数日。
このところ家の外はかなり冷えこみ、しばしば雪も舞うようになった。というかもう少し積もってる。3センチぐらい?
外の気温が低いから降り積もった雪がなかなかとけないんだよね。すでに積もった雪の上に、新しい雪が乗っかってる感じ。
……これ、もしかしてかなり積もるんじゃ……?
こう外が寒いと家に引きこもりたくなるのが人間というもので。
そして家中魔法による暖房で暖かいときたら。
「そりゃぁ動きたくなくなるよね……」
今日も私は暖炉の前のソファーでごろ寝ねする。
それにしても暖炉の前はぽかぽかして気持ちいい……
ねむくなってきちゃうよ……
…………
スー……スー……
◇
「こたつが欲しい」
さらに数日が経って、すっかりここ最近の定位置となった暖炉の前のソファーで溶けていた私はふと思う。
たしかに暖炉はいい。あったかいし、なんかオシャレだし、あったかいし(大事なことなので2回言った)。
炎がゆらゆらと揺らめくところとか、薪がぱちぱちと音をたてるところとか、そのままぼーっと眺めていたら一日終わるし。それはそれでどうなんだろう。
じゃあなんで私がこたつを欲しがったのか。
それは、こたつが欲しいから。
……いやほら、なんかあるじゃん。こたつの魔力みたいなさ。わかるでしょ?わかれ。
私も一応日本人の端くれだったこともあり、冬の暖房器具=こたつが成立するぐらいには馴染み深いのだ。
だが、こたつにはある重大な欠点がある。
いや、でも……
いやいやいや……
でもこたつ……
まてまて……ああああああああああああああ
◇
「創ってしまった」
リビングの奥、暖炉とソファーのあるスペースから少しずれたところに、その物体は鎮座していた。抗えなかったんだよ……。
その物体には毛布らしき布がかかっており、地面にも同様にあたたかそうなふわふわのカーペットが敷いてあった。
正方形の形。座卓の様なシルエットで、布の上には板が敷いてあり、その板の上には籠に入ったみかんが置いてある。
「うん。完全にこたつ」
……朧気な記憶でここまで完璧にできるんだ……。
創造魔法、恐るべし。便利だしありがたく使うけど。
試しに入ってみると、すでに温まったこたつの中はとてつもなく心地がいい。というか溶ける。
「ふわあああああ……」
それは歓喜か幸悦か。
つい変な声が出てしまう。
だって気持ちいいんだもん。
しょうがないよね?
こたつだし。
私は久しぶりのこたつを存分に堪能する。
「こたつむり」なんて言葉があった気がするけど、まさにその言葉の通り、1度入ったら出られない。
それがこたつの魔力であり、欠点なのだ。
こいつは人をだめにする(確信)。
こうして私の定位置が2箇所に増えたのだった。
◇
そんなこんなでぐうたら生活をしていたら、いつの間にかクリスマスは過ぎていたらしい。
まじか。
いいね評価ブクマ励みになります。




