#41 冒険者たちはスタンピードに備え準備する。
お待たせしました。
タイトルが思いつかない件
ノスティとアランが街の中に行っている間、私はずっと門の前で待機して、ユナと一緒に索敵魔法で魔物を見ていた。
私達が街に着いた時には数こそ多かったけどそれだけだったんだけど、それがついさっきから森の魔物の動きが活発になってきたのだ。
ノスティに言うと、それは魔物大暴走の予兆らしい。
「知らせに行かなきゃ……」
そう言って走り出すノスティ。だけど私はそれを止める。
だって明らかにふらついてるし。
「ノスティはさっきから走りっぱなしで疲れてるでしょ?
私が行くわよ。」
「!……あー、確かにボクはちょっと疲れてたかも。じゃあよろしくね」
私が立ち上がって走り出すと、ノスティはその場に座り込んだ。あの様子だとやっぱりかなり疲れてたんだろう。
ノスティって昔から1人で溜め込む悪いところがあるからね。
これから長い戦いになるんだから、少しでも休んでおかないと。特にノスティの遠距離攻撃はすっごく重要なんだから。
私?私はいいの。
だって大規模な戦闘での私の仕事は後方支援が主。
だから前に出て剣で戦うよりも多少は体力の消費少ない。
誰かがやらなくちゃいけないんだから、1番適任な人がやらなくちゃ。
そう思いながら門の下の扉をくぐる。
街の中に入ると、私はギルドに向かってひたすらに走った。
◆
マリンの後ろ姿を見て、ボクはなんだか嬉しく思っていた。
昔からマリンはよく言えば天真爛漫、悪く言えば子供っぽいところがあって、たまにハンスやアランを困らせていた。そんな今までのマリンだったら、自分のことで精一杯、ボクが疲れてることには気づいてなかったと思うし、自分から変わるなんてことも言わないと思う。だからさっき変わるって言ってくれたとき本当に嬉しかったんだ。
周りを見て行動するって意外と難しいからね。
なんだか親みたいな目線になっちゃうんだけど、成長したなぁ……としみじみ感じる。前はもっと子供っぽかったのに、この2週間でなんだか大人になったよう。
それにはやっぱりユナと出会った影響だろう。
ユナから沢山の刺激を受けたことがいい方向に働いてるんじゃないかな、とボクは思っている。
ボクが座りながらそうやっていろいろ考えてると、黄色っぽい液体の入った瓶を持ったユナがこっちに歩いてきた。
「これさっき創った回復ポーションなんだけど、丁度いいしよかったら飲んでみてくれない?」
そう言って差し出すユナから瓶を受け取ると、栓を外して口につける。
コク……コク……
……この味ってなんなんだろう?
「不思議な味だね」
「エナジードリンクの味にしたんだ。翼を授かれるやつ」
「エナジードリンクって?」
「うーんと、私の故郷にある回復ポーションみたいなやつかな」
「へぇー。そんなものがあるんだね。」
「……まぁあれは疲れを誤魔化すだけだから後が怖いんだけどね。あ、この回復ポーションは全く問題ないから!」
そう言ってVサインを作るユナ。
ボクは瓶の中に残っていた液体を全て体の中に流し込む。
すると、じわじわと身体の疲れが消えていくのわかる。
10分もすると完全に疲れは吹き飛んで、過去にないぐらい調子がいい。
ボクがそのことを言うと、アランとハンス、ギースさんも回復ポーションを欲しがる。正確には羨ましがってるだけだったけど、明らかに目が欲しいって言ってたよね。
……あれ、そういえばギースさんが行けば……とも思ったけど、そういえばもうあの人50近いんだったと思い出す。それなら、まぁ仕方ないんじゃないかな。
ユナが3人に回復ポーションを渡すのを見て、そんなにホイホイとあげていて大丈夫なのかな……?と思っていたけど、そこはやっぱりユナだった。
なにか唱えたかと思うと虚空からさっき飲んだのと同じ回復ポーションが4つ出てきて補充される。もういちいち驚いたりはしなくなったけど、やっぱユナってすごいやって思う。
ユナのポーションは男たちにも大好評で、ユナ自身も安心していたようだった。
ボクは起き上がって装備の点検をする。
ユナが作った治癒のポーションも1つ貰って鞄の中に詰めておく。マリンやユナがいれば必要ないかもだけど、一応念の為にね。
ふと空を見上げると太陽は少し傾き始めている。
魔物の動きが活発になってきたことを考えると、夕方ぐらい魔物大暴走が起こるだろう。
もうあまり時間は残っていないだろう。
その中でもボクはボクの準備を万全に整える。
ボクの大切な人を、後ろから護れるように。
◆
「魔物たちが動きはじめました!!」
そう言ってギルドに飛び込んだ私は、ギルマスを見つけて駆け寄った。
「なに!?本当か!」
私はこくりと頷きギルマスに顔を合わせる。
ギルマスは少し苦しげな表情を浮かべると、冒険者の方へと振り返って叫んだ。
「聞いたとおりだ!!30分後までに装備を整えて北門に集まってくれ!!」
それを聞いて一気に動き始めた冒険者達。
そこに、1人の男性冒険者がやってくる。
「ギルマス、さっき言ってたポーションのことなんだが……」
「あぁ、提供してくれる人が見つかってな……北門で……」
ポーションというのはさっきユナが作っていた、いや創っていたやつだろう。私も隣で見ていたし。
……あれでポーションが出来るとか絶対おかしい。まぁユナだから仕方ないけど。
やっぱりユナはすごい。
最初のうちは尊敬する一方で嫉妬もしていたけれど、最近ではしなくなった。なんでかって、ユナが圧倒的すぎるということに気がついたから。どうやったって勝てないと悟ったから。
だから私はこの2週間、ユナの技術を吸収させてもらった。勿論まだまだ全然だけど、幾つかの魔法は完璧に使えるようになったのだ。これがずっと嫉妬したままで、張り合おうとし続けていたなら私はなんの魔法も覚えることは出来なかったと思う。
私が変わることができたからこそ、魔法を使うことが出来るようになったのだと思う。
だから今回の戦いではユナから教わったいくつかの魔法それを使って、怪我をした人を今度はちゃんと助けること。それが私に出来る唯一のことなのだから。
◇
冒険者たちは準備を整えると続々とギルドを出て行く。
みんなの元に戻ろう。
私はギルドを出ると、今度は少し抑え目に走りながらまた門へと向かったのだった。
【ご報告】
・昨日総合評価2000pt達成しましたっ!!!!!皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございます!!
・みかえる様の「TS賢者は今日も逝くっ!」とコラボ(?)することになりました。時期は未定ですがお楽しみに。
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