#04 TS美少女は魔法を創造する。
翌日。
いろいろあって疲れた私はあの後そのままベッドで寝てしまったらしく、起きた時には既に日は高く昇っていた。
……お腹がすいたので、さっきのことはとりあえず後で考えることにしよう。
朝ごはん(というかもうお昼だからブランチかもしれない)に、創造魔法で創ったパンを食べる。
創造魔法で創ったパンは普通に美味しかった。あと何故か焼き立てだった。どこで焼いたのだろうか……?
……創造魔法もいいけど、たまには自炊もしないと本気でダメ人間になるやつだなこれ。
あと、女の子になったからか前世に比べて食べる量が減ってる気がする。手のひらぐらいのパンを全部食べた時点でもうおなかいっぱいだ。
食べることが割と好きなのでちょっと悲しい。
◇
ブランチを食べ終わり、昨夜思い出したことについて考える。
そしてみるみる顔が赤くなってきた。
私の黒歴史、誰かに見られたらマジで人生終わる。
まぁもう1回人生終わってるんだけどねっ!!
つまり、それほどやばいものなのである。
……中身はご想像にお任せします。
問題はこれらをどう処分するかだ。
距離だけじゃなく、世界も違うのだ。
どうにかする方法がまるで分からない。
ん……?待てよ……?
◇
という訳で、魔法を創ります!
「えーっと……魔法創造!××魔法生成!」
「うわっぁ!?」
私が魔法を創造した瞬間、何かがごっそり抜けたような感覚がして、身体が少しだるくなる。
きっとこれが魔力を使ったということなのだろう。手鏡やコートやパンを作った時には何も感じなかったから、
消費魔力が多いと「無尽蔵の魔力」による補充が一瞬遅れるとかたぶんそんな感じなのだろう。知らんけど。
とりあえず魔法創造は成功したらしく、スキル欄に新たなスキルが追加されていた。
◇
名前……no name
種族……人間
性別……女
年齢……15
魔法適性……全属性
称号……「転生者」「不老」
スキル……
「創造魔法」
・想像したものを魔力を消費して創る。
・魔法を作ることも出来る。
「強靭な身体」
・例えばトラックに跳ね飛ばされたぐらいなら平気。
「無尽蔵の魔力」
・魔力が尽きない
「転移」new
・地球と異世界を行き来出来る。
転移場所は任意に選択できるが、自分がよく知っている場所でないといけない。
◇
そう、私が創ったのは地球と異世界を行き来できる魔法、「転移」である。これも異世界系では結構おなじみ?な気がする。
なんにせよこれで地球に行けるようになったのだ。黒歴史を消滅されられる。
私が死んでから既にしばらく時がたっているであろう。
時は、一刻を争う。
「転移!」
シュパ
◇
目を開けると、そこは見慣れた近所の公園の隅の草むらだった。
……家の中にいきなり転移して鉢合わせたりしたらめんどくさいからね。ここなら誰にも見られることはないだろう。
そう思って転移場所にここを指定したが、それは間違ってなかったようだ。
……本当に帰ってきたんだ……
……!?こうしてはいられない早く私の家に行って黒歴史を回収しないと!!
私が草むらから公園の広場に移動すると、そこでは何人かの子供たちが遊んでいた。
そのうちの一人が私に気がついたようで、しばらくじっと見つめてくる。
……ん?なんだろ。まあ?私かわいいですし?
でもあんまりじろじろ見るのもよくないんだy
「ままー!あのおねーさんへんなかっこうしてるー!!」
……
……
!?!?!?
「っつ……転移ぃ!!!」
シュパ
◇
ああああああああぁぁぁ!!!……
そういえば今の私はザ・初期装備的な服の上にコートを羽織っただけだったし、泣き疲れて寝落ちしたんだから目は腫れ髪はボサボサ。
そりゃ変な格好だよなぁ!
失敗した……。
「きゅぅ……」
その後、私は立ち直るまで2時間かかった。