#29 TS美少女と冒険者は昼食を食べる。
村を出た私たちは、街に向かって街道を進んでいた。
まぁ街道って言っても少し均された程度のただの土の道なんだけどね。
私がそれを言うと、一応村から街へ行くから「街(へ行くための)道」という意味で街道と呼ばれているのだとアランが教えてくれた。
……間違っちゃいないけどなんか違う気がする。まあいいや。
とにかく、私たちは街道をトラブルなどなく順調に進んでいた。そう、順調すぎるほどに……。
◇
村を出てから数時間、私たちは川のほとりで小休止していた。冒険者たちは全然平気という顔をしているが、実は私は結構キている。
普段家にひきこもってばかりで、移動も箒に頼ってたから当然と言えば当然だけどね。
私は自分にヒールをかけて回復すると、付与魔法で創った回復バフ付きの飴を舐める。ちなみに今日のは梅味。やっぱ塩分補給は大事だよね。
さっきみんなにも勧めたんだけど、アランとノスティは美味しいとなめていた一方で、マリンはうえぇと出してしまい、ハンスは1粒は舐め切った(最後の方は噛み砕いた)けど、2粒目はいらないと言っていた。
グ〜……
お腹空いたのでふと時計を確認すると、丁度お昼の時間だった。
私はアランたちの元に駆け寄ると、アランに話しかける。
「お昼は食べないの?」
「あぁ、食べたいんだが今用意してると今日中に中継地まで辿り着けなくなりそうだからな……」
なるほど。
というかそれ多分絶対私のせいだよね……?さっきも言ったけど、私は普段家にひきこもってばかりで移動も箒に乗っていたせいで歩き慣れていない。みんなは冒険者なだけあって、流石に歩き慣れている。
私は一応体力女子の平均かそれ以下だと思う。単純な肉体の強さだったらスキル「強靭な肉体」のおかげで群を抜いているけど、それだけなのだ。
例を挙げると、アメフト選手に後ろから突然本気のタックルをされたとしても傷一つ負わずなんともないけど、私がアメフトの試合できるのかと言われたらできない。こんな感じ。
え?昨日はそんなこと無かっただろうって?
だって昨日歩いてきたところは地面の凸凹が激しい道……と言えるかも分からないようなところだったじゃん?そういうところでは体力云々より運動神経が良かったり軽い装備をしている人が有利だったりするのだ。
私は普段からそこそこ森を歩いている上に荷物は全部アイテムボックスに入れているから、むしろいちばん身軽だった。だから昨日はすいすい行けたし、どちらかといえば、重装備のハンスと寝不足のノスティが遅れ気味だった。
今日は平坦な歩きやすい道だから、本当ならもっとスイスイ進むのだろう。それでも、みんなが気を使ってそれとなく私のペースに合わせてくれているのを感じていた。
……それは凄く嬉しいしありがたいけど、それでみんながご飯を食べられなかったり安全な場所で寝られなかったりするのは嫌だ。
「ねぇアラン、すぐに食べられればいいんだよね?」
「あ、あぁ。そうだがなにかあるのか?」
「まぁ見ててよ。創造!!」
私は久しぶりに創造魔法を使うと、あるものを沢山創っていく。
「うおぉ!?なんだそれは!?」
「お?なんだ?メシか?」
「なにそれ!?そんなことってありえるの……?」
「ユナってやっぱおかしいと思う!」
三者三様ならぬ四者四様の反応を見せる冒険者たち。
「さぁ、食べよ?」
私は沢山あって山になっているもののうち1つへと手を伸ばし、包装をむいて口をつける。
「んん〜!美味しい!
のりがパリパリなのが最高なんだよねぇ〜!!」
そう。私が創ったのは何の変哲もない、日本が誇るコンビニのおにぎりだ。
ちなみに味は色々なものを用意しておいた。
私が今食べているのはツナマヨ。やっぱツナマヨは美味い。ツナマヨこそ正義。異論は認める。
「はへへひひほ?」
私がそう言うと、冒険者たちも選び始める。
「なぁユナ?」
「ねぇユナ?」
「なあにどったの?」
「これってどう開けるんだ?」
「これってどうやったら開くの……?」
「あ」
アランとノスティが聞いてくる。
そういえばパッケージは日本語のままだった。それはわからない訳だ。
ちなみにマリンとハンスは諦めたのか海苔がついてない横向きに開けるタイプのおにぎりを既に食べ始めていた。
「えっと、先ずここをこうして……」
そうやって何度か説明するとわかってくれたらしく、先にアランが挑戦する。
「えっと……こうだっけな?えい!」
アランが開けたあとを見ると、途中で破れたのか海苔の1/3ぐらいがフィルムに残ってしまっていた。
それでも、初めてにしてはよくやった方だと思う。
アランは気にせずにそのままひとつ食べ終わると、早速2つ目に手を伸ばしていた。
ノスティはアランに比べてばそれはもう上手にフィルムを剥ぐ。手先が器用なのかただアランがちょっとガサツなのか。
まぁ何はともあれ、無事にできたなら良かったとしよう。
私も2個目のおにぎりを食べるべく、おにぎりの山に手を伸ばし口に……頬張るのは1つ目のおにぎりを食べ終わった2人によって阻止される。
「ユナ、これのやり方教えて!」
「これってどうやってやるんだァ!?」
えぇ……
◇
しばらくしてみんなが食べ終わると、私はゴミを回収する。
「ゴミなんか集めてなにするんだ?」
とアラン。まぁ見てなって。
「消滅!!」
パヒュン…!
「うおっわ!?」
私が魔法を使うと、ゴミを纏めた袋ごと無に消えてなくなる。
この魔法はこの前遊び半分で闇魔法と改変魔法を掛け合わせて創ったものだ。
……実はこれ最初はブラックホールを創ろうとしてて、しかも出来ちゃったんだど、それを使うとあまりにもヤバいことがわかったから改良して対象を消滅させる魔法として登録しておいたものだったりする。
そしてこのゴミ処理方法のいい所は環境を汚さないこと。全部吸い込んで分解して無くなっちゃうから二酸化炭素が発生することもなければ焼跡に炭素が残ることも無い。実にクリーンなのである。
それを言うと、ノスティが同意してくれる。他のみんなはイマイチピンと来なかったのかわかっていない様子。さすがノスティ!
「ありえない……あんな魔法……そもそもあれは魔法と言えるのかしら……?」
ふと横を見ると、マリンが神妙な顔でなにやらブツブツ言っていた。
考えごとかな?
◇
昼食を兼ねた小休止を終えた私たちは、再び街に向けて歩き出す。
とは言ってもほとんど何も変わらない。
強いて言うなら傍にあるのが山肌から川に変わったぐらいだろうか。
しばらく川沿いに街道を進むと、すこに開けたところに出た。
ここまで至って順調!今日はこのまま何も無く終わるのかな?そんなフラグを建築したその時だった。
「ユナッ!!危ないっ!!!!」
みなさんおにぎりは何が好きですか?
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