#03 TS美少女は拠点を創る。
今後の行動方針を決めようと思う。
とりあえずさっき周囲を歩いてみたけど、川を見つけたぐらいであとは森が続いて、特に人の気配はなかった。
うーん。困ったなぁ。
実はもうだいぶ日が傾いてきてて、あと1時間もしないうちに日が暮れてしまうだろう。
そうなると慣れない森で1晩明かすのは厳しい。
そしてどこかに行こうとしても、そもそもどっちに進めばいいのか分からないから動けない。
というか、今の私の格好で人前に出たくない。せめて着替えたい。
……あれ、これ詰んでるくない?
……
!
「いっそのこと、ここに家を創ろうかな。」
今の私には創造魔法という便利なチートがある。これを使えば家ぐらい創れるのでは……?
……やってみよう!
◇
そんな訳で、家を建てようと思う。
最初はテントぐらいのを創造魔法で創ったんだけど、普通に出来たから特に大きさの制限は無いのであろう。これで安心して家が作れる。
ちなみにさっき創ったテントはその辺に放置してある。正直ちょっと邪魔だけど仕方ない。
家を作るにあたって必要なものは、大まかに言えば平らな地面、基礎、柱と壁。うろ覚えだけど、多分そんな感じ。
平らな地面は、森の中に丁度家1件分が建てられるぐらいの草むらがあったからそこを使わせてもらう。
そうしたら創造魔法で作業していく。もし大工さんとかが私の建築を見たら腰を抜かすだろう。
いくら創造魔法を使うと言っても、流石に豆腐建築でいい訳ないから、結構こだわった。細かいところまで作っていたらめちゃめちゃ時間がかかって非常にめんどくさい。
しかし、これも自分のため。そう割りきると、案外スムーズにいった。
いや私、私のこと好きすぎな?ナルシかよ。
◇
日が暮れる頃、家は完成した。
自分でもかなりいい出来だと思う。
イメージ的にはS○Oのキ○トとア○ナの家に近い。
というか、作ってる途中で何となく似てることに気づいてから思いっきり寄せた。0から作るのと何かを参考にすることでは後者の方が圧倒的に楽だからね仕方ないね。
◇
「おーぷんざどあー!」
家はログハウス風の平屋一戸建てにした。今のところ私1人しか使う予定は無いから必要最低限の設備でコンパクトに作った。
ドアを開けるとリビング件ダイニングキッチンがあって、その向こうには寝室とトイレ、お風呂場がある。ちなみにお風呂場は脱衣場まで作ってあるけどまだ未完成だ。
トイレは妥協しない。T○T○製である。
私もとうとう自重しなくなってきた。
……寒いって言うな!チートが悪いんだよ。
そしてこだわりの寝室!
造りとしては非常にコンパクトに纏めているが、1番のこだわりはこのベットである。
「すべすべでふかふかのベッド、いくら汚してもずっと綺麗なやつ生成!」
と言って創ったものである。どうやら常時浄化作用で汚れないようになってるらしい。すげぇ。
さっき試しに寝転がってみたら、もう起き上がろうと思えなくなるぐらい素晴らしい寝心地であった。
我ながらなんて恐ろしいものを作ってしまったんだ……!(歓喜)
もし前世にこのベッドがあったら、相当な意志力がない限り学校に遅刻した……
……もし、あの日に寝坊してたら、私は今も変わらず学校生活を送っていたのかな……
……突然死んじゃったから両親にはなにも恩返し出来なかったなぁ……
……私だってもっといろいろやりたかったのに……!
そう考える始めると、なんだか一気に悲しくなって、なんだか涙が出てくる。感情がぐちゃぐちゃだ。
女の子になったから涙が出やすくなったのかもしれない。
私の涙はベッドに染み込んで、浄化されるのであった。
◇
そして一通り泣いたあと、私はある重大な事実に気がつくのであった。顔から血の気が引いていくのがわかる。
私の黒歴史がそのまま遺ってる
遺品整理
もしかして、ヤバい
……
!?
「…………スマホは、回収して……上から二番目の引き出しのものを全部焼却処分しなきゃ……!!!……でもどうしよう!?どうやって!?!?あああああぁぁっっっ!!」
私はまたもやベッドの上で悶えるのであった。
マジでどうしよう……
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