#23 TS美少女と4人の冒険者たち。
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ありがとうございます!
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マリン視点
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「ハンス!ハンス!!」
私は彼の名前を必死で呼び続ける。
だけど、彼は倒れたまま動かない。
それは、ちょっとした油断だった。
目的地に着いた喜びで、気が緩んでいたのかもしれない―――
◇
ついさっきここに到着した私達は、魔女を訪ねるべく扉をノックした。だけど、いつまで経っても反応はないし、扉には鍵がかかっていた。
多分どこかに出かけてるのだと思って、私とハンスで家の周りにいないか調べてみる事にした。
私たちは、魔女の家の裏に回る。
すると前を歩いていたハンスが突然動きを止めたのだ。
「ハンス……?どうしたの?」
「バチッ」っといったような音が聞こえる。
するとハンスは反り返るようにして倒れてしまう。
えっ?いきなりどうしたのだろう?
そう思ってハンスを見るけど、なんだか意識がない。
意識が、ない。
死
その文字が私の頭を過ぎる。
「ハンス……!?きゃあああああっっ!!」
初めて目の当たりにする仲間の絶望的な状況を見て、恐怖で頭を支配された私は、ただ悲鳴をあげることしか出来なかった。
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アラン視点
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悲鳴のした方へ向かうと、マリンは泣き叫び、その横ではハンスが倒れていた。
ノスティがハンスの診察を始めたので、俺はマリンを落ち着かせると、何があったのかを聞いていく。
しかしマリンから聞いた情報は「歩いてたら突然動かなくなった」ということであった。
丁度ノスティの診察が終わったので聞くと、「生きてはいるけどかなり危険」との事だった。クソッ……どうしてこうなった……!
俺はマリンにヒールをかけるよう促す。
何故いきなり動かなくなったかはわからないけど、とりあえず回復魔法を掛けないと行けない。
現状、うちのパーティーでヒールを使えるのは魔職のマリンだけだ。
マリンは泣きながらも必死でヒールを詠唱する。だけど泣いてるからなかなか上手くいかない。
ようやく発動した魔法も、ハンスを回復させるには至らない。
もはやこれまでか……
そう思った時、彼女は現れた。
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ノスティ視点
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アランと共に悲鳴のして方へ駆けつけると、ハンスが倒れていた。
ボクはハンスを診察する。治療はマリンの担当だけど、こういった場合はおじいちゃんの教えでそこそこの医療知識を持っているボクが担当するのだ。
アランもそこはわかっているようで、向こうでマリンを宥めている。
改めてハンスを見る。
死んではないが、生きているとも言いきれない。
外傷はない。だけど筋肉が硬直している。
これだと一刻も早く回復魔法を掛けないと命が危ないだろう。
全く……なんでこうなってしまったのか。
ボクは天を仰ぐ。
そこには、1本の黒い線が見えた。
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ユナ視点
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私が木陰から出て近寄ると、冒険者たちも私に気づいたようでこちらを振り向く。
「私が診る。どいて?」
そう言うと、さっきヒールをかけていた女の人は1歩下がり、こちらを伺う。
……外傷はほぼなしで、あとは筋肉の硬直と……ん……やけど?
「誰かこの人が倒れた時の状況わかる?」
「えっと……歩いてて、突然動かなくなったと思ったら後ろ向きに……」
「ボクは見てた訳じゃないけど、多分その線が原因じゃないかな……?」
上の線……
あっ!?!?
◇
少し前に私が発電機を作ったことを覚えているだろうか。
私はその時に電線も作っんだけど、「どうせ人なんて私以外来ないだろう」と活線を絶縁しないまま張っていたのである。そして不運なことに、倒れている男は金属製の鎧を着ていた。それが多分線に接触したのだ。
「なんでそんなとこに行くんだよ!」という気持ちもあるけど「誰も来ないと思って安全対策してなかった私も悪い」という気持ちもある。
……とにかくこの人をどうにかしなきゃ行けない。
冒険者達がなんでここに来たのかとか色々聞きたいことはあるけど、仲間が死んだらそれどころじゃ無くなりそうだし、私も人が死んだとこの裏で暮らすのはごめんだ。
さっさと治してしまおう。
◇
多分生命維持だったらハイ・ヒールで事足りる。
だけど感電でここまで酷いと多分脳にもダメージ行ってると思うし、普通に回復しただけじゃ後遺症とか残るだろう。
だから私は、新たな魔法を創ることにした。
「魔法創造!!」
そして出来上がる新しい魔法。
それは、基本的にはハイ・ヒール。そこに改変魔法を組み合わせる。すると、「元々こうだった」というふうに書き換えられるのである。
私はこれで「感電なんかしなかった」という風に事象を書き換えようとしている訳だ。
私はこれをモディファイ・ハイネス・ヒールとした。
……相変わらずのネーミングセンスの酷さだけど、気にしたら負けである。
私は魔法を唱える。
膨大な量の魔力が消費されるのを感じたと同時に、荘厳な光音が鎧の男を包み込んだ。
光が消えると、男は目を開け、立ち上がる。
どうやら魔法は成功したようだ。
これで一安心だね。
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アラン視点
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俺達がどうしようもなくなって途方に暮れかけていた時、彼女は森の中から現れた。
多分彼女が「東の森の魔女」なんだろう。
若い。そう思った。
魔女というのだからもう少し歳をとってるかと思ったけど、うちのパーティーの最年少である17歳のマリンよりも年下に見えた。
彼女は、マリンとノスティから状況を聞くと、何やら焦ったような素振りを見せたあと、一転して何かをぶつぶつ唱え始める。
少しすると、彼女は非常に短い詠唱をして、何かの魔法を唱える。
ありえない。俺はそう思う。
魔法が使えない俺でも、魔法の詠唱というのは長くて複雑なものだと言うことはわかってる。そして詠唱を省略すれば省略するほど効果は減る。それが世間の常識だ。
なのに、今彼女はどれぐらい詠唱した?
たったの1フレーズ。ほぼ無いに等しい。
それなのにハンスを包む荘厳な光音は、魔法が正しく発動していることを告げていた。
◇
光が消え去ると、ハンスがゆっくりと起き上がる。
それを見て、俺達は彼女の魔法が効いたことを理解する。
マリンは既に泣き付いてるし、俺もノスティも冷静を装ってるけど嬉し涙は抑えられなかった。
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ハンス視点
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比喩じゃなく雷に打たれた感覚がして、俺の意識は遠のいた。……身体が動かねぇ。
正直俺はもうダメだと思った。
多分死ぬんだろうなーと思った。
けれど、なんかあったかい光が、俺を引き戻してくれた。そんな気がした。
そして、次に気がついた時には涙でぐしゃぐしゃになったマリンの顔があった。そうか……俺は助かったのか。
俺はマリンを抱きしめる。アランとノスティも、澄ましてるけど明らかに泣いてやがる。
……こっちまで泣いちまうじゃねぇか。
◇
しばらくすると、アランは隅の方で何やら作業をしていた少女に声をかける。
さっき感じた魔法は、マリンが使う魔法ではなかった。
ということは俺はあの子に助けられたのか。
そうなら感謝を伝えなければいけねぇな……。
そう思ってると、アランが戻ってくる。
どうやら家に入るよう言われたらしい。
俺は立ち上がると、アランの後に続くーーー
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ユナ視点
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私が電線に絶縁素材を付ける作業をしていると、冒険者の1人が私に近づいてくる。
「仲間を救ってくれてありがとう。」
彼はそう言うと、頭を下げる。
「家の前で死なれては困るからね。(……まぁ半分ぐらい私にも責任はあるし……)
だけど、人の敷地内を勝手に歩き回るとどんな危険があるか分からないよ?」
私がそう言うと、彼は頭を上げバツの悪そうな顔をする。
そもそも私は彼らに聞きたいことが山ほどあるのだ。
「ここ寒いし、とりあえず入って?
中でいろいろ聞くから。」
「あぁ、わかった。」
彼は仲間たちに伝えに行く。
ちょうど作業も終わったので、私も表に回って鍵を開け、彼等を向かえ入れる準備をするのであった。
ちなみにですがハンスとマリンはデキてます。
アランとノスティも怪しいですが、ノスティのある事情によりお互いあまり踏み込もうとしません。




