表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/113

わかれて

「……(みぎわ)、様……」


 五奇(いつき)が小さく言葉を漏らせば、汀が穏やかに微笑む。そして、話を続けた。


「ありがとう五奇殿。……さて、わしのことはここら辺にしておいてじゃな。退魔師であったはずの藤波(ふじなみ)一族がなぜ、かようなことをし出したのか? それはのう……鬼神(おにがみ)家の存在じゃよ」


 ガタリと鬼神と(ひつぎ)が椅子を揺らしたのがわかった。二人とも真剣な眼差しで汀の言葉を待っている様子だった。ゆっくり頷くと、汀がはっきりと告げた。


「鬼神家という……ある意味最強の()()()()()()()()()()()ことで、藤波一族は退魔師として衰退してのう? そして……」


「愚かにも、二番煎じにしかならんにもかかわらず、実験をし出したということか!」


 椅子から立ち上がり、大声を上げる両我(りょうが)等依(とうい)が空虚な瞳で見つめる。それを煩わしそうに柩が口を開く。

 

「……うるさいわよ、両我。汀様のお話を区切らないでくれない? ……汀様、続けてくださいな」


 そう彼女が言えば、両我が珍しく押し黙る。珍しい光景に思わず灰児(はいじ)が声を発した。


「珍しいな! 柩に負ける両我とは! うむ、よくわからないが、たまには悪くないな! っと失礼した! 続きをどうぞ!」


 そんな光景に微笑む汀に変わり、ルッツが話を続ける。


「さて。汀様からの説明はこれでいいかな? 妖魔と藤波一族については今の説明をもとに調べてみよう。次が……おそらく一番の謎だろう。李殺道(りつーうぇい)と藤波一族だね」


「……そうだな。正直言ってまるでわからん……。そこで提案がある。この三つをそれぞれのチームで受け持つというのはどうだ?」


 齋藤の提案に、ルッツが頷いた。


「そうだね。そうしようか? じゃあ……」


 ****


「俺達は、李殺道と藤波一族の関係について……か」


 里から抜ける道を齋藤の運転する車の中で、五奇が呟いた。その声に反応したのは空飛(あきひ)だった。


「五奇さん、よろしいのでございますか? その、仇の方を追いたいのでは……?」


「はは。正直……あるよ? でもね……俺は……なりたいものが、あったんだ。それは……仇に執着する姿じゃないんだ……。だから……その……」


 歯切れの悪い五奇を珍しく鬼神がフォローした。


「空飛、そこらへんにしとけ。……色々あんだろうよ」


 珍しい気遣いに、五奇が小さく笑った。すると、今までずっと黙っていた等依が口を開いた。


「……空飛ちゃんこそ、玉髄(ぎょくずい)、置いてきちゃってよかったんスか? お友達なんしょ?」


 そう問われた空飛は、少し視線を彷徨わせながら答えた。


「……ああなってしまっては、どうしようもなく……。その、救うためにもまずは敵を知りませんと。はい」


「……そう、っスか」


 微妙な空気に包まれながら、彼らを乗せた車は黒樹(くろき)市内へと入って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ