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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
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集合

 各々ができることを行った結果、藤波(ふじなみ)一族の里に来て一日が経った。

 ようやく落ち着いて話ができると齋藤が言い、Eチームの面々は里の空き家の一つを借りて、それぞれ情報共有を行った。


「……そっか。そういう……ことだったんだね……」


 口を開いたのは五奇(いつき)だ。言葉の節々から、困惑と等依(とうい)鬼神(おにがみ)への言い表せない感情が滲み出ていた。


「……俺様は……」


 言い淀む鬼神に、五奇と等依も口をつぐんでしまう。だが、その空気を破ったのは空飛(あきひ)だった。


「皆様、色々おありだったようでございますが! まずは、玉髄(ぎょくずい)からもっと詳しく話を訊きたく存じますよ、僕は! どうにも……藤波一族だけが絡む問題とは思えないのでございます! はい!」


 憤慨する空飛を見て、齋藤が咳払いをする。


「コホン。とにかく、だ。(みぎわ)様については問題はない。だが、虎雷雅(こらいが)達については救護班が看ているが意識を取り戻す気配がないそうでな? そこも含めて……Aチーム、Cチームと合流して合同会議を開こうと思っている」


 齋藤の言葉に誰も反論しなかった。ただ、五奇が一言呟いた。


「俺達は……知らなすぎる気がします、教官。だから……知りたいです!」


 それを聞いた齋藤が答える。


「そうだな。その心意気やよし! では、早速会議へ赴くぞ!」


 ****


「やほほー。等依ちゃん達も来たねー! 後はAチームだけかにゃ~!」


 等依の姉、琴依(ことえ)が綺麗に並べられた椅子から手を振り五奇達を出迎えた。どうやら、Cチームが一番乗りだったようだ。


(あれ? そういえば、Cチームの教官と祓神(ふつかみ)様はどこにいるんだろう?)


 五奇がそう疑問に思っていると、麗奈(れいな)が座っていた椅子から立ち上がった。


「……そろそろわたくし達の教官と祓神様が到着なされる頃ですわね……。それにしても、Aチームの方々はどうなされたのかしら? 遅刻でして? 傲慢にもほどがあるわ!」


 そう一人怒りながらも、出迎えに行ってしまったらしい。静かになる会議室の中。なお、この部屋は仮設テントを立てたものだ。


 空き家程度なら問題はなさそうと判断したが、大人数が集まれるほどの部屋となるとこの里だと藤波一族本邸しかなく、さすがに危険であるとのことでこうなったのだ。


 しばらくして、由毬(ゆまり)が先頭となってAチームが入って来た。だが、Aチームの祓神、辰智(たつち)がいない。


「お待ちしておりましたでございますが、そちらの祓神様はどうなされたのでございますか?」


 空飛が訊けば、灰児(はいじ)が答えた。


「うむ! 夜明(よあけ)だったな、君は! それが私達も知らないのだ! だが心配しないでほしい! 後程、そちらの祓神様とともに来られるらしいぞ!」


 相変わらずハキハキとしている灰児とは対照的なのが、両我(りょうが)だ。彼はいつものような自信に満ち溢れた感じなく、下を向いて俯いていた。


(そういえば……等依先輩達、蒼主院(そうじゅいん)の人達は……ルッツ先生から聞いたらしいけど。それかな? 等依先輩の様子もずっとおかしいし……)


 ほどなくしてルッツと……黒髪にポニーテールが印象的な女性と、右側が銀色で左側が黒色という特徴的な髪色をした十代くらいの少女、そして麗奈が入って来た。

 黒髪ポニーテールの女性がゆっくりとその場の全員に対して口を開く。


「……自分がCチーム緋雲(あけくも)の担当教官、流名和沙(るなかずさ)。隣におられるのが祓神、射離薙(いりなぎ)様。諸君、よろしく」


 短い挨拶を終えると、いよいよ会議が始まった。

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