衝撃の事実
空飛の言葉を受けて口を開いたのは琴依だった。
「そりゃー兄弟に決まってるっしょ? あ、ちな。ワタシちゃんと等依ちゃんがおんなじおかーさまからで、両我ちゃんと大兄様はそれぞれ別のおかーさまね? いわゆる腹違いってやつ?」
衝撃の事実に、空飛が大声を上げて驚いた。その声で五奇がピクリと動いたのがわかったのか、ルッツが話を強引に戻す。
「……僕は五奇君の師匠だからね。責任は取るさ……」
いつになく真剣な声色のルッツに、等依は大人しく引き下がることにしたようだった。それを確認すると、ルッツは未だ眠っている五奇を連れてどこかへと行ってしまった。
その背を見送ったのと同時に、灰児、輝也、緋雲の残りの三人が合流して来た。
等依の様子を見て声をかけたのは……麗奈だった。
「ちょっと? 何かもめ事でして? というか、蒼主院の殿方達? 随分と顔色がすぐれないこと! こちらまで辛気臭くなってしまいますわ!」
「無礼な! Cチームのくせに!」
両我の言葉に、麗奈が顔を真っ赤にして怒り出した。
「なんですって!? これだから蒼主院は! 支配的! 高圧的! 憎たらしいったらありませんわ!」
彼女の言い分に今度は両我が険しい顔になる。
「お前こそ、何者だ! 蒼主院を悪く言うことは許さんぞ!」
「あら? わたくしのことをご存じなくて? わたくしは天大路。天大路麗奈でしてよ!」
彼女の名前に等依が神妙な顔をする。横にいた琴依が嬉しそうな声色で口を開いた。
「そーなんよ~! 等依ちゃんとワタシちゃんの従姉なんだよ~! ビックリっしょ!」
「驚いたけど……マジかー……」
等依が頭を掻くのを見て、空飛が不思議そうな顔をする。微妙な空気の中で、美珠が咳払いをした。
「そろそろわっち達の紹介もするべきでは? わっちは倭耶美珠でありんす。そして、隣にいるのが甲斐雅姫でありんす」
微妙な廓言葉を使う美珠に対し、空飛が指摘する。
「その、へ……独特な口調でございますね。はい」
「……それを貴様が言うのか?」
ずっとやりとりを見守っていた齋藤が口を開いた。空飛は不思議そうに首を傾げる。その様子を見て、齋藤がため息を吐く。
「まぁいい。五十土五奇と鬼神乙女は奴らに任せるとして、だ。どうする? この里を調べてみるか? 何か残っているとは考えにくいがな」
藤波一族の様子から、李殺道にもあの妖魔達についても手掛かりが残っているとは考えにくかった。そんな空気の中、口を開いたのは麗奈だった。
「調べるだけ調べてみては? わたくし、知っておりますのよ。……傲慢な連中ほど、穴がありましてよ……」
彼女のその声色にはどこか怒りが含まれていた。




