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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
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合流と

「ちぃ! (わたし)の活躍なしではやはり逃がすか! なぜ我を参戦させなかった!?」


 齋藤、由毬(ゆまり)とともに待機していたらしい両我(りょうが)が合流した途端、開口一番怒りを見せれば、気を失っている五奇(いつき)を抱えたルッツが苦笑いを浮かべながら答えた。


「君は蒼主院(そうじゅいん)家の次期当主だからね。なにかあったら、その……困るだろう?」


 言いにくそうに告げるルッツに、両我の顔色が困ったような表情に変わる。


「それは、そうですが……。いえ、貴方様がそうおっしゃるなら納得します!」


 ルッツの言うことを素直に訊く両我を見つめながら、等依(とうい)黒曜(こくよう)の変身を解いた空飛(あきひ)に声をかける。


「……空飛ちゃん、記憶とかもろもろどーなん?」


「なんとか大丈夫でございます。はい! やはり、サーシャの力を取り込んだのが大きいようでございますね!」


 今彼らがいるのは藤波(ふじなみ)一族の里の中心にある広場だ。虎雷雅(こらいが)達を保護した緋雲(あけくも)の四人と灰児(はいじ)、そして(みぎわ)様を助け出した輝也(てるや)はトクタイの救護班と話している最中だ。

 そんなやりとりをしていると、鬼神(おにがみ)(ひつぎ)が無言で由毬に近寄っていく。その表情はすぐれない。二人の様子になにかを察したらしい由毬がゆっくりと煙管(きせる)にくちづけながら尋ねる。


「乙女、柩。話がしたいのでしょう? ここではアレだし……ちょっと場所を移しましょうかぁ?」


「わかったわ、由毬姉様。乙女も文句ないわね?」


 由毬と柩。二人からの視線を受けて乙女は舌打ちをすると、無言でうなずいた。それを確認すると、由毬主導で柩と鬼神は移動して行った。


 その背を見送りながら、ルッツが五奇を抱えたまま齋藤に向かって声をかける。


「……五奇君を借りるよ?」


 その言葉に反応したのは等依だ。珍しく怒っているようで、その目つきは鋭くルッツを睨みつける。


「なにをする気なんだ? いや、そもそも……五奇ちゃんになにかしていたのか? もし、もしそうなら……!」


 今にも怒りをぶつけそうな等依に、空飛がこれまた珍しく慌てる。だが、それを制止したのは両我だった。


「落ち着くのだ等依よ! このお方を……大兄様(おおにいさま)を信用していないのか!?」


「そうだと言ったら? お前が次期当主になったのだって……元を辿ればこの男がやらかしたからだろう!」


 いつもの等依でないのは明らかだが、それを止められる者はいない……と思われたその時だった。


「まーまー等依ちゃん? 熱くならない、ならない~! ワタシちゃんとそっくりな美人顔が台無しだよ?」


 張り詰めた空気の中で、ゆったりとした声が響く。振り返れば救護班に虎雷雅達を引き渡し終えたのだろう、緋雲の四人のうちの一人、琴依(ことえ)がいた。彼女を見て、等依の表情が今度は困ったような顔に変わる。


「琴依()()()……。だけど……」


 納得いかなそうに口ごもる等依の様子を見て、いよいよ耐え切れなくなった空飛が大声を上げる。


「あの! 皆様は一体どんな関係なのでございましょうか!?」

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