合流と
「ちぃ! 我の活躍なしではやはり逃がすか! なぜ我を参戦させなかった!?」
齋藤、由毬とともに待機していたらしい両我が合流した途端、開口一番怒りを見せれば、気を失っている五奇を抱えたルッツが苦笑いを浮かべながら答えた。
「君は蒼主院家の次期当主だからね。なにかあったら、その……困るだろう?」
言いにくそうに告げるルッツに、両我の顔色が困ったような表情に変わる。
「それは、そうですが……。いえ、貴方様がそうおっしゃるなら納得します!」
ルッツの言うことを素直に訊く両我を見つめながら、等依が黒曜の変身を解いた空飛に声をかける。
「……空飛ちゃん、記憶とかもろもろどーなん?」
「なんとか大丈夫でございます。はい! やはり、サーシャの力を取り込んだのが大きいようでございますね!」
今彼らがいるのは藤波一族の里の中心にある広場だ。虎雷雅達を保護した緋雲の四人と灰児、そして汀様を助け出した輝也はトクタイの救護班と話している最中だ。
そんなやりとりをしていると、鬼神と柩が無言で由毬に近寄っていく。その表情はすぐれない。二人の様子になにかを察したらしい由毬がゆっくりと煙管にくちづけながら尋ねる。
「乙女、柩。話がしたいのでしょう? ここではアレだし……ちょっと場所を移しましょうかぁ?」
「わかったわ、由毬姉様。乙女も文句ないわね?」
由毬と柩。二人からの視線を受けて乙女は舌打ちをすると、無言でうなずいた。それを確認すると、由毬主導で柩と鬼神は移動して行った。
その背を見送りながら、ルッツが五奇を抱えたまま齋藤に向かって声をかける。
「……五奇君を借りるよ?」
その言葉に反応したのは等依だ。珍しく怒っているようで、その目つきは鋭くルッツを睨みつける。
「なにをする気なんだ? いや、そもそも……五奇ちゃんになにかしていたのか? もし、もしそうなら……!」
今にも怒りをぶつけそうな等依に、空飛がこれまた珍しく慌てる。だが、それを制止したのは両我だった。
「落ち着くのだ等依よ! このお方を……大兄様を信用していないのか!?」
「そうだと言ったら? お前が次期当主になったのだって……元を辿ればこの男がやらかしたからだろう!」
いつもの等依でないのは明らかだが、それを止められる者はいない……と思われたその時だった。
「まーまー等依ちゃん? 熱くならない、ならない~! ワタシちゃんとそっくりな美人顔が台無しだよ?」
張り詰めた空気の中で、ゆったりとした声が響く。振り返れば救護班に虎雷雅達を引き渡し終えたのだろう、緋雲の四人のうちの一人、琴依がいた。彼女を見て、等依の表情が今度は困ったような顔に変わる。
「琴依姉さん……。だけど……」
納得いかなそうに口ごもる等依の様子を見て、いよいよ耐え切れなくなった空飛が大声を上げる。
「あの! 皆様は一体どんな関係なのでございましょうか!?」




