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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
75/113

関係

「我々の悲願を、ここに! 弥隼(みはや)阿龍(ありゅう)凰駿(おうしゅん)! これ以上の犠牲を出さないためにも、ここで殺すぞ!」


 虎雷雅(こらいが)の声に応えるように、彼らが呼び出した妖魔達が融合して行く。その姿は巨人そのもので、鬼神(おにがみ)は思わず圧倒された。


「な、なんだよ! てめぇらマジでよぉ! 俺様となんの関係があるんだ!?」


 彼女の声に対し、先程から黙っていた黒曜(こくよう)が口を開く。


「なるほど、な」


「あぁ!? なんだ急によ?」


 鬼神が尋ねれば、黒曜は深く息を吐いて頭を小さく左右に振り、呆れたような声を出した。


「全く。人の業が深いとは良く言ったものよのう。はぁ……」


「あ!?」


 鬼神の不機嫌そうな声色にも臆することなく、黒曜が今にも襲って来ようとしている複合体の妖魔達を操る虎雷雅達に向かって声を発した。


「聞くがいい! 貴様らは、()()()()()()()()()宿()()()()()()()()()()()()? さしずめ、強大かつ操りやすい妖魔を扱えることと引き換えに、人間としての器を喪失していくと見た! 違うか?」


 黒曜の言葉に虎雷雅が反応を返す。その声は震えていた。


「そうだと言ったら、どうする? 助けてくれるのか? この、人間ではなくなる恐怖から! ()()()()()()()()()()()()()()()()()!」


 虎雷雅の怒りを込めた咆哮を合図に、巨人と化した融合妖魔が黒曜と鬼神に襲いかかる。右手を振りかざし、二人を圧し潰そうとする。その時だった。


「やらせないわ。……奥義(おうぎ)阿修羅光輪斬(あしゅらこうりんざん)


 鬼神と黒曜の横をすり抜けて無偶羅将鬼(むぐうらしょうき)が現れ、光の輪が周囲に広がり巨人妖魔の右手に触れた途端、爆ぜた。


「新手だと!? いや、そうか……お前達は、()()()!」


「やっと表情が変わったな、虎野郎! ああそうだ! 俺様達……Eチームは全員、陽動だ!」


 得意げに口元を歪ませる鬼神の元に、(ひつぎ)がやってきて呆れたような声を出す。


「乙女? 作戦を早々とバラすのはよくないわ? まぁ、もうしょうがないけれど」


「んだよ、柩! 来たのはてめぇらだけじゃねーんだから、いーだろうが!」


 鬼神の言葉に、ずっと虎雷雅の言いなりだった隼の目をした女、弥隼が口を開いた。


「来たのは……まさか。蒼主院(そうじゅいん)の者達、総出!?」


 彼女の声と重なるように、猛々しい少年の声が響き渡る。


「うむ! Eチームの健闘のおかげだな! では、参ろうか! 私の名は愛原灰児(あいはらはいじ)! 退魔師である!!」


 妖魔剣ゼルギウスを手に、灰児が突入してくる。その後ろに続くように現れたのは、四人の女性達だった。


「AチームとEチームにだけ、いい顔はさせませんわ? わたくし達、Cチームもとい"緋雲(あけくも)"も参上しましてよ?」


 薄い金髪を縦ロールにした二十代くらいの女性が鉄扇を口元に近づけ怪しく微笑みながら、高らかに笑った。

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