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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
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想いと思い

藤波(ふじなみ)家だぁ? んなもん聞いたことねーぞ?」


 鬼神(おにがみ)が訝しげにそう言えば、等依(とうい)が顔を伏せながら続ける。


「……あんま詳しいわけじゃないっスけど、かなりやばいってのは聞いたことがあるっス。ただ……鬼神ちゃんの"鬼憑き"と、アイツらの妖魔がどう繋がってんのかまではわかんねースけど」


「では……(みぎわ)様は、その藤波家にいらっしゃるということでございましょうか?」


 空飛(あきひ)が訊けば、等依は「おそらく」と小さく答えた。それを受けて、五奇(いつき)が口を開く。


「……等依先輩。藤波家の場所、わかりますか?」


「……五奇ちゃん、行く気なんしょ? でもめっちゃ危険スよ? 教官に訊かなくていーんスか?」


 等依の言葉に、五奇は力を込めて言い返す。


「だけど! 嫌なんだ! 助けられるかもしれないのに、そこに手を伸ばさないなんて! 俺は! 俺は!! もう失いたくないんだよ!!」


 五奇の必死さに、鬼神が頬をかきながら言う。


「ったくしょうがねーな、ウチのリーダー様はよぉ。ま、確かに俺様も引っかかってるしな……」


 彼女の言葉に、空飛も続く。


「そうでございますね。気になることもたくさんありますし……。はい」


 そう言って二人は五奇の近くに寄る。それを受けて、


「二人とも! ありがとう!」


 五奇がそうお礼を言えば、黙っていた等依も口を開く。


「しゃーないっス……んじゃま、行くっスかね! 藤波家に!」


「等依先輩……。はい、行きましょう! みんなで!」


 四人は頷き合うと、等依の案内で藤波家がある場所を目指し、動き出した。


 ****


「して? 数は四匹で……そのうちの一匹が鬼憑きで、一匹が蒼主院(そうじゅいん)とな?」


 報告を聞いてどこか嬉しそうな相手の様子に、虎雷雅(こらいが)は思わず唇を噛みしめる。


「……本当、なんだろうな。アイツらを倒したら……」


 絞り出すような彼の声色に、その相手はただ愉しげに、


「あぁもちろん。叶えてやるとも? ただし、倒すのではないな。()()()()()


「……わかった」


 やりとりを終えると、虎雷雅は退室する。その背を見送りながら、()()は笑う。


「ふむ。やはりたまらぬな……ゾクゾクしてきたわい」


「悪趣味ー。そんなんだから、モテないんだよ♪」


 突如として現れた声の主に向かって言葉をかける。


「お主か。何用か?」


「ん~? あのねー? 一つだけ。……あの中の一匹はボクのだ・よ?」


 威嚇するようにそれだけ告げると、()()()()()()()()()()は姿を消した。


「……悪趣味なのはどちらであろうな……?」


 やれやれと言いながら、彼も準備を始めるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは...五希くん、ピンチフラグ...!
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