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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
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似て非なる

 白い虎の威圧する声色に、五奇(いつき)達は警戒心を上げる。


「……そうか。そういう答えか」


 そう呟くと、白い虎は飛び上がり五奇めがけて蹴りをいれようとしてきた。慌てて回避すると、空飛(あきひ)百戦獄鬼(ひゃくせんごくき)が白い虎に向かって行く。


阿龍(ありゅう)弥隼(みはや)凰駿(おうしゅん)!」


 白い虎が何かを呼んだ。そのタイミングで、等依(とうい)が珍しく叫ぶ。


「ちょい! みんな! なんかやばい気配するっス!!」


 だが、むなしくも周囲にはすでに三人の黒いローブに仮面を着けた者達がいた。その中の一人が声を発する。


「本当にやるのね? 虎雷雅(こらいが)


 声の主は女のようだった。その声に白い虎……虎雷雅は一言「そうだ」と答えると、咆哮を上げた。それを合図に、黒いローブの三人と虎雷雅が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「な、なにが起こるのでございましょうか!?」


「うろたえんな空飛! 全員ぶっ倒せばいいんだからよ!!」


 鬼神(おにがみ)がそう言ったと同時に、虎雷雅と黒いローブの三人の身体から何かが現れた。


「……はっ?」


 思わず間抜けな声が五奇の口から漏れる。等依、空飛、鬼神も驚き、唖然としてしまった。

 そこにいたのは二メトール超の龍、虎、鳳凰、隼の姿をした妖魔。

 形こそ違えど、その様はまるで"鬼憑き"のようで。


「お主らよ、動揺しておる場合じゃないであろう! 逃げねば死んでしまうぞ!」


 汀の声で、五奇達は動き出す。まず、等依が火雀応鬼(かがらのおうき)氷鶫轟鬼(ひとうのごうき)を呼び出し、結界を張る。そこへ更に、


封呪文(ふうじゅもん)改変解放! 土の退魔術式つちのたいまじゅつしき肆銘(しめい)円盾(えんしゅん)!」


 五奇が防御技である円盾を繰り出し、重ねた。


「なるほど? それで我々の攻撃を防ごうというか。いいだろう、どこまで耐えられるか、見せてみろ! 蒼主院(そうじゅいん)の手先どもよ!」


 虎雷雅達が呼び出した妖魔達が一斉に襲いかかって来る。それを防ぎながら、


「どーするっスか? オレちゃんの技、これだーとあんま持たないかも……」


 等依の言葉に、五奇も続く。


「俺のも、無理して使っているから……耐久は、キツイ!」


 そんな二人の様子に、鬼神と空飛が顔を見合わせ、頷き合う。


「では、彼らの攻撃の隙が生まれた瞬間に、僕達が道を切り開きましょう!」


「俺様の百鬼(びゃっき)の力で、ぶっ飛ばしてやるぜ……!」


 戦闘体勢に入った二人を、汀が止めた。


「待つのじゃ。隙などおそらく出ないであろうよ」


 彼の言葉に鬼神が食って掛かる。


「はぁ!? じゃあどうしろってんだよ! このままじゃ死んじまうんだろうが!」


「わかっておるとも。故に……われに任されよ」


 静かに、だが、どこか覚悟を決めた声色で、汀はそう言った。

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