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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
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遭遇

「えっ? 空飛(あきひ)君わかるのか?」


 五奇(いつき)が訊けば、空飛が頷く。


「はい、ほんのわずかでございますが……。これで、なにかできないでございましょうかね?」


 五奇、等依(とうい)鬼神(おにがみ)に話を振れば、三人は困惑したまらず鬼神が、


「俺様に振るんじゃねーよ」


 そう答えた時だった。一緒に来ていた(みぎわ)が口を開く。


「ふむ。これであれば、われが役に立てそうじゃのう」


「汀様が!?」


 五奇が驚けば、汀は微笑み、


「うぬ。気配を追うことならできるじゃろうて。……ついでに、山岳地帯にも行ってみても良いかもしれんのう。より濃く妖力を検知できるかもしれぬ」


 ****


 等依の運転する車で、李殺道(りつーうぇい)と二度目に出会った山岳地帯の洞窟前までやってきた四人と一柱は、ゆっくりと中へと入って行く。


「時に。空飛ちゃんさー、ホラーゲームでこーいう展開の時って、何が起こるんが定番なん?」


 場所が場所なだけだからか、等依がそんなことを空飛に訊く。


「そうでございますね……。オーソドックスなのは……」


「おい、んな話するんじゃねーよ!」


 会話に割って入る鬼神に、五奇は苦笑した。


(本当に、苦手なんだな……)


「ふむ。仲が良いことは美しきかな、その縁、忘れるでないぞ?」


「汀様にそう言われると、不思議な感じですね」


 五奇がそう言うと、汀は優しく、


「ふふ、辰智(たつち)様よりは神格は低いがのう。一応神様じゃからな? ……さて、ここかのう?」


 気づけば、現場に辿り着いていた。ここは人が滅多に立ち入らないからか、あの時のまま放置されているようだった。

 汀が戦闘があったであろう箇所を見てまわる。時々、地面などに触れては、目を閉じる。それを何度か繰り返すと、彼はゆっくりと、邪魔にならないようにしていた五奇達のそばにやって来て、


「これくらいかのう。李殺道だったかの? そやつの妖力を集めてみたのじゃ。これで辿りやすくなったのではないかの?」


 そう告げると、五奇に河川敷で見つけた刃の欠片を渡してきた。思わず受け取りながら、


「えっ? 俺にですか?」


 戸惑いの声を上げれば、汀は頷き、


「お主、りーだーじゃろう? なれば、先導するが五奇殿のお役目であろうよ」


「そ、そう言われると反論できませんね。わかりました、これは俺が責任を持って預かります」


 そう言って五奇が刃の欠片をしまおうとした瞬間だった。鋭い視線と殺気を感じて、五人は崩落した洞窟の上を見上げる。そこには、


「なっ!? し、白い虎!?」


 下半身にジーンズを履き、左前足だけ不自然に布を着けた白い虎が、二足歩行で立ってこちらを見下ろしていた。


「妖魔か!? てめぇなんだおら!」


 鬼神が威嚇しながら百戦獄鬼を呼び出せば、その白い虎が野太い声で言う。


「それをよこせ。……命が惜しければな」

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