痕跡を追え
Aチームとの合同作戦から三日後。
五奇達、Eチームに新たな任務が齋藤より言い渡された。
「今回課せられた任務は、『李殺道の痕跡を探せ』だ。異論は認めん」
その言葉に五奇が思わず声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってください教官! それは……Aチームの任務だったんじゃ……?」
「あぁその事か。Aチームは別任務を与えられ遂行中だ。他のチームもな? わかったらさっさとかかれ!」
齋藤の言葉に五奇が困惑をあらわにすると、鬼神が食ってかかった。
「指示雑過ぎんだろ……。せめて資料とかねぇのかよ!」
「あったら苦労はせん。それに、奴と最初に接触したのは貴様らだ。対峙したのもな? そこから何か得られるものもあるだろうよ」
「……そんなものなのでございましょうか……?」
思わず呟く空飛に、等依が声をかける。
「まぁ、空飛ちゃん気絶してたっスからねー」
「うっ! それを言われてしまいますと、はい」
そんな二人のやりとりを相変わらずいつの間にいたのか、汀が微笑みながら見つめていた。
「って汀様!? いつの間にいらしたのでございますか!?」
驚く空飛に、汀が優しい声色で語りかける。
「なに、今回の任務はわれも現地に行こうと思うてのう」
その言葉にEチームの全員が驚き、視線が一気に汀に集まった。
「みなの者、よろしくじゃぞ?」
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まず向かったのは、最初に李殺道と出会った河川敷だ。今は夕方だが、人気がない。
(ここまで静かだと、あの戦いがあった場所とは思えないな……)
五奇がそう思っていると、鬼神が近くに寄ってきた。
「おい、五奇。なんか思い出すことかねーのかよ? いっちゃん最初に接触したのはてめぇだろ?」
「そう言われてもなぁ……。俺も咄嗟だったし、記憶がだいぶ曖昧だよ……」
五奇が答えれば、彼女は少し考えた素振りをした後、等依の方に視線をやる。
「おい、等依! てめぇの簡易式神でなんとかなんねーのかよ?」
声をかけられた等依は少し困った顔をし、
「うーん、ワンチャン? まぁでも、おちこぼれなんで……あんま期待しないでほしーっスね」
「いいからやれや」
「はいは~い、そんじゃ式神ちゃん達をっと……」
折り紙で出来た簡易式神達を飛ばし、周囲を縦横無尽に動き回る。
「あの、これは一体何をしているのでございましょうか?」
空飛が訊けば、等依が答える。
「あの李殺道? のなんか力ってーの? そーいうのから辿れないかなーなんて?」
「なるほどでございます。さすが等依さんでございますね!」
空飛が褒めれば等依は苦笑をしながら、
「……そんなことないっスよ……。ってうん?」
式神の数体が、河川敷の端に集まっていた。不思議に思いながら、四人はそこに向かって行く。
「ん? これは……刃の欠片?」
五奇が拾い上げれば、空飛が反応する。
「これ、妖力が残留している気がするでございますよ?」




