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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第三章 恐るべき一族編
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痕跡を追え

 Aチームとの合同作戦から三日後。

 五奇(いつき)達、Eチームに新たな任務が齋藤より言い渡された。


「今回課せられた任務は、『李殺道(りつーうぇい)の痕跡を探せ』だ。異論は認めん」


 その言葉に五奇が思わず声を上げる。


「ちょ、ちょっと待ってください教官! それは……Aチームの任務だったんじゃ……?」


「あぁその事か。Aチームは別任務を与えられ遂行中だ。他のチームもな? わかったらさっさとかかれ!」


 齋藤の言葉に五奇が困惑をあらわにすると、鬼神(おにがみ)が食ってかかった。


「指示雑過ぎんだろ……。せめて資料とかねぇのかよ!」


「あったら苦労はせん。それに、奴と最初に接触したのは貴様らだ。対峙したのもな? そこから何か得られるものもあるだろうよ」


「……そんなものなのでございましょうか……?」


 思わず呟く空飛(あきひ)に、等依(とうい)が声をかける。


「まぁ、空飛ちゃん気絶してたっスからねー」


「うっ! それを言われてしまいますと、はい」


 そんな二人のやりとりを相変わらずいつの間にいたのか、(みぎわ)が微笑みながら見つめていた。


「って汀様!? いつの間にいらしたのでございますか!?」


 驚く空飛に、汀が優しい声色で語りかける。


「なに、今回の任務はわれも現地に行こうと思うてのう」


 その言葉にEチームの全員が驚き、視線が一気に汀に集まった。


「みなの者、よろしくじゃぞ?」


 ****


 まず向かったのは、最初に李殺道と出会った河川敷だ。今は夕方だが、人気(ひとけ)がない。


(ここまで静かだと、あの戦いがあった場所とは思えないな……)


 五奇がそう思っていると、鬼神が近くに寄ってきた。


「おい、五奇。なんか思い出すことかねーのかよ? いっちゃん最初に接触したのはてめぇだろ?」


「そう言われてもなぁ……。俺も咄嗟だったし、記憶がだいぶ曖昧だよ……」


 五奇が答えれば、彼女は少し考えた素振りをした後、等依の方に視線をやる。


「おい、等依! てめぇの簡易式神でなんとかなんねーのかよ?」


 声をかけられた等依は少し困った顔をし、


「うーん、ワンチャン? まぁでも、おちこぼれなんで……あんま期待しないでほしーっスね」


「いいからやれや」


「はいは~い、そんじゃ式神ちゃん達をっと……」


 折り紙で出来た簡易式神達を飛ばし、周囲を縦横無尽に動き回る。


「あの、これは一体何をしているのでございましょうか?」


 空飛が訊けば、等依が答える。


「あの李殺道? のなんか力ってーの? そーいうのから辿れないかなーなんて?」


「なるほどでございます。さすが等依さんでございますね!」


 空飛が褒めれば等依は苦笑をしながら、


「……そんなことないっスよ……。ってうん?」


 式神の数体が、河川敷の端に集まっていた。不思議に思いながら、四人はそこに向かって行く。


「ん? これは……刃の欠片?」


 五奇が拾い上げれば、空飛が反応する。


「これ、()()()()()()()()()気がするでございますよ?」

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