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一時の静寂

 人造妖魔達を各自倒し終わった混合チームの面々は、元の地点に戻ってきた。


「おかえり。みんな、良い経験ができたかな?」


 相変わらずの穏やかな口調のルッツに対し、灰児(はいじ)が答える。


「とても良い経験が詰めましたぞ! この機会を頂き、感謝します!」


「そうかい、それはなによりさ。他のみんなはどうだったかな?」


 そう話を振られれば、五奇(いつき)空飛(あきひ)は互いに困ったように顔を見合わせ、両我(りょうが)(ひつぎ)は互いから距離を取っていた。

 それを見て鬼神(おにがみ)等依(とうい)は複雑そうな顔をし、唯一、輝也(てるや)だけが無表情にルッツを見つめていた。


 そんな彼らを見て、ルッツが優しく声をかける。


「うん、大体わかったよ。じゃあ、みんな、解散と行こうか?」


 こうして、各チームは別々の車に乗り込む。すると、由毬(ゆまり)が鬼神に声をかけてきた。


「乙女。たまにはお父様やお母様に連絡いれなさいなぁ?」


「うるせーな! わかってるっつの!」


 反抗的ながらも素直に答える鬼神の姿に五奇は、


(姉妹か……俺は一人っ子だから、そういうの憧れるな……)


 ぼんやりと思った時だった。両我が車の窓を開け、大声で叫ぶ。


「おい! Eチームの者どもよ! 今回の借りは必ず返すからな! この(わたし)のプライドに賭けて! 特に、田舎者二人と等依はな!!」


「……あっそ。だからなんスか……」


 等依は車の窓をあっさりと閉め、まだ何か言っているのであろう両我を無視する。それを見て、五奇は珍しく隣の席に座っていた鬼神に、遠慮がちに訊く。


「あのさ……。等依先輩何かあったの?」


「あ? しらねーけど……色々あるんじゃねーの? てめぇにだって、詮索されたくねぇことくらいあんだろ?」


 そう言われ、五奇は自分が浅はかだったと理解した。確かに彼女の言う通り、触れられたくないものもある。


「……そうだね。ごめん」


「おい、貴様ら。戻ったらレポートを提出してもらうからな? では行くぞ!」


 齋藤の言葉を合図に、車が走りだした。どうやら今回、ルッツはどのチームの車にも乗らなかったらしい。それが少し気になった五奇だったが、訊くのはやめた。


 ****


「うん、行ったみたいだね?」


 一人残ったルッツは、指を二回鳴らした。直後、金色と銀色の二体の等依や両我が使役しているものよりも一回り大きい鬼が現れた。


金龍(きんりゅう)銀虎(ぎんこ)。念のため、辺りを調べてきておくれ」


 二体の鬼達は一礼すると、消えて行った。


「ふぅ。そろそろ活発になってくるだろうしねぇ……。僕だけでどこまでやれるのやら」


 含みを持たした笑みを浮かべると、ルッツは静かに目を閉じた。

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