表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/113

神の力と鬼の力

「ふむ? なるほどな! 等依(とうい)よ、鋭いのだな!!」


 感心すると灰児(はいじ)は、輝也(てるや)の方を向いて、


「さて、どうする? これでは修行にならんかもしれん!」


「……そもそも、目的自体は人造妖魔だろう? 倒して良いんじゃないか……?」


 まるで、自分達なら余裕だと言わんばかりの二人の様子に鬼神(おにがみ)と等依は目を合わせる。


(んだよ? 確かに実力差はあるにしても……ムカつくぜ!)


(……なんっか、釈然としないっスねぇ……)


 そんな思いを二人が抱いていることなどつゆ知らず、灰児と輝也は人造妖魔達の元へと向かって行く。


「いざ! 勝負! 火の退魔術式(たいまじゅつしき)! 弐銘(にめい)紅蓮剛弾(ぐれんごうだん)!」


 勢いよく、炎を纏った飛ぶ斬撃を放つ灰児に続き輝也が詠唱を始めた。


「〈我が身は人にして非ず、我、神の一端を担う者。神よ、今こそ呼び降ろさん〉、()()()()()()()()


「な、なんだありゃあ!?」


 輝也が顕現させた全身白装束の人の姿をした()()()に驚く鬼神に、等依が独り言のように呟いた。


「この並々ならぬ力……。()()()()()()()()()()()()?」


 その声は輝也の耳に入ったようで、彼は無表情に答える。


「……さすがは蒼主院(そうじゅいん)だな。その通りだ。灰児、後は任せろ……」


 人造妖魔達を引き付けていた灰児にそう声をかけると、輝也が降ろした()が妖魔達の周囲に空間を作り出した。


「うむ! 妖魔達を空間に固定したのだな! これで妖魔の力は封じた! 後は、実体を探し出すだけだな!」


 灰児があまりにもあっさりと告げるので、先程から置いてきぼりだった鬼神が叫ぶ。


「おい……てめぇらばっかにいい顔させっかよ! 等依! 索敵しろ! 式神ありったけばらまけ!」


「りょーかいちゃん。ありったけをばらまくっスよー」


 二人のやりとりを聞いた灰児が嬉しそうな声を上げる。


「お? 実体探しの競争と行くとしようか! 良いな! 実に楽しいぞ!」


「るっせ! 競争なんざするか! 等依、大体の場所はわかったよな?」


「ういー。こっこらへん……スかね?」


 等依の式神達が、ひと際集まっている茂みの中に狙いを定めると、鬼神が叫ぶ。


「百戦獄鬼! やれ! 百獄火炎爆砕破ひゃくごくかえんばくさいは!」


 言い終わったと同時に、百戦獄鬼が両腕を回転させ、思い切りその茂みもろとも文字通り爆砕した。周囲に爆風が吹き荒れる。


「ぬお!? 技を使えるようになったとは! 凄いな! うむ!」


「どこまで上から目線だ!? るっせーんだよ! インスピレーションどうもだクソ野郎!」


 灰児にどこまでも反発する鬼神を見て、輝也がボソリと呟く。


「……さすがに、由毬(ゆまり)様の妹なだけあるか……」


 その声を聞きながら、等依は一人、空を見上げていた。


「……」


 その目に光はなかった。どこまでも暗い瞳で、三人に視線を戻した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ